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時事評論ブログ
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原発は本当に経済的?

2016-06-22 19:39:25 | エネルギー問題
 原発のコストは、決して安いとはいえない。一方、自然エネルギーのコストは劇的に下がってきている。


 高浜原発の核燃料が、いったん3,4号機から取り出されるという。
 大津地裁で運転差し止めの判断が出され、関電はその執行停止を求ていたがそれも却下され、しばらくの間は運転できなくなるためである。
 これでもまだ、関電は高浜3,4号機の再稼動をあきらめてはいないようで、再稼動できれば電気料金を上げるというアメとムチのようなことをいっている。

 自民党の議員なんかも、電気代のことを理由にして、原発再稼動を主張している。
 たとえば、山東昭子・元参院副議長。「これから本当に世の中の景気を良くしようとか、中小企業もこれから発展させていくために、電力やエネルギー問題を本格的に議論を、将来的なことも含めてうんぬんしなければならない時に、もちろん訴訟の詳細を熟知しているわけではないけれども、これから夏に向けて、電力料金の値上がりにつながらないだろうかと危惧している」ということである(朝日新聞電子版より)。

 しかしこれも、よく考えてみればおかしな話だ。
 アベノミクスの「期待インフレ率を上げる」という観点からすれば、電気料金が下がるのだって別にいいことではない、というかむしろよくないことという話になるはずで、実際、原油価格の下落なんかもその文脈では物価上昇を妨げる望ましくないことととされている。だったらむしろ、自民党の議員らは電気料金が上がることを歓迎するべきではないか。


 まあ、それはさておくとして、やはり一般的には電気料金は下がったほうがいいということになる。
 では、果たして原発が本当に経済的なのかということが問われなければならない。そこで、久々の原発関連記事として、今回は原子力発電の経済性について書く。

 まず、再処理にかかるコストについて。
 昨年11月に東京で「原発と核」というシンポジウムが開かれた。米国原子力規制委員会の元委員や、ホワイトハウスの元科学技術政策局次長なども参加したというが、このシンポジウムにおいて、再処理は乾式貯蔵の7倍のコストがかかるという試算が出された。ゆえに、再処理よりも乾式貯蔵のほうが安上がりで、核燃料サイクル自体をもう断念すべきだというのである。

 では、その具体的な額は、いったいどれぐらいなのか。
 再処理はフランスに委託されるなどしていて、契約に関わることとして電力会社はその金額を公表していない。しかし、一応の推算は可能である。朝日新聞がそれを試みているのだが(今年2月28日付の記事)、貿易総額などから産出したところによれば、MOX燃料一本あたりの値段は、高浜原発の場合で9億円にもなるという。決して安価といえるものではない。このことを報じる朝日の記事では、立命館大の大島堅一教授(環境経済学)の「安価になるからリサイクルするはずなのに、MOX燃料は逆に高価で、経済的におかしい。国は商業的にも技術的にも破綻(はたん)している政策を続けており、負担は国民に回ってくる」というコメントが紹介されている。

  また、原発が事故を起こした場合の賠償や廃炉などの費用も考えなければならない。そうした費用を考慮して計算すれば、原発のコストは火力などよりも割高になるという見方もある。原発が安価だという話も、かなりあやしいのだ。

 さて、再処理のコストが割高だという話をしてきたが、ではコストの問題で再処理をしないとなると、今度は核燃料が枯渇するかもしれないという問題が出てくる。原発の燃料として使える放射性物質はそんなに大量に存在するわけではなく、今後中国やインドなどが本格的に原発を使い始めれば、枯渇の危機も現実味を帯びてくるし、枯渇とまでいかずとも、燃料価格の高騰は避けられないのではないか。いずれにせよ、経済的コストという点だけ見ても、原発の未来はそう明るくないといわざるをえない。


 その一方で、自然エネルギーのコストはどんどん下がってきている。
 風力や太陽光の発電コストは、火力発電のレベルに近づいてきているし、まだ下げしろはある。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)が今月発表した報告によれば、太陽光発電のコストは2010年から2015年までに58%下がり、今後10年でさらに59%下げられるという。風力発電についても、今後10年で陸上風力発電で26%、洋上風力発電で35%のコスト削減ができると見込まれている。風力発電は、発電量においても今後十数年で原発の発電量を超えると予想されていて、確実にエネルギーの転換は進んでいるのだ。
 日本があくまでも原発にこだわり続ければ、新たなエネルギー開発の潮流に乗り遅れてしまうことにもなりかねない。
 高浜原発の話に戻ると、3、4号機は停止し続けているものの、1、2号機については稼動期間を20年間延長するという話になっている。わざわざ進んで時代の流れに取り残されようとしているのである。もういい加減、原発再稼動路線と訣別して再生可能エネルギーのほうに舵を切るべきだろう。

民進・枝野幹事長「自民の公約は読むに値しない」

2016-06-21 22:55:47 | 政治
 野党議員の発言シリーズとして、今回は民進党・枝野幹事長の発言をとりあげる。
 今月、自民党が発表した参院選の公約に関する発言である。(引用は朝日新聞電子版より)

《昨日(3日)、自民党は公約と称するものを発表しました。そもそもあらゆることが「新しい判断」をしたらガラッと変えてもいい、そういう風に(首相の)安倍(晋三)さんは記者会見でおっしゃった。自民党はどんな公約を掲げても、「新しい判断」をしたら、ガラッとかえられる。読むに値しないものだということを申し上げたい。》


 まさに、そのとおりだろう。
 安倍政権は、「必ず消費税を上げる」という前回衆院選時の約束を、「新しい判断」という言葉でホゴにした。ということは、これから自民党の公約に何が書いてあろうと、また「新しい判断」といってそれを覆してしまうことができるわけだ。すなわち、安倍自民党が掲げる公約は、なに一つ信用することができないということになる。“信用”というのはそういうものだろう。
 では信用はどうやったら維持できるかといえば、やると約束したことができなかった場合にはその責任をとってポストを退くということだ。そういうけじめのつけ方をしてはじめて、「できなかった場合にはきっちり責任をとるのだから、今度の公約に書いてあることも信じてみてもいいかもしれない」となる。「政治は結果責任」というのはそういう意味であるはずだ。

 これが些末な政策なら、あるいはそこまでする必要はないともいえるかもしれない。
 しかし、アベノミクスというのは安倍政権が前面に押し出してきたものであり、消費税には財政再建という重大なテーマがかかわっているのであり、なにより、安倍総理自信が「必ずやる」といったことなのだ。これで何の責任もとらずにすむということはありえない。にもかかわらず、安倍総理がその職に留まり続けているという現状は、安倍政権の無責任体質を如実に示しているといえるだろう。

社民・吉田党首「子ども達の間で『ごまかす』ことを『アベる』というのがはやっている」

2016-06-21 17:23:51 | 政治
 野党議員の発言を紹介するシリーズとして、今回は社民党の吉田忠智党首の発言を紹介する。
 このシリーズで社民党議員の名前が出てくるのは初となる。
 当ブログでこんなことをしている背景には「野党議員の言動がメディアで紹介されない」という状況があるわけだが、そのなかにあってもとりわけ社民党は影が薄い。私が日ごろ購読し、これまでたびたび引用してきた朝日新聞電子版においても、残念ながら社民党の声はあまり聞こえてこない。今回取り上げる発言も、ツイッターで流れてきたものである。

 社民党の吉田忠智党首によれば、最近子どもたちの間で「アベる」という言葉がはやっているという。「ごまかす」というような意味で「アベる」というそうだ。

 ちょっと前に、髪が乱れることを「与謝野る」というのがはやったことがあったが、そのノリだろう。
 髪が乱れることを「与謝野る」というのは、いうまでもなく与謝野晶子の歌集『みだれ髪』からきている。与謝野晶子といえば『みだれ髪』、『みだれ髪』といえば与謝野晶子――世間にそういう共通認識があるから、髪が乱れることを「与謝野る」というわけである。
 その理屈でいうと、子どもたちの間では「安倍総理といえばごまかし、ごまかしといえば安倍総理」というのが広く共通認識になっているわけだ。だから、「アベる」=「ごまかす」という語法が成り立つ。具体的な用法としては、おそらく、約束を守らなかったり嘘をついてごまかしたりするようなクラスメートに対して「お前、アベるなよ」「あいつ、アベってばかりだよな」というふうに使うのだろう。

 子どもは正直である。
 私はときどき中学生や高校生と接する機会があるのだが、女子中学生などは、かなりの確率で安倍総理に否定的である。ときには「キモい」などという汚い言葉も使うので、そんなことをいってはいけないよとたしなめなければならないほどだ。

 この、子どもの素直な感覚こそ、物事の真相を見抜いているということなのだろう。
 安倍総理は嘘とごまかしばかりだということを子どもたちは見透かしているのだ。これで大人たちがだまされていたのでは話にならない。TPPや議員定数削減など、安倍政権はこれまでやるといったことをやらなかったりやらないといったことをやったりということを何度も繰り返している。そしてそのたびに、「そんなことはいっていない」というごまかしをいってきた。安倍総理とそのお友だちは、こういうアベってばかりの人たちだということに気づかなければならない。

共産・小池氏「年金運用発表先延ばしは政権の隠蔽」

2016-06-21 16:58:27 | 政治・経済
 野党議員の発言シリーズとして、今回は共産党・小池晃書記局長の発言を紹介する。(引用は朝日新聞電子版より)


《(円高株安が急激に進む中)公的年金積立金の運用成績の結果は、これまで遅くても7月頭にはだいたい発表されている。それが今年は7月29日という。理由が「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の発足10年だから」というわけの分からないことを言っている。運用成績はすでに出ているはずで、選挙結果に影響を与えるから発表を先延ばししているわけだ。国民の財産に昨年度はおそらく数兆円規模で穴を開けていることは間違いない。このことは安倍政権の無責任ぶり、情報隠蔽(いんぺい)体質を見事に物語るものではないか。》


 安倍政権のもとで年金を株式で運用する割合が高くなっているが、昨年夏あたりからの株価下落によって大幅な損失が出ているのではないかと噂されている。それが参院選前に発表されると与党のダメージになるので隠しているのではないかというのだ。

 そもそも、株の割合を上げることについては「大切な年金を株式市場のリスクにさらすのか」という批判があった。それに対して政府の側からは「多くの国で年金が株式で運用されている」という反論があったのだが、それに疑問を投げかける声もある。年金を株で運用している国はなくはないが、ほとんどの場合それは上乗せぶんであり、基礎年金を大量に株式に注ぎ込むようなことはどこの国でもしていない、実態は政府による株価対策だ――というのである。
 そういう経緯があっての、いまの状況なのだ。
 政府の側は、たとえここで損失が出ていたとしても、それでもトータルでは大幅な運用益が出ているという反論もしている。しかし、今後大幅な株価の暴落が起きて、結局そのぶんが溶けていくという可能性だって否定できない。そもそも、年金積み立ての莫大な資金を株式市場に注ぎ込むということが問題なのではないか。

共産・志位委員長「野党共闘攻撃は、日本の平和と民主主義に対する攻撃」

2016-06-19 20:46:40 | 政治
 野党議員の発言シリーズとして、今回は共産党・志位委員長の発言を紹介する。
 最近、安倍総理が共産党を攻撃していることについての発言である。


 安倍(晋三)首相は最近の演説の中で「気をつけよう、甘い言葉と民進党」とまで言った。いやしくも一国の首相が天下の公党に対してこのような低次元の誹謗(ひぼう)中傷をやるべきではない。それはまともな政策論争ができない、国民に訴えるべき政策がないことを自ら告白するものではないか。政府与党による野党共闘攻撃、反共攻撃は日本の平和と民主主義、国民生活に対する攻撃にほかならない。同時に彼らがいかに野党と市民の共闘を恐れているかを示すものにほかならない。

 自民党は、共産党を徹底攻撃している。
 今年の3月には閣議で「警察庁としては、現在においても『暴力革命の方針』に変更はないものと認識している」という答弁書を閣議決定したりもしているが、こうやって閣議決定まで利用して対立する政党を攻撃するあたりに、いまの自民党の政治私物化ぶりが表れているといえるだろう。こうした自民党の常軌を逸した攻撃には、民進党の岡田代表も「まるで共産党を非合法政党扱いしていて、公党に対して失礼」と苦言を呈している。

 私は共産党支持者ではないが、この点については自民党の攻撃はてんで的外れということを指摘し、共産党を擁護しておきたい。

 たしかに、昔の共産党には議会制度自体を否定する考え方があった。それは事実だ。しかし、いまの日本共産党はそうではない。それに、昔のことをいうなら、議会制度自体を否定する考え方は、なにも共産党だけのものではなかった。左右問わず、そういう考え方は結構あった。
 そして重要なのは、戦前の日本で実際に議会制度を破壊していったのは右側のほうの人たちだったということだ。 
 戦前の共産党は、徹底的な弾圧を受けていたために、実際に「革命」行動を起こすような力はなかった。戦前の日本で議会制度を破壊していったのは、左派勢力ではなく、ファッショ・右派勢力のほうなのである。それはたとえば民間の右翼団体であり、あるいは軍内部の議会否定派である。
 そして、さらに重要なのは、議会の内側から議会が破壊されていったということだ。
 議会主義を守るべき人たちが、議会制度を守らなかった。それどころか、自らの手で議会制度を機能麻痺に落としいれ、最終的には政党政治を放棄し、一党独裁体制を築き上げて日本を無謀な戦争にむけて暴走させていったのである。この歴史を踏まえて考えれば、おそれるべきなのは共産党ではなく、議会の内側から議会主義を破壊しようとする右派勢力である。そして、憲法軽視の姿勢を露骨に示している安倍政権こそが、まさにそれなのだ。