笥の季節である。
笥は何といっても、わかめとの炊きあわせだろう。米のとぎ汁か、ぬかーつかみに赤
唐辛子を少々入れた水に、穂先と根元を切り捨ててからよくゆでるのだが、串を通して
みて、ゆでかげんを見るころに、ぷーんと鼻にせまるあの匂いは何ともいえない。上の
中でうずくよっていた五月の竹の生気がゆで汁の中で煮えあふれ、上の産む生きものの
精が泡立ってくる感じだ。
よくゆでたのを根の方からーセンチぐらいの輪切りにして、昆布だしに、醤油、砂糖
で煮つめる。しあがり前にわかめを加えるのだが、山根の葉でも飾って、朱の椀に入れ
て出そうものなら、笥のクリーム色が朱に浮いて、わかめは新葉のような彩りを見せる。
見ただけで、つばが出てくる。穂先のやわらかいところは、若笥汁に、時にはわかめも
厭いてくると、しようがといっしょに、笥はやわらかいところを短冊に切っていためてみ
たりした。さらに、あえものにもするけれど、やはり、このなかでいちばん好かれるの
はしょうがといためたものか。不思議に、あくの消えた甘味が、しょうがの辛さとマツチして、めしにまぶせば何杯喰えるかきりがない。
笥は何といっても、わかめとの炊きあわせだろう。米のとぎ汁か、ぬかーつかみに赤
唐辛子を少々入れた水に、穂先と根元を切り捨ててからよくゆでるのだが、串を通して
みて、ゆでかげんを見るころに、ぷーんと鼻にせまるあの匂いは何ともいえない。上の
中でうずくよっていた五月の竹の生気がゆで汁の中で煮えあふれ、上の産む生きものの
精が泡立ってくる感じだ。
よくゆでたのを根の方からーセンチぐらいの輪切りにして、昆布だしに、醤油、砂糖
で煮つめる。しあがり前にわかめを加えるのだが、山根の葉でも飾って、朱の椀に入れ
て出そうものなら、笥のクリーム色が朱に浮いて、わかめは新葉のような彩りを見せる。
見ただけで、つばが出てくる。穂先のやわらかいところは、若笥汁に、時にはわかめも
厭いてくると、しようがといっしょに、笥はやわらかいところを短冊に切っていためてみ
たりした。さらに、あえものにもするけれど、やはり、このなかでいちばん好かれるの
はしょうがといためたものか。不思議に、あくの消えた甘味が、しょうがの辛さとマツチして、めしにまぶせば何杯喰えるかきりがない。
