~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

『プレシャス』・・・ ※ネタバレ有

2010-04-25 20:48:12 | 映画【アメリカ】

  『プレシャス』:公式サイト

新しい日
第一歩


過酷な時に煌びやかな幻想を思い浮かべるプレシャス〔ガボレイ・シディベ〕がやるせない・・・。
きっと、プレシャスはそういう幻想を抱かないと生きていけなかったんだろうな・・・。


私は未婚なので、プレシャスの母:メアリー〔モニーク〕の気持ちは到底理解し難いけど、
きっと、家庭を持つと “女としての自分”“母としての自分”がせめぎ合うものなのでしょうね・・・。
メアリーは“女としての自分”の本能に過敏で
性的虐待とはいえ、夫に触れられているプレシャスに嫉妬してしまった・・・。
メアリーは“母としての自分”になりきれなかったという事なのでしょうか?
凶暴な鬼と化していたメアリーが誰よりも弱い人間だったという事なんだろうけど、
子供を産んだ限りは“母としての自分”を優先して娘プレシャスを守るべきでしょ。
それが、親としての当然の責任だと私は思うけどな・・・。

プレシャスは父からの性的虐待で二人の子供を出産し、挙句の果ては父から病気までうつされ、
それでも“母としての自分”を尊重して子供達の事を考え生きようとしている。
プレシャスのほうが責任感あるし、大人ですよね。
悲惨な現実に打ちひしがれていても前に一歩踏み出していける強さがある。

フリースクールの女教師はそういうプレシャスの資質を見抜いていたからこそ、
プレシャスが教室で病気の事を告白しても嫌悪感は示さず、力になってくれたのでしょうね。

それにしても、プレシャスは3歳から父に性的虐待を受けていたとは・・・。
 実父なのか?義父なのか?
肝心な部分だけど、明確には描かれてはいなかったですね・・・。
父は性的虐待場面しか登場していなかったけど、
父の心情をもっと掘り下げる事が出来ていれば、
作品賞も獲得出来る秀作になっていたでしょうね。
でもまぁ、女性視点で描く事にこだわった作風なのかもしれないけどね。

ワイス役:マライア・キャリー

オフィスですっぴん?な上にまるで能面のような無表情は違和感あったけど、
スターオーラを消していたのはプロ根性を感じて好印象。

メアリー役:モニーク

アカデミー賞の助演女優賞など数多くの演技賞を受賞しただけあって鬼気迫る演技で凄かったけど、
クライマックスの告白場面はもう少し声を細めてか弱さ(憂い)を表してほしかった気もする。

プレシャス役:ガボレイ・シディベ

表情に細やかさがないので、演技はまだまだこれからな気もするけど、
存在感は抜群だったね。

今年、日本で公開されたハリウッド映画で例えるならば
『シャッター~』『アリス~』の安直なプロットにはノレなかった私だけど、
『しあわせの隠れ場所』『やさしい嘘と贈り物』『フローズン・リバー』のような
生活に関する重厚な題材を描いた物語は心に迫ってきますし、私の感性に合うようです。

 
*『しあわせの隠れ場所』* ※ネタバレ有

 
~『やさしい嘘と贈り物』~ ※ネタバレ有

 『フローズン・リバー』・・・ ※ネタバレ有

心にズシンときたハリウッド映画でした。



≪『プレシャス』関連記事≫

 
「プレシャス」主演、ガボレイ・シディベ “究極のシンデレラガール” 〔MSN産経ニュース:10.4.24〕


14 コメント

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こんばんは。 (KLY)
2010-04-25 21:36:38
ショックだったのはこの物語が1987年が舞台だったということでした。私とプレシャスは1つしか歳が違いません。どうしても自分と引き比べてみてしまいます。我ながら情けない…。己がいかに恵まれていたのか、いかに親に愛されて来たのかを痛感しました。

私はメアリーも愛されたかっただけなのではないかと思ったんですね。しかしプレシャスにワイス先生がいてあなたは愛されているのだということを教えてもらえたのに対して、彼女にはそうした存在がいないまま大人になってしまったのではないかと思うのです。だからある意味最初の頃のプレシャスはメアリーと似ているのじゃないかと。

ただメチャクチャ重い話でありながら、鑑賞後は未来に希望が持てる、予想に反して心が軽くなるような作品だったのが救いでした。
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こんばんは☆ (mig)
2010-04-26 03:03:55
BCさんコメTBありがとう☆

重い話だけど、見せ方が独特で明るさを見出せる内容だったのが良かったですよ、
音楽の使い方とか。
キャスティングも最高に良かったですね。
ただ、レニークラビッツはちょっと中途半端な役立ったのが惜しいかな。
期待裏切られないモニークもさすがでした~☆
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母親と子供。 (BC)
2010-04-26 23:47:55
KLYさん、こんばんは。
トラックバック&コメントありがとうございました。(*^-^*

メアリーの生い立ちやメアリーの夫の事は詳しく描かれていなかったので
何とも言えない部分はあるけど、
メアリーはキチンとした教育を受ける事が出来なかった境遇だったのかもしれないですね。

人を心から愛さなければ自分は誰からも愛されない・・・。
お互いが歩み寄っていくのが愛情だと思うけど、
それでも無条件に愛されたいと望むのが女の性なのかもしれない。

だけど、子供を産んで母親になったのならば、
母親として子供を守る事を第一に考える母性が芽生えると私は思うんだけどな・・・。
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希望。 (BC)
2010-04-26 23:48:20
migさん、こんばんは。
migさんのツィッターも読んでいますよ。
migさんはお忙しそうですね。

音楽の使い方やプレシャスの幻想場面の映像はオシャレだったね☆
キャスティングも見事でしたね。
私は観ている時はレニークラビッツだと全然気がつかなかったの。。。
レニークラビッツもマライアも脇役に徹してサポートしていたのが好印象でしたね。

プレシャスに次々と追い打ちをかけるような
辛い出来事ばかり起きてしまうけど、
フリースクールの先生やソーシャルワーカーに力になってもらえた事で
希望を見い出せるようになっていったのが良かったですよね。(*^-^*
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Unknown (mig)
2010-04-27 16:11:02
こんにちは★
きゃ!ツイッターも読んでくれてるの嬉しいな~!

BCさんはやらないのかな??

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演技力 (きらり+)
2010-04-28 15:23:32
BCさん、こんにちは。
オスカー演技なモニークさんってばコメディアンらしいですね。びっくりです。すっぴんマライアも人のよさそうなレニークラヴィッツも意外なサプライズでいいエッセンスでした。
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ツィッター。 (BC)
2010-04-28 22:06:41
migさん、こんばんは。
migさんのツィッターをはじめ
マイブログにブックマークさせて頂いているブロガーさんや
TBやコメントでやりとりさせてもらった事のあるブロガーさんの
ツィッターがわかれば読むようにしています♪

>BCさんはやらないのかな??

ツィッターはブログで記事にするほどではなくても
つぶやきたい事がある時は丁度良いかなぁ~。
という気がするから興味はあるんだけど、
忙しい時はブログだけで手一杯になってしまうので
その上にツィッターも始めるとかなり時間をとられてしまう気もするし・・・。

PC音痴なBCはツィッターの使い方や読み方がまだよくわかっていなくて。。。
ツィッターを読んでいても
 ツィッター主のコメントなのか?
 ハンドルネームがリンク表示されている他の人のコメントなのか?
わからなくなったりしているし。。。
 “フォロー”って何?
 “なう”ってツィッターの合言葉なの?
という初心者レベルなの。(^-^;

もし、ツィッターを始めるとしても
もっと色んな人達のツィッターを読んで、
もう少し、ツィッターというモノを理解してからになりそうです。
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モニーク。 (BC)
2010-04-29 16:51:17
きらり+さん、こんにちは。
コメントありがとうございました。(*^-^*

コメディアンは芝居が上手な人が多いし、
こういう役柄でも堂々と表現出来る度胸があるのでしょうね。
モニークは迫真の演技が凄かったですよね。
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Twitter (rose_chocolat)
2010-04-30 02:31:08
Twitterは、それまでやってた映画系SNSがなくなるので登録したのがきっかけなんだけど、
blogとは別の世界がありますね。
スタンスも全然違うし~。 最初は様子見でしたけど、何となくわかってきたようなそうじゃないような。
確かに時間がなくなることは気をつけないといけないけど、blog記事書きながら別窓でツイートを眺めてたりしてます。 そのくらいの希薄さでいいよっていうのが今の風潮かな?

さて本作ですが、20数年前にこれほどまでにすごい境遇だったプレシャスを敢えて今出したのは、状況はほとんど変わっていないことを取り上げたかったのかなとも感じました。
子に対しての虐待は表面化しにくいですよね。
それに対してのメッセージのように思えました。
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Twitter、家庭環境。 (BC)
2010-04-30 23:29:15
rose_chocolatさん、こんばんは。
rose_chocolatさんのTwitterも読んでいますよ。

映画blogの記事は下書きしたり画像も集めたりして
準備してから書かなきゃという気負いを感じる時があるけど、
Twitterはその瞬間に思った事を気ままにつぶやけばいいから
そういう意味では気軽に書けるのかもしれないですね。
映画ブロガーさんは日常的な事を語る人が少ないので、
映画ブロガーさん達のTwitterを読んでいると
その人なりの生活感や映画以外の趣味を知る事が出来たりしますね。

20年以上経って今現在では改善されていたら
こういう映画は製作されていなかったかもしれないですね。
今でもこういう問題は残っている、
もしくはプレシャスの家庭よりももっと劣悪な家庭環境の人もいるのかもしれない・・・。

>子に対しての虐待は表面化しにくいですよね。

やっている行為は明らかに“虐待”であってもその度合いによっては
親が“しつけ”と言ってしまえばそれで通ってしまう場合もあるので
子供への虐待は表面化しにくいのでしょうね・・・。
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