偏平足

里山の石神・石仏探訪

石仏169蔵王鳥兜山(山形)

2008年11月08日 | 登山

蔵王・鳥兜山(とりかぶとやま) 制多迦童子(せいたかどうじ)

169  【データ】鳥兜山 1387メートル▼25000地図 蔵王山▼最寄駅 JR奥羽本線・山形駅▼登山口 山形県山形市宝沢▼石仏 宝沢からドッコ沼への道にある不動滝

1691  【案内】制多迦童子の「多」は左・口に右・乇が正しい。制多迦童子は不動明王の眷属、衿羯羅(こんがら)童子とともに不動三尊として祀られることが多い。不動八大童子や不動三十六童子の一員として造立されることもある。蔵王鳥兜山の制多迦童子は宝沢からの道、不動沢の上部にかかる不動滝近くに立つ。その姿は宝棒を持つ腕白でひょうきんな表情。しかしこの制多迦童子は頭部が失われて腕白具合は確認できない。本来なら衿羯羅童子もあるはずだ1692 が、これも見当たらない。動の制多迦童子と静の衿羯羅童子が揃って始めて生きてくる童子である。肝心の不動明王はというと、滝つぼのなかに胸まで土砂に埋もれて水を浴びている。修験者が本尊とした不動明王にふさわしい座所である。ドッコ沼がある蔵王高原へは車で行けるし、鳥兜山へは蔵王温泉街から蔵王中央ロープウエイが運行しているので、宝沢から蔵王へ登る人は少ないようである。それだけにこの道は静かなコースであり、途中飛び石伝いに沢を横切るとろが2か所もある楽しい登山道だ。

 【参照】石仏25大山(神奈川)制多迦童子

          石仏62八王子城山(東京)衿羯羅童子

     石仏154御嶽山剣ヶ峰(長野)不動三十六童子

【独り言】蔵王の登山口の一つ宝沢はかつて蔵王信仰の重要な拠点であり、歴史のある落ち着いた集落です。それは道端に立つ石造物の多さで分かります。馬見ヶ崎川にそって集落が切れ目なく続き、そのなかの下宝沢に木造蔵王権現があるというので1693 1694 訪ねました。道路脇に立つ石鳥居から車で入るとそこは農家の庭先、ご亭主の井上氏が庭木の剪定中でビックリ。まずは駐車の許可を得て蔵王権現について訪ねると、庭奥にある土蔵造りの蔵王神社に鎮座しているという。そして気持ちよく拝観させていただきました。その蔵王権現は天井を突き破らんばかりの大きさにまたビックリ。井上家はかつての蔵王信仰の拠点で三乗院を名乗っていた家柄。伊藤清郎著『霊山と信仰の世界』(平成9年、吉川弘文館)には「宝沢口では最盛時には十二坊があった」とし「三乗院(当山派)は覚山(宝沢出身)がこの霊地を開いて麓に寺を建立したのが始まり」とあります。そして蔵王権現の高さは364センチメートルと紹介しています。庭奥の山際にある墓地には「法印」の銘がある墓石もありました。かつての蔵王行者のものなのでしょう。

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