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拉致の解決を願って
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『金賢姫様へ』飯塚耕一郎さんからの手紙

2006-04-16 | フレーズ
群馬県前橋市で行われる集会『あなたも拉致の現実を知ってください 』のチラシに掲載されている、田口八重子さんの長男飯塚耕一郎さんから、大韓航空機事件の犯人、金賢姫宛の手紙です。

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金賢姫様へ

前略
  突然の手紙をお許しください。私は田ロ八重子の長男の耕一郎と申します。
  私の母であると言われている李恩恵について、お話を聞かせていただきたくペンを取りました。
 金さんにとっては、もう思い出したくない話かもしれません。
  しかし、私には母親の思い出がまったくないのです。
  母が北朝鮮に拉致されたのは、私がまだ1年半のときでした。
  母親の兄である飯塚繁雄に引き取られて二十五年、母のことは写真と養父から聞く思い出以外には何も知らずに生きてきました。
  それまで、記憶にない母に対する感情は正直言って曖昧なものでしかありませんでした。抱いてもらった思い出も、叱られた思い出も何もないので、当然なのかもしれません。
  2002年9月に、母の死亡という報道を海外出張先で知りました。そのとき心が張り裂けそうな衝撃に駆られました。どうしょうもない虚無感に駆られ、涙を流しました。
  そのときの気持ちはいまだに自分の中で整理できていないのですが、きっと自分の中に、二十五年ものあいだ触れることができなかった母親に対する感情がない、と知ったからだと思います。私には、実母の写真を見ても、どのような声で、どのような笑顔をしていたのかまったくわからないのです。

  そんな母に対してどんな感情を持てばいいのかわからないのです。ですから、金さんから母のことを聞いて、一片でも母の面影を自分の心の中にじかに焼き付けたい。私はまず、このことから始めたいのです。

  これから私が見るべき明日に向けて、そして未来の家族のためにも、空白になっている母の面影を少しでもつなぎ合わせていきたいのです。
  お忙しい中、このような手紙をご覧いただき、ありがとうございました。
  どうかご自愛ください。また、乱文失礼いたしました。      敬具
飯塚耕一郎


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