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銀の河 ~ 長浜奈津子のブログ ~

第15回 市川荷風忌 『雪解』 ~おとがたり朗読とヴァイオリン

こんにちは、長浜奈津子です🌸

先月、市川市文学ミュージアムでおこなわれました、第15回 市川荷風忌。今年は『雪解』を朗読させて頂きました。

少し時間が経ってしまいましたが、少し前に市川市文学ミュージアムから、当日のDVDを頂戴しました。もう6月だというのに、後記がまだでしたので、書きます。

<市川市文学ミュージアムの皆さん、Mさんのこと>
ここの職員さんたちは、本当にお仕事が細やかで、いつも優しく対応してくださり、リハーサルでもこちらに寄り添って下さって、公演を創ってゆくのが、毎年とても楽しいのです。作品選びにしても、舞台の照明・音響にしても、積極的で、足並みを揃えてくださるからです。

そして、私を舞台へ導いて下さった、Mさんが今年の春で退職されたということで、なんとも言えず感慨深い、寂しくもあり、これからもしっかりやらねばという思いもあり。そのMさんが客席で聴いて下さったことはとても嬉しかったです。これまでスタッフ側で、受付を守って下さっていたから、本番を聞いて頂くことはできなかったからです。Mさん、これまで本当にありがとうございました。そして、これからもどうぞよろしく御願いいたします。




そうそう。終演後に、Twitterなどで嬉しいご感想を頂き、心より嬉しく思っておりました。

この方は、ご自身も真摯に朗読に向き合い、楽しんでいらっしゃる方で、ツイートを拝読すると、心がすうっときれいになります。荷風忌でも毎年聴いて下さって、嬉しくまた心強く、私は勝手に(すみません😊)朗読仲間だなと心におもっております。Sさんとはメッセージも交わし、心近い存在です。

<Sさんのツイート>
荷風忌の後半は、優美な音色に誘われていざ「雪解」の世界へ。長浜奈津子氏の緩急織り交ぜた心地よい語りによって情景が描かれ、息づかいを感じる生き生きとした会話によって登場人物が立ち上がってゆく。そして、喜多直毅氏のバイオリンが時に情感豊かに、また時に軽やかに作品を彩る。お二人が織り成すおとがたりならではの言葉と音楽の世界を、心ゆくまで堪能させていただいた。途中、語尾の美しさにうっとり。演じ分けの凄さや切り替えの早さには、思わず興奮してしまった。また、娘の「もうこれでおつもりよ」の人あしらいに慣れている感じには、逞しさと不憫さを感じてもう……。

最後に、荷風に関する講演や荷風作品の鑑賞を通じて参加者の皆様とともに文豪永井荷風を偲ぶことができたことに、また、このような機会をくださった市川市文学ミュージアムの皆様に心から感謝したい。

最後の結び文は、本当に共感します。私もそのひとりです。


<贅沢な時間>

永井荷風という作家を通じて、その生き方や作品で、たくさんの人がつながり、共感し、味わうという素晴らしい時間だと思います。その日1日をゆっくりと過ごせます。これはとても贅沢な時間だと思いませんか?


私にとっても『市川・荷風忌』はとても大切な時間です。
もう、来年が楽しみになっています。


さまざまな作品、作家を読みますが、荷風先生に帰ってくる時、なんとも大きな懐に帰ってきたという思いになります。


そうそう…『雪解』は今年8月、六本木ストライプハウスで再演をすることになりました。おとがたりでもとても気に入った作品で、ヴァイオリンの喜多直毅さんは、今までの荷風作品で一番好きだとのことです。あのような、なんともいえぬ微細な心色を、音楽で聞かせてくださるのは、直毅さんならではの独特の魅力ありきとおもいます。皆さんどうぞ、8月はおとがたりの朗読会にぜひお越し下さい。



2023.3.5 市川荷風忌




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第15回 市川・荷風忌ありがとうございました🌸



最後までお読み頂きましてありがとうございました。





「市川荷風忌」とは
「市川荷風忌」は毎年、市川市文学ミュージアムで5月に開催されます。荷風の終焉の地は市川市、本八幡です。大黒屋という料理屋さんで、毎日お銚子一本とカツ丼を食したそうです。私も何度かここで食事をしました。(今は市民学舎となっています)

ここ近年、長浜奈津子は、ヴァイオリニスト喜多直毅さんとの朗読ユニット”おとがたり”で、永井荷風作品の朗読上演させて頂いています。プログラムは、永井荷風についての講演があり、次に、おとがたりでの永井荷風作品の上演があります。市川本八幡の文学ミュージアムでは「市川荷風忌」という名前でお馴染みですが、浄閑寺(荒川区)で毎年4月30日におこなわれる「荷風忌」もあります。


永井荷風の散歩世界
今年の講演は、坂崎重盛氏(編集者・著述家)による『ナチュラリスト荷風の散歩世界を訪ねて』です。荷風というと散歩、そして荷風の終焉の地は市川。トレードマークの帽子、カバンを持ち、市川・本八幡界隈で散歩をしている永井荷風の姿が、よく見られたようです。当時にしては背が高く、目立っていいたそうです。名随筆『葛飾土産』がありますが、これは散歩に心を遊ばせ、風景を味わうなど、独居生活に風雅を感じる作品です。



永井荷風小説 『雪解』

今年の朗読演目は永井荷風の小説『雪解』です。目に鮮やかに浮かぶ、大正期の人々の暮らし、街々の風景。再会した初老の父と娘の物語を、情緒豊かに描いた荷風短編小説。

お照はそれにしても不人情なこの親爺にどういうわけで酒を飲ませてくれたのであろう。(本文より)

出演:おとがたり 長浜奈津子(朗読)喜多直毅(ヴァイオリン)


おとがたり ー 出演者プロフィールー



おとがたり https://www.otogatari.net
女優・長浜奈津子とヴァイオリン奏者・喜多直毅による朗読ユニット。首都圏を中心に意欲的に活動を行なっている。物語の持つファンタジーを声や楽器の音を通して空間にありありと描き出すために、即興的に互いの間・抑揚・言葉に反応しながら進行するパフォーマンスは臨場感にあふれ、聴く人はまるで物語の中に居合わせるかのような印象を抱く。来場者はもとより、文学研究者からも高い評価を得ている。

<オリジナル台本とレパートリー>
近年はオリジナルの台本と音楽による作品上演をする。漂白の詩人:石川啄木『啄木といふ奴 』~A Guy called Takuboku~、極北の詩人:吉田一穂『白鳥古丹 −カムイコタン−』、太宰治『人間失格~道化と狂気のモノロギスト~』、坂口安吾『桜の森の満開の下』『夜長姫と耳男』、永井荷風『 濹東綺譚』『にぎり飯』他多数。小川未明『港に着いた黒んぼ』、小泉八雲『耳なし芳一』、岡本かの子『鮨』、オスカー・ワイルド『幸福の王子』『わがままな大男』『ナイチンゲールと紅いバラ』等、レパートリーは多岐に渡る。市川市文学ミュージアム、小樽文学館、室蘭港の文学館、北海道函館市芸術ホール、札幌俊カフェにおける朗読公演など、ユニークな活動が注目を集めている。

長浜奈津子 https://www.nappy-cantactriz.com
桐朋学園演劇科卒業後、劇団俳優座へ。女優・朗読家。2016年から市川市文学ミュージアム「市川荷風忌」へ出演。 “荷風ひとり語り”『ひかげの花』他三味線語り。ヴァイオリニスト喜多直毅氏との朗読ユニット“おとがたり”では『濹東綺譚』他、永井荷風作品を多数上演。於:六本木ストライプハウス「朗読空間 ~ひとり語り~」では、泉鏡花『高野聖』『外科室』他、坂口安吾『桜の森の満開の下』『夜長姫と耳男』、小川未明『赤い蝋燭と人魚』、小泉八雲の怪談、宮澤賢治の詩と童話、他多数。 ときに“女優の語り” として物語の登場人物を演じ読み、ときに声のみで言葉や物語を聞き手に読み渡す。


喜多直毅 https://www.naoki-kita.com
国立音楽大学卒業後、英国にて作編曲を、アルゼンチンにてタンゴ奏法を学ぶ。現在は即興演奏やオリジナル楽曲を中心とした演奏活動を行っている。タンゴに即興演奏や現代音楽の要素を取り入れた“喜多直毅クアルテット”の音楽は、そのオリジナリティと精神性において高く評価されている。他に黒田京子、齋藤徹 (故人) との演奏や邦楽・韓国伝統音楽奏者・現代舞踏家との共演も数多い。欧州での演奏も頻繁に行う。我が国に於いて最も先鋭的な活動を行うヴァイオリニストの一人である。


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