佐久良私語 さくらのささめごと

佐久良私語は櫻斎宗匠の折々の思いを綴ったものです。

今日の軸 2015年5月23日

2015-06-11 19:28:18 | 折々の記(2015年)

大津絵弁慶の立ち往生図です。
今日は武者小路千家の全国大会で岩手県の盛岡に来ています。岩手県といえば、源義経が自害し、弁慶が立往生した衣川の戦いの地です。現在の岩手県西磐井郡平泉町高館にあったとされる奥州藤原氏の居館が舞台でした。その場所は平泉の北上川と衣川の合流地点より約1キロほど南の丘陵にあり、元々藤原基成の館であったとされています。
この弁慶の立往生の図の大津絵は、大津の大谷・追分辺りで描き売られていた民画で、追分絵ともよばれました。
大津絵に描かれた弁慶は、牛若丸と出会う前の「釣鐘弁慶」の図と、この「弁慶の立ち往生」とがあります。立ち往生とは、衣川の戦いでの弁慶最後の姿で、「長刀弁慶」とか「弁慶の七つ道具」ともいいます。長刀・箙刀(えびらがたな)・首掻刀(くびかきがたな)・小反刃(こそりば)・熊手が本来の七つ道具ですが、大津絵は鉞(まさかり)・袖がらみ・槌・鋸・鎌・刺股が描かれています。故実を無視したところや、弁慶の最期の覚悟・力強さを優しく微笑ましい表情で表現しているところに庶民本意の文化であった大津絵の本領をみることができます。

最新の画像もっと見る