さかなの回復日記

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だれも知らない時間

2024-04-29 20:27:51 | 日記
 どことなく不気味さが漂うタイトルに惹かれて、ページをめくってみた。表紙には平和にお魚が泳ぐが、その後ろには意味深な大きな時計がある。
 皆さんは、長すぎる時間を持て余した経験はおありだろうか。西日のあたる部屋、またはシーンとした丑三つ時、または朝早く起きた時の手持ち無沙汰な感じ…。これからずっとこんな時間が続くのかと恐ろしくなった経験はあるだろうか。
 この物語の主人公は、日々をやり過ごすことにうんざりとしてしまった、百歳のカメだ。毎日眠って、毎日夢を見るのだが、その夢もだいたい同じものの繰り返しなのだ。
 そんなときに、カメはある青年と浜辺で出会う。
「貧乏暇なしで、もう嫌になる」
と愚痴る青年に、カメはある取引を申し出る。それは、時間を分けてあげる、というものだった。
 この物語を読んで思ったのは、人間が生きる時間と、海の中の生き物が生きる時間は、ずいぶんと違うものなのかもしれない、ということだ。時間はひとつではないのかもしれない。生き物によって、独自の時間があるのかもしれない。もしかしたら、人間ひとりひとりも、それぞれ違う時間を持っているのかもしれない。だから、寿命がみんな違うのかもしれない。
 そう考えたら、なんだか気が楽になってきた。人は人、私とは生きてる時間が違うんだと思えば、誰とも競争する必要も無いし、時間に追われる必要も無いし、待ち合わせに遅れたって仕方ないことだと思えるし、よくアドバイスとして言われる、規則正しい生活をしなさい、なんて嘘っぱちだって思える。
 なんだか嬉しくなった。さて、今日は少し夜更かししてみよう。明日の仕事に遅れたって、まぁいいさ。小さなことさ。私の生きる時間は、どのくらいの長さかな。わからないから、毎日のんびり生きてみることにしたよ。この絵本を読んで良かったな。
 


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