里山の石神端書93 立山町松倉・如来寺の法蔵菩薩
如来寺は廃寺になり、山門跡の石仏2体が迎えてくれます。
一つは薬壺を持つ薬師、もう一つは頭上に僧風の顔を載せた仏で、思い当たる仏菩薩はありません。
境内の木祠内では法蔵菩薩という不思議な石仏に出会いました。
法蔵菩薩は阿弥陀如来の修行中の姿とされています。富山の法蔵菩薩の石仏は尾田武雄氏の『とやまの石仏たち』に詳しく紹介されています。同書によると、この石仏は立山町とその周辺に22体確認されているそうです。その背景には富山の地が真宗地帯であることに関係し、それは真宗門徒が唱える「正信偈」の冒頭にある「帰命無量寿如来 南無不可思議光 法蔵菩薩因位時」に登場する修業中の阿弥陀で、門徒には大変親しまれていることを指摘しています。
ところで修業中の阿弥陀としては五劫思惟(ごこうしゅい)阿弥陀があります。五劫とは長い年月のことで、髪が伸びて大きな螺髪姿の阿弥陀如来で表されます。ところが富山の法蔵菩薩は釈迦の修行中のような痩せた姿です。このお手本は京都の東福寺の五却思惟阿弥陀とし、造立されたのは明治時代、青年達が何かの記念にまたお礼に造立したと尾田氏は推測しています。下の写真は京都・左京区黒谷町の金戒光明寺の五劫思惟阿弥陀です。
少し先に建つ八幡神社にも、この白石川沿いの神社で見てきたさざれ石がありました。
(地図は国土地理院ホームページより)