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こと子先生の国語教室

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光村言子(みつむら ことこ)の国語教室

5年 実態調査問題

2008-06-21 | 5年

大変遅くなりました。
ご要望のあった、5年の実態調査問題です。

新しい指導要領では、
C 読むこと
(1) 読むことの能力を育てるため,次の事項について指導する。
ウ 場面の移り変わりに注意しながら,登場人物の性格や気持ちの変化,情景などについて,叙述を基に想像して読むこと。
オ 文章を読んで考えたことを発表し合い,一人一人の感じ方について違いのあることに気付くこと。
となっています。 

調査のねらいは、
1 登場人物の気持ちの変化を読み取ることができるか
2 
文章を読んで考えたことを書くことができるか
の2点です。

<問題文>(教育出版 5年 国語下 11年検定) 解答例
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放課後、図書室で、わたしが友達とおしゃべりしながら本をさがしていた時、江口さんが、
「うるさいから、静かにしてよ。」
と言いました。ほかにもおしゃべりしていた人がいたので、、だれに言ったのかなと思って、
「わたしに言ったの。」
ときいたら、江口さんは、ふんと横を向いてしまいました。わたしは、江口さんの態度がくやしくてたまりませんでした。その後、わたしは、しばらくの間、江口さんとは口もききませんでした。
 でも、ときどきわたしの心の中で、いろいろな声がしました。
「よく考えてみると、悪いのは、図書室でふざけていたわたしのほうかもしれない。」
「でも、だれに注意したのかぐらい教えてくれてもいいのに。」
そんな状態が三か月ちょっと続いたある日、江口さんから手紙がとどきました。
「仲直りしませんか。」という文を読んだ時、わたしは、とてもうれしくなりました。それと同時に、先に言い出せなかった自分がはずかしくなりました。
 次の日、わたしも江口さんにあやまりました。すると、心の中の重いかたまりが、すうっととけていくのを感じました。
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問1 次の時のわたしの気持ちを表している文をぬき書きしましょう。(10点×5)
問いの意図1
①江口さんが横を向いた時(くやしくてたまりませんでした)
②三ヶ月の間(いろいろな声がしました)
③江口さんの手紙を読んだ時(うれしくなりました。はずかしくなりました)
④江口さんにあやまった時(心の中の重いかたまりが、すうっととけていくのを感じました


問2 江口さんは、なぜふんと横を向いてしまったのでしょう。あなたの考えを書きましょう。(20点)
問いの意図2
(「わたしに言ったの。」という言葉が、わざととぼけているように感じたから)

問3 わたしには、A「よく考えてみると、悪いのは、図書室でふざけていたわたしのほうかもしれない。」B「でも、だれに注意したのかぐらい教えてくれてもいいのに。」の二つの気持ちがありました。この場合、あなただったら、どちらの気持ちが強くなると思いますか。(10点×3)
問いの意図2
A(   )%   B(   )%
そう考えた理由(                             )


A( 40 )%   B( 60 )%
そう考えた理由(何の悪気もなく「わたしに言ったの。」と言ったのに、ふんという態度をとられたので、腹が立って当然だと思うから)

                           


スパイラルとは

2008-04-08 | 5年
   さて、前のページでは、教材を領域によって色分けして、学習する順序に線で結んでみました。
  今度は、これをちょっと並べ替えて、もう一度、学習する順序に線で結んでみましょう。その結果、渦巻き状の曲線になったと思ってください。
   この渦巻き状の曲線は、上から見ると同じ色が重なって見えます。そして、横から見ると同じ色が層になって重なっているように見えます。これは、これから出る指導要領のキーワードになる(?)「スパイラル」を図にしたものです。(別に全く新しいことではなく、当然のことですが) つまり、同じ領域の教材を指導する時は、前の教材で身に付けさせたことを強化をしながら、新しい要素を加えなさいということなのです。

実態の把握の仕方<4>

2008-04-04 | 5年
③書くこと
「書くこと」では、まず、視写の速さを見ましょう。視写というのは、文章を見て、その通りに書き写すことです。そんなこと簡単じゃないかと思われるでしょうが、児童によっては、一つの漢字を書くにも、 何回も見ないと書けない子もいます。逆に、漢字をよく習得していれば、一回見ただけで、何文字も書くことができます。ですから、音読の項目でもお話したように、視写の速度を見れば、その子どもの国語の力が、ある程度わかるということなのです。

調査の仕方
教科書P22「お願いの手紙」を、原稿用紙に書き写す。5分間で何文字書くことができたかを数える。(句読点も含む)

評価基準
100字~125字 B
126字~    A
0~99字   C

*5年生では最終的に分速30字を目標にしますが、年度はじめのこの段階では20字でBと評価します。

実態の把握の仕方<3>

2008-04-04 | 5年
②話すこと・聞くこと(2) 
「聞くこと」の調査は一斉にできますが、「話すこと」は難しいですね。それに、事前指導なしでは、求めるような調査はできません。そこで、「話すこと」ではなく、「話し合うこと」の調査を先にすることにします。5,6年の目標は、「自分の立場や意図をはっきりさせながら(計画的に)話し合うこと」です。年度始めなので「計画的に」はちょっとできないでしょう。調査は、学級会で行います。
問題
明日の3時間目に学級のみんながなかよくなるためのスポーツ会をします。どんなスポーツをしたらいいでしょう。わけをつけて意見を言いましょう。同じ意見でもいいので、全員が意見を言ってください。同じ意見の時は、だれと同じかも言いましょう。

評価基準
B 意見群のどれに属するかをはっきりさせて発言し、理由も述べている。
例 わたしは、ドッジボールがいいという意見に賛成です。理由は、~さんと同じで、みんなが参加できるスポーツだからです。
A 他の人の意見を聞いて自分の意見を修正したりして複数回発表している。
例 さっきはドッジボールがいいと言ったけど、~さんの意見を聞いて、ポートボールの方がいいと思うようになりました。理由は、~さんが言っている「このごろ体育でやっていて、みんなが好き」というものと同じです。
C 意見を言わない、他の人の話を聞いていないためだれと同じか言えないなどBに到達していない場合。

*他の人と同じ意見を言えばいいのだから簡単じゃないか・・・と思われるでしょうね。でも、聞いていなければ同じことは言えません。ですから、聞くことの調査にもなっています。学級会という実の場で行うので、授業のように正解があるのではなく、どんなことを言ってもいいということになります。こんな実の場面でこそ児童の本当の「話し合うこと」の力がわかります。

実体の把握の仕方<2>

2008-04-04 | 5年
実態の把握の仕方<2>
国語は、すべての教科の土台となる教科と言われます。その理由は、この「聞く」ことが、すべての教科で重要な要素となっているからでしょう。今日は、「聞くこと」の実態調査の仕方についてです。 
②話すこと・聞くこと(1)
聞くことこれは、市販のワークテストにあるようなテスト形式で行います。でも、プリントを用意するのは大変ですから、p22の「お願いの手紙」を使って行います。 
)p22の手紙を読み聞かせる 
)下の問いを黒板に書いて、白い紙を渡して答えを書かせる

問題
手紙の内容について聞きます。
問1 何をお願いする手紙ですか。(和紙工場を見学を許してほしい)
問2 何のためにそうするのですか。(地域の特色を取り上げた新聞を作るため)
問3 何人で行くのですか。(六人)
問4 相手からの返事でしらせてほしいのは、どんなことですか。
   (見学に都合のいい日時、見学のとき注意すること)

5問中何問正解したかを数えます。(第4問は2と数えます)
さて、解答はどうしていますか?児童に力を付けるための最もよい方法は、その場ですぐに解答をしてしまうことです。自分で○をつけさせましょう。頭の中に問題があるうちにやると、自分の間違いに気付き、修正することができます。でも、時間がたってからやると、自分がなぜそう書いたのか思い出せなくなってしまうこともあります。ですから、すぐにやるほうがいいのです。

学級の実態を把握しましょう

2008-04-04 | 5年
1学級の実態を把握しましょう                                       
国語の授業をスタートする前に、まず、学級の実態を知りましょう。音読はどのくらいできますか?漢字は書けますか?
そして、                    

5年○組   「国語科指導全体計画」      を作りましょう。    (「全体計画」についてはのちほど) 

時間がかかるんじゃないの?とか、調べるのはいいけど、処理が面倒なんじゃないの?という心配はご無用です。調べるのに要する時間は、全部で2単位時間です。もし、データを表に打ち込んでメールしていただければ、こちらでグラフ化し、診断した結果もお送りします。簡単でしょう。


2実態の把握の仕方                    

 学級の国語能力の実態は、                
「読むこと」                        
「話すこと・聞くこと」                
「書くこと」          の3つの方向から見ます。


 ①読むこと
この忙しい時期にプリントを準備したりするのは大変ですね。ですから、教科書を使います。「漢字の成り立ち」のうちのp20の部分です。音読調査には、このような説明的な文章がふさわしいと思います。説明的な文章は、難しい言葉が多いので、どのくらいの語彙を持っているかが調査できるからです。
評価する基準は、
B新出漢字は読めないが、言葉の意味のまとまりを意識して音読している。(「絵のようにえがいて表していましたが」のような読点のない文を、「絵のように」「えがいて」「表していましたが」のように切って読んでいるか。ということです。)
A新出漢字が既に読める。Bに加えて、「基準」「本」が読めている。(下の部分はかくして読ませます)
C Bに到達していない
で行います。
この場合、漢字の読みばかりにとらわれないで、むしろ、意味のまとまりをとらえているかに注目して聞く方がいいと思います。調査は別室で一人ずつ行います。一人2分もあればできます。新しく担任した学級であれば、この機会に教育相談的なことをするのもいいかもしれません。Cの児童には、特に配慮しましょう。「この漢字は、まだ習っていないから、読めなくて当たり前だよ」「ここがよく読めたね」「発音がいいよ」などの声がけが大切です。ここで、国語が苦手という意識をなくするための種をまいておくことができます。もちろん、A、Bの児童も同じです。教師にとっては調査でも、児童にとっては先生と触れ合う機会なのですから。

*音読についての思い出があります。高校の時、英語の先生が「商社の入社試験では、その日の英字新聞を声に出して読ませるんだ」とおっしゃったのです。当時は、「えっ、声に出して読むだけで、どうして英語の力が分かるの」と思ったものでした。国語も同じです。声に出して読むだけで、内容をどのくらい理解しているかが分かるものですよね。ですから、音読の調査はとても大切です。