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mooseum

思ったことを思ったままにとりあえず書いてみたいと思いマス。

野田秀樹 『21世紀を憂える戯曲集』と『21世紀を信じてみる戯曲集』

2014-06-30 14:40:28 | 本・雑誌
野田秀樹。

一時期は追っかけのように公演を見ていた時期があって、それらの戯曲集があるということを知って

「おお*´∀`)ノ」

喜んで手に取ったけど、

「・・・??」

頭に入って来ない。

役者の人たちは、これを読んでどうイメージを膨らませてるん?

戯曲を読むより舞台見た方がええやん

と思ったし、今もそう思ってるけど、私の手が勝手に持ってたんよ、
『21世紀を憂える戯曲集』と『21世紀を信じてみる戯曲集』を。



個人的には『21世紀を憂える戯曲集』の方がキタ。

たぶん、理由はこれ。

(2007年「THE BEE」公演パンフレットより)------------

劇場にいい夢を見に行くのか、悪い夢を見に行くのか、
それはまあ趣味の分かれるところであろうが、
ミュージカルなんて能天気なものが全盛の昨今、
どうやらいい夢志向の観客が劇場を支配しているようだ。

私はそれが気に入らない。

感動するためにこの芝居を見に来たお客様、ごめんなさい。
この芝居を見ても感動できません。
涙は流せません。

いや感動させてなるものか。涙など流させてなるものかという
心意気で作っています。

だから、感動はできませんが、後にはかなり尾を引きます。

そのことがどうしても納得いかないお客様は、叶恭子が出てくる
悪夢を見てしまったと思って諦めてください。

そして尾を引いたものというのは、なんでこんな夢を見て
しまったのか考えることになると思います。

たまには、涙を流してさっぱりしないで、そんな悪夢も見てください。

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そう、尾を引いた。

特に「THE BEE」は原作・筒井康隆。
個人的に、筒井康隆は入ってくるから

「あーーーー、しもたーーー、読んでしまったーーーー」

という感じデス。



それと、もひとつ。

自衛隊の

「そうだ、戦車に乗ろう!」

というキャッチコピーにときめく人たちに、ぜひ「ロープ」を見てほしい。


戯曲「ロープ」より-------------------------

カメレオン 実弾が入ってるよー。

ノブナガ お前が入れたからだ。

カメレオン お前が撃ったからだ。これプロレスだろう、プロレスだぞ。

タマシイ さっきまではね。

ノブナガ こんなことってあるか、この戦いは仕組まれているって誰もが知っているのに、最前線にいる俺たちだけは、ガチンコでやるしかないって。

タマシイ だってそれが戦場だもの。

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で、その後リング上で(戦場で)なにが起こったのかは、
「タマシイ」の実況を聞いてほしいねんけど、戦車に乗ったら、
それが自分に起こるねんよ。


タマシイを演じた宮沢りえさんは、ほんま気の毒と思うよ。

言葉って、効くねんよ。

仕事とはいえ、こんなセリフを何十回も何十回も言ってたら、
そらもう当分言霊から逃げきられへんと思うし、何を思ってこの役を
引き受けたんかはわからへんけど、尾を引きまくったとしても
野田秀樹の舞台に出たいという気持ちがそうさせたんかもしれへんけど、
叶恭子の夢、どころ違うんちゃうん。

戯曲を読むより舞台を見る方がよくて、舞台を見るより演じる方がいいってこと、か。
どれだけ尾を引いても。

<お知らせ♪>

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■野田秀樹
『21世紀を憂える戯曲集』
『21世紀を信じてみる戯曲集』
共に新潮社

大阪アースダイバー

2013-02-12 16:42:59 | 本・雑誌

犯罪を犯して逃亡中でも、その人が岸和田出身だったら


絶対にだんじりの時に地元に帰ってくるから
張り込んでいれば捕まえられる


らしい。


そんなことが( ̄◇ ̄;)


と思うけど、たしかに大阪、特に岸和田人のだんじりへの思いは
控えめに言っても常軌を逸する。



だんじりにはハンドルがない。

で、どうやって方向転換をするかというと、だんじりの前輪の上に
前梃子(まえてこ)なるものがあって、それを押し込むと前輪が
ロックされる。

で、20~30人が後梃子(うしろてこ)につながっている綱を外側に
向かって強く引くとだんじりが旋回する。



サラッと書いたけど、だんじりは

重さ4トン

直進機能オンリー

という江弘毅さん曰く、「曲げることは初めから無理」なものなのに、


その無理を承知で、それも極端な形でやってしまう


らしい。



だから、時々出る。


死者が。


特に前梃子に。



日本全国、危険以外の何ものでもない祭りは結構あるけど、
なんでそんなにまでしてせなあかんの・・・と思う。



理由。

ーーーーーーーー

大阪は海民のつくった都市である。

この人々の心の奥には、海上の生活の記憶が深くセットされていて、
陸に上がって商人や農民になった後も、その記憶は少しも薄らぐことがなく、
海上を軽快な小型船で疾駆していたかつての生活を、せめて夢の中
で取り戻したいと願っている。

陸の地面は動かない。

そこで、陸地を海に見たてて、想像の中で街路を海流の流路に変容させ、
その海流を巧みに乗り切って行く技に男意気のすべてを賭ける、
勇壮きわまりない祭りを案出したのだった。

(『大阪アースダイバー』、中沢新一、講談社、p290参照)

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さらに、江弘毅さんによると、

だんじり=捕鯨

らしい。


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江:たくさんの勢子で、一個の大きい鯨を前に曳いていく。
地車って巨大ですよね。
それを上手に手なずけたりとかですね。

地車をコントロールするのは鯨を操るのと同じです。
(鯨に致命傷を与えるために)海に飛び込んで鼻を切る役目が、
だんじりで言うと「前梃子」なんですね。
命をかけてということですね。

(『大阪アースダイバー』、中沢新一、講談社、p297ー298参照)

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これを受けて中沢新一は


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捕鯨が体験させる巨大なエネルギーの動きと、その動きを集団の能力に
よって制御していくさまが、街路を疾駆する地車とその動きを危険も
かえりみず制して行こうというだんじり祭りに再現されているのだ。

(『大阪アースダイバー』、中沢新一、講談社、p299参照)

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とする。




体に組み込まれているのか・・・

そら、帰るわな・・・



『大阪アースダイバー』という本は、中沢新一が

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私は現代の大阪に、この「大阪の原理」「大阪の理性」が力強く
目覚めることを切に願って、『大阪アースダイバー』を書いたのである。

(『大阪アースダイバー』、中沢新一、講談社、p311参照)

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と最後に書いているように、関西に住んでいる人が読んだら
すごいめちゃ深いところから何かが目覚めてくるような


そうやったんか( ̄◇ ̄;)


なことの連続で、付箋を張り出したら全ページに貼らなければいけなくなって、
後で見返したらなんでこんなところに付箋がついてるのかようわからんことも
あるけど、読んでいる最中はとにかく夢中になることはそらもう絶対で、
なんというか、ものすごい深いところをざわつかせてくれます( ̄▽ ̄)


すごい本です( ´ ▽ ` )ノ


■『大阪アースダイバー』、中沢新一、講談社、