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前回の投稿で、風光明媚な南フランスとモナコについて触れましたが、モナコと言えば、その国の華であったグレース王妃のことが偲ばれます。先日、NHK-BSでグレース・ケリーのドキュメンタリー番組があり、初めて見るグレースのあまりにも美しい写真の数々に思わず魅入ってしまいました。
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モナコ王妃になったグレース・ケリーの人生はシンデレラ・ストーリーのように語られることもありますが、グレース・ケリーがレーニエ大公の求婚を受け入れて、アメリカからモナコまで長い船旅をしている途中、その船上で、グレースはとてつもなく孤独に見えたと彼女の友人は語っています。とてつもない幸福を手に入れたかに見えたグレースの深い孤独を傍らで感じていた友人の言葉に、私もまた、その航海中にグレースの心にどれほどの思いが去来したのだろうかと想像せずにはいられませんでした。
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それでもグレース・ケリーは婚礼の式典では、厳かで凛とした表情で、「自分がこれから果たさなければならない使命をしっかりと自覚している聡明な女性」だけが持ち得る高貴な美しさで輝いていました。
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ヒッチコック監督を始め数々の映画人を魅了した「クール・ビューティ」、グレース・ケリーが女優として、なんとしても演じたいと望んだ役は、その美しさを隠すかのような、物悲しく野暮ったい主婦、しかし献身的に夫を支え続ける妻、“The Country Girl”でした。夫への献身と自身の幸福への希求という葛藤の中で苦悩し、真摯に生きるその女性の姿は、グレース自身の思い詰めたような真剣な生き方と重なりました。ユーモアのセンスもあり、あたたかい笑顔もあったグレースですが、やはり私は“The Country Girl ”のグレース・ケリーの中に、彼女の本質、即ち「自分の使命を自覚し、それを見事に果たす高貴な女性」の姿を観た思いがしました。この映画でグレース・ケリーは念願のアカデミー主演女優賞を獲得しましたが、その映画の邦題は「喝采」でした。ジョーン・フォンテインが「忘れじの面影」であるように、グレース・ケリーはまさに「喝采」の生涯を送りました。
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