親しくしている友人夫婦が夕食に呼んでくれて、GENTの大学に行っている息子さんも週末なので帰ってきて、4人で食卓を囲みました。彼らの家に行って一緒の時間を過ごす時、ベルギーに帰ってきたことを実感します。
それでリビングに見慣れぬものが置いてありました。日本の京都の会社SHIMPO社のロクロです。友人はプロの彫刻家なので、陶芸も学校で教えることもあって、手解きを受けました。こねた粘土をロクロの真ん中にドンと置いて、両手で囲んでまず真ん中に塊を集めるのがスタートですが、これすら難しい。
粘土はまるで生き物のように、私の意とは関係ないあらぬ方向へ行きたがります。何度か失敗して真ん中に固めるのが出来るようになって、次は器の形にしていく作業。真ん中に指を差し込んで外へ広げていく、よくTVなどで見かけるあの風景です。簡単そうに見えますよね。やってみるとウルトラ難しいです。
また何度も失敗して、つぶして最初の塊にしてという作業を繰り返していると、泥とたわむれるのが実に快感である事が分かってきました。それはもう子供の頃に戻ったような素朴な感触。ぐちゃぐちゃっとしたものが、自分の手の中で形になっていく、自分の手でモノを作る、あの感触です。
「おまえは筋がいい、普通ここまで来るのには200時間(オーバーだね)はかかるんだ」とおだてられて30分くらいロクロに向かって不細工な器がひとつ出来ました。終わってみて、なんだか不思議な感じです。手の中に宇宙があるみたいだねと彼には告げたのですが、その手の中の宇宙を自分で操作する面白さ、全然思い通りに行かない難しさ、出来上がったときの達成感、まさに生まれてはじめての体験、陶芸との出会いです。
「この塊のマスター(主人)はおまえなんだ」といった友人の言葉が印象に残っています。
その彼は、終わってから台所の引き出しから4枚セットのお皿を出して見せてくれました。彼の友人がプレゼントしてくれたという暖かい色の手作りのお皿でした。手でロクロを回したのが分かる仕上がりでしたが、重ねてもサイズがきちんと揃っている。自分でやってみて、そろいの皿を作ると言うことが簡単ではないことがわかったので、すごいなあと素直に感心しました。
そんな手作りの食器に囲まれて過ごすのは、きっと楽しいだろうなと思います。自分の作った器で頂く食事は別の味がするでしょう。中高年がハマるわけですね。
かなりオヤジ入ってマス@b-Stream
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