先日、お得意先のAmazon.co.jp さんでCDを買った。
それが今回紹介するマーティン・テイラーの「Spirit of Django」だ。
勘のよい人ならもう気付いているだろうが、題名にDjango(ジャンゴ)とあるようにオレの敬愛するジャンゴ・ラインハルトの曲をカバーしたアルバムだ。
ジャンゴについては以前にも述べたから省くとして、マーティン・テイラーの名を聞くのは初めてだろう。
アコースティックギター界の重鎮で現代最高の名手と謳われている人物だ。
そもそもアコースティックギター界なるものがどういうものなのかが分らないと思うので補足。
使うギターはもちろんアコースティック。エレキではないやつね。基本的には独奏で、ギター1本で曲を奏でるというスタイルだ。クラシックギターでやっているようなのをもっとポップでキャッチーなメロディーでやっている感じかな。
日本で言うと中川イサト、打田十紀夫、最近でいうと押尾コータロー(学じゃないよ)、デパペペなどは知っているのではないだろうか。
マーティン・テイラーを聞いたのは今回が初めてになる。名前は随分前から知っていたのだがあまり興味がなかったんだね。しかしジャンゴのアルバムとなれば話は別、即買いだよね。
調べてみるとこのマーティン・テイラー、若い頃あのステファン・グラッペリと活動していた時期があるとか。
グラッペリと言えばジャンゴとフランス・ホット・クラブ・クインテットを組んでいたジャズヴァイオリンの重鎮。ジャンゴを語る上では欠かせない人物だ。
そもそもオレがマーティン・テイラーを知ったのは上京してきて間もない頃、八王子でストリートライブをしている1人のアコースティックギタリストを見たのが最初だった。
夜の8時を過ぎ、帰宅する人でごった返す駅前でその人は1人ギターを弾いていた。誰も足を止めることなく通り過ぎていくなか、オレもその人の前を通り過ぎようとしていた。
しかしよく聞けば、ベースラインに和音、そしてメロディーと3つのパートを1人で弾いているではないか。オレは思わず足を止めて曲が終わるまで聞いてしまった。
少し話をさせてもらったらタック・アンドレス(1人で何パートもこなすバカテクギタリスト)が好きだという。ちょうどその頃オレもタックにはまっていたので話も盛り上がる。そこで「タックよりもスゴいヤツがいる」と教えてもらったのがマーティン・テイラーだ。
あれから6年以上の歳月を経てようやく耳にすることが出来た訳だ。うーん、長かったなぁ。
しかし、あれだけすごい事をやっていたのに誰も見向きをしないなんて……世間のアコースティックギターに対する目は冷たいね。押尾コータローなどがメディアにでている今だったらもう少し違う反応だったんだろうけど。
まぁ、世間以外にもその人自身に問題がないとも言い切れないけどな。だってその時演奏していた曲が中山美穂&WANDSの『世界中の誰よりきっと』だぜ!!
それじゃ誰も聞いてくれないよ……



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