岩瀬酒造の藤波杜氏は、酒造りに命を懸ける人物のようで頼もしい。
昨年は、南部杜氏の下で黙々と頑張っていたが、今年は若い仲間と一緒に杜氏として、正月の3が日も泊まり込んで酒造りに励んでいる。これは、本物の昔ながらの生き方である。聞くところによると、永平寺で修業して、僧侶の資格も持っているようだが、今は酒造りに励んでいる。
楽しみなのは、生酛づくりを試みるという。どんな酒ができるか、待ち遠しい。
そこで、生酛づくりを菊正宗のホームページなどを参考にして紹介する。font>
"「山おろし」(生酛づくり)で
「山おろし廃止酛」をこえる!
酒造りは、乳酸により雑菌を抑えながら酵母の数を大量に培養する「酒母(酛)」造りから始まります。速醸酛が、酛仕込みの段階に市販の乳酸を添加して手早く酒母を完成させるのに対し、生酛は自然の乳酸菌の力を借りて乳酸を作り出し、速醸酛の約2倍もの時間をかけじっくりと酵母を育てて行く。
仕込みの段階から、半切り桶で丹念に蒸米と米麹をすりつぶす山おろしや、有用な微生物の活動を促す為に酛の温度をじんわり高める暖気樽など、江戸の昔から伝わる用具と手順を踏み、25日間もの長い時間をかけて酵母をゆっくりと育ててはじめて、「生酛」は完成する。その酒母(生酛)には、雑菌や乳酸菌との激しい生存競争を制した力強い酵母だけが生き残る。
この酵母の違いは味の違いを生み出す。通常、酵母の一部は、発酵が進みアルコール濃度が高まると死滅し、「雑味」成分を漏出する。しかし「生酛」の酵母は強い発酵力を持ち、高濃度のアルコールの中でもたくましく生き続ける。このため搾る直前まで糖をアルコールに変え、雑味のないすっきりした辛口でありながらコクがある、生酛特有の味わいが楽しめる。
「山おろし」とは、生酛造りの工程の一部で、半切桶(はんぎりおけ)に仕込んだ酒母に荒櫂(あらがい)を入れて摺る作業のことで、この作業は、麹の酵素の作用で蒸米のデンプンが糖化するのを助け、濃醇でキレの良い酒を作る目的で行なわれる。しかし、昔から「櫂でつぶすな、麹で溶かせ」と言われるように非常にデリケートな力加減を要する高度な技で、しかも寒い冬の深夜に一晩中、丹念に櫂を入れ続けなければならない重労働であったので、昔から蔵人たちに敬遠されてきた。
そのため、この山卸の作業を省略することを前提とする山おろし廃止酛(山廃酛)が、1909年(明治42年)に国立醸造試験所で開発された。それが「山廃づくり」として知られる技法の基礎である。
昨年は、南部杜氏の下で黙々と頑張っていたが、今年は若い仲間と一緒に杜氏として、正月の3が日も泊まり込んで酒造りに励んでいる。これは、本物の昔ながらの生き方である。聞くところによると、永平寺で修業して、僧侶の資格も持っているようだが、今は酒造りに励んでいる。
楽しみなのは、生酛づくりを試みるという。どんな酒ができるか、待ち遠しい。
そこで、生酛づくりを菊正宗のホームページなどを参考にして紹介する。font>
"「山おろし」(生酛づくり)で
「山おろし廃止酛」をこえる!
酒造りは、乳酸により雑菌を抑えながら酵母の数を大量に培養する「酒母(酛)」造りから始まります。速醸酛が、酛仕込みの段階に市販の乳酸を添加して手早く酒母を完成させるのに対し、生酛は自然の乳酸菌の力を借りて乳酸を作り出し、速醸酛の約2倍もの時間をかけじっくりと酵母を育てて行く。
仕込みの段階から、半切り桶で丹念に蒸米と米麹をすりつぶす山おろしや、有用な微生物の活動を促す為に酛の温度をじんわり高める暖気樽など、江戸の昔から伝わる用具と手順を踏み、25日間もの長い時間をかけて酵母をゆっくりと育ててはじめて、「生酛」は完成する。その酒母(生酛)には、雑菌や乳酸菌との激しい生存競争を制した力強い酵母だけが生き残る。
この酵母の違いは味の違いを生み出す。通常、酵母の一部は、発酵が進みアルコール濃度が高まると死滅し、「雑味」成分を漏出する。しかし「生酛」の酵母は強い発酵力を持ち、高濃度のアルコールの中でもたくましく生き続ける。このため搾る直前まで糖をアルコールに変え、雑味のないすっきりした辛口でありながらコクがある、生酛特有の味わいが楽しめる。
「山おろし」とは、生酛造りの工程の一部で、半切桶(はんぎりおけ)に仕込んだ酒母に荒櫂(あらがい)を入れて摺る作業のことで、この作業は、麹の酵素の作用で蒸米のデンプンが糖化するのを助け、濃醇でキレの良い酒を作る目的で行なわれる。しかし、昔から「櫂でつぶすな、麹で溶かせ」と言われるように非常にデリケートな力加減を要する高度な技で、しかも寒い冬の深夜に一晩中、丹念に櫂を入れ続けなければならない重労働であったので、昔から蔵人たちに敬遠されてきた。
そのため、この山卸の作業を省略することを前提とする山おろし廃止酛(山廃酛)が、1909年(明治42年)に国立醸造試験所で開発された。それが「山廃づくり」として知られる技法の基礎である。