銀の河～長浜奈津子のブログ～

野分して鳥たつ跡の髑髏 (しゃれこうべ)　吉田一穂の短歌

#吉田一穂

#吉田一穂の短歌

#海の詩人

#極北の詩人

#メメント・モリ

#藤原新也

おとがたり～朗読とヴァイオリン〜

2022年01月28日

皆さんこんにちは、長浜奈津子です。

2月5日（土）に、おとがたりの朗読ライヴをおこないます。
このライヴでは、極北の詩人・吉田一穂の詩と短歌を上演させて頂きます。

…ということで、今回は吉田一穂の短歌を、いくつかご紹介させて頂きます。

私の感じたり思うところは、たくさんあるのですが…
皆さんのイメージを邪魔してしまうといけませんので、書かないように致します。

でも、一つだけ。

野分して鳥たつ跡の髑髏 (しゃれこうべ)

ブログの題名にご紹介させていただいた短歌です。
私はこれをよんで、すぐに浮かんだのは、写真家・藤原新也さんの『メメント・モリ』でした。
私はしばらく一連の写真や言葉を思い出して、この短歌にもどってきます。

吹き荒ぶ秋の嵐、野分に鳥たちがざっと空へ飛び去ったあと、砂の上にあらわになる白い骨。

この骨は、一体何の骨だったのかと考えました。
おなじ鳥であるのか、それとも魚の食べ残された白い骨なのか、それとも___。

…いづれにしろ、捕食であれ落とした命であれ。
この短歌の中には、鮮やかな生と死が、一瞬の輝きとなって、刻まれています。

生と死の大らかさ、はかなさ、大自然のめぐり、ダイナミズム、食物連鎖… 与えられ与える、命。
皆さんはどんな印象をもたれますか？

ほんの一行の短歌の中に凝縮された世界観の大きさに、魅了されます。

それから…この記事を読んで下さってありがとうございます

髑髏（しゃれこうべ) という言葉に、あまり良くないことが書かれているのかなと、題名だけでスルーされるかもしれないな、と思いました。とくに今、世の中がおちつかない状態ですので、そんなブログはあまり読みたくないのじゃないかな、と心に浮かんだものですから。

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一穂の短歌から、『海』をテーマにえらんでみました。

・濤(なみ)の音こもりて麤き松原に香も焚かじな龍胆の花
（濤 … 海中に高くうねって起こる大なみ）

・どうどうと遠く近くに波さわぐ海郷めぐる夜の深みなれ

・ふる郷は波に打たるゝ月夜かな

・夜ふけて渡る鳥あり初時雨

・砂原に小さき影をつくりをる誰が足跡ぞ夕日あかゝり

・点々とぬれし汀の足跡は鳴きて遠める鴫にてあらん

・野分して鳥たつ跡の髑髏 (しゃれこうべ)

・水底の静かなるかも一点のノスタルヂアは魚のごとくも

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吉田一穂の詩と童話を2022年9月に、小樽市文学館で上演させて頂きました。
今回は2回目となりますが、初演の頃よりも、作品イメージと作家への理解が深まっていると思います。
あと少し、お席のご用意ができますのでよろしければぜひお越し下さいませ。

＜関連ブログおとがたり朗読公演の詳細＞