『あの夏の子供たち』:公式サイト
ケセラ セラ
ミア・ハンセン=ラブ監督が尊敬していた
映画プロデューサーのアンベール・バルザンが2005年に自殺。
その実体験をもとに描かれた作品。
自ら命を断ってしまった映画プロデューサーのグレゴワール〔ルイ=ドー・ド・ランクザン〕。
そして、残された妻と子供達・・・。
グレゴワールは映画作りにひたむきで家族達にも愛情を注いでいる。
唯一、上手くいっていないのは映画製作の資金繰り・・・。
グレゴワールは温厚な人柄だからか苛立ちを表面には出さず、一人で背負いこんでいる・・・。
そういうグレゴワールが街角で突然、拳銃を頭に向け自殺する・・・。
グレゴワールが拳銃を持ち歩いていたという事に恐ろしさを感じたものの、
自殺行為は衝動的だったようにも感じる。
考えた末の計画的な自殺だったならば
他人を巻き込むかもしれない街角では自殺しないだろうし・・・。
残された妻や子供達は突然グレゴワールが自殺して亡くなった事で
悲しみに打ちひしがれるというよりも債務が残された事で困惑している感じ・・・。
亡くなってショックというよりもどうして家族をおいて自殺したんだろう?
と冷静に話し合っている。
実際はそういうものなのかもしれない。
残された家族は生活があるのだから。
妻や子供達はグレゴワールの自殺は衝動的なものだったと解釈する事で
自分達は愛されていたと信じようとしているのがけなげでした。
その後も明らかになるグレゴワールの隠された真実・・・。
“ケセラ セラ”人生はなるようになるとわりきるかの如く
思い出の地を離れ、再出発していく妻や子供達の面差し・・・。
妻や子供達は一連の出来事に直面してきても
憤りをぶつけたり大声を上げて慟哭したりは一切しなかっただけに
長女:クレマンス〔アリス・ド・ランクザン〕が流した涙は心に迫ってくる思いがしました・・・。
不況の昨今、特にミニシアター業界は日本でも配給会社が次々と倒産している・・・。
制作会社となると想像以上に厳しい現状があるのかもしれないですね・・・。
P.S.
ミア・ハンセン=ラブ監督は1981年生まれの女性監督。
昨年に日本でも公開された『夏時間の庭』『クリーン』などで知られる
オリヴィエ・アサイヤス監督のパートナーで昨年、娘を出産しています。
~『夏時間の庭』~ ※ネタバレ有
~『クリーン』~ ※ネタバレ有
長女:クレマンス役のアリス・ド・ランクザンと
父:グレゴワール役のルイ=ドー・ド・ランクザンは実の父娘。
同時期公開の他の作品に押されがちなので。。。
最後に一気に胸に迫るものがありました。
これは、自分の中にフィードバックして、反芻するように鑑賞していく作品なのでしょうか。
運命は残酷、それでも時は流れていきます。
冒頭の幸せすぎるほど幸せなあのシーン、そして急転直下…。
そう、残された家族には生活がある。お腹も減るし、おかしいと思えば笑いもする。例え父親が死んでも、変わらず時は流れていくし、借金はなくなるわけじゃない。それを乗り越えていくであろうあの夏の子供たちの未来に思いを馳せながらのエンディングでした。
P.S
『ザ・コーヴ』とかどうでもいいので、代わりにこの作品公開して欲しいのですが…。観てもらえないんだろうなぁ。まあ余計なお世話なんですけどね…
6月は話題作が多いのでどの作品を観に行こうか迷うところではあるけど
私は近年、フランス映画への興味が深まってきているので
フランス映画を優先的に観ています。
今月は『コロンブス 永遠の海』『パリ20区、僕たちのクラス』を観に行く予定です☆
途中まではありきたりな家族再生物語にすぎない気がしたけど、
ラストシーンのクレマンスの涙を観て一気に胸が締めつけられる思いがしましたよ。
残された妻や子供達の現状は厳しく、心が完全に満たされる事はないかもしれないけど、
それはどうであれ、人生はなるようにしかならないし、時は流れていくのでしょうね。
パリを離れてもパリでの良い思い出も辛い思い出も消える事はないし、現状は厳しい・・・。
子供達の未来は輝かしいとは言いきれないけど、
乗り越えていってほしいものですね。
さっそく「夏時間の庭」を借りてきました。2回目です。東京のオルセーにはこの夏行きたいと思います。
『夏時間の庭』に通じる絵画的な空気感でしたね。
それと、長女クレマンスが涙を流す場面は『クリーン』を思い出しましたよ。
ミア・ハンセン=ラブ監督は
パートナーであるオリヴィエ・アサイヤス監督の影響を受けているのかもしれないですね。