先に言えば私はアンチスザクでも擁護スザクでも無いです。
ただ、一言では表せないスザクについて考えたいだけなのです。
考え方が違う、ということで不快になった場合はすみません。
それは、謝るしか出来ないので。すみません。
まずはプロフから。
★プロフ★
皇暦2000年7月10日生 かに座 O型 176cm
大きな緑の瞳。童顔。並外れた身体能力。小さい頃はガキ大将タイプ。


日本最後の首相・枢木ゲンブ首相の息子で
現日本代表皇神楽耶と共にキョウト六家の生き残り。神楽耶とは親戚にあたる。
10歳の夏、祖父宅・枢木神社にてルルーシュ・ナナリーと知り合い、幼馴染になる。

父親であるゲンブを殺害し、日本とブリタニアの全面戦争を回避させたが
日本は侵略され、ブリタニアの植民地となる。ルルと離ればなれに。


「中から変える」のを目標に、名誉ブリタニア人となりブリタニア軍に入隊。
理解者を得、功績を上げて、騎士候(一代だけの貴族待遇)となる。
皇帝直属ナイト・オブ・セブン。元故第3皇女ユーフェミアの騎士。






高校は休学と復学を繰り返しており、生徒会に所属。
ユーフェミアの元恋人、カレンの友人、藤堂の教え子…様々なつながりを持つ。
物語のキーパーソンになるのでは?と、期待を煽るポジションにいるのだが…。


スザクの経歴・属性には、多くの異なる側面があり
それはそのまま彼の生き方の矛盾を反映している気がします。
スザクの生き方と精神状態の軌跡を考えてみます。
★偽善の頃★
幼少時代はやんちゃで少々短気だった少年が、7年後には大人しくて他人優先になっていた。
スザクのこの性格の形成には、言うまでもなく
父親を殺したことに対する罪悪感が深く影響していると思う。
おそらく「自分は罪人なのだ」「間違えたのだ」という自己不信が
「これ以上間違えてはいけない」という怖れになり
彼を必要以上に正しいこと・善良なことに向かわせたのだと思います。
つまり、1期におけるスザクは
自分のバランスをとる為に周囲と上手くやっていこうとしているだけの
「偽善者」だったと、私は考えています。
まあ、それが一般的な見方かもしれませんが。
でも私は偽善者スザクが嫌いじゃない。
実は偽善というのは、「善良」ってどんな人なのかの
イメージが無いと成立しないので
本当に悪い人は偽善者にもなれないんですよね。
それに、不安定な自分を隠すために、とりあえずいい人ぶるって、よくあることだと思うから。
スザクの場合、再会したルルに「お前、大人しくなったな」と言われて
特に反論しないことから推測すると
自分は偽善的であるという、自覚があったのではないかと思います。
自覚しているのは苦悩と孤独を抱えているということ。
きっと辛かっただろうなあ、と思います。
★本当のスザク★
しかし徐々に変化が訪れる。
ひっそりと心の奥にしまっておいた罪の意識が
CCによって見せられた深層心理の脳内ビジョンや
マオからの指摘によって、顕在化させられていくんですね。


顕在化したものは、認識しないといけない。
そしてその情報を他者と共有することでしか、孤独から開放されることは出来ない。
事実を事実として自分を責めることなく受け止めた時に
初めて自分と他人を本当に愛せるわけです。
最初にルルが、それを知っても態度を変えない。
でも、この頃はスザクは不安定でした。葛藤している様子を、セシルさんが心配していた。


やがてカレンに打ち明けられるほどになり(目が据わってますが)
その後とうとうユフィに自ら打ち明けます。


ユフィはスザクが「自分を許せない」ことも含めて
スザクを好きになり、両思いになることで二人とも幸せになろうとします。
スザクはユフィの好意を受け入れることで
ようやく自分が生きていることを喜ぶことが出来た。孤独から解放された。
更にブリタニアの中から平和を取り戻そうとするユフィのやり方は
スザクの理想と被っているように見えて、ユフィといればブリタニア軍に入ったことも心から肯定できた。
スザクにとってユフィは単なる恋人では無く
もっとずっと深く大きくスザクの存在を包み、肯定するものだった。
この時から、スザクは自分や他人に嘘をつく必要が無くなります。
いい人ぶる必要も無い。正直でいても孤独になるわけじゃないから。
勇気も湧いてきたことでしょう。


でもその矢先にスザクの眼前でユフィはゼロに殺されてしまう。
ユフィの死によって、憎しみという感情を抱えることになる。
そしてユフィの庇護や協力を失い、一人で自分がやってきたことの矛盾に向き合うことになる。
ユフィのナンバーから、ルルに電話した時こそ
綺麗事は捨てて生きよう、と決意した瞬間だと思います。


多分、ここからが『本当のスザク』なんだと思う。
つまり最近のようにルルを足蹴にするのが、スザクの本性なんだと私は思います。
カッとするとロイドさんを殴ったりね。
いっぱいいっぱいになるとリフレイン持ち出したりね。
きっと元々そういう人なんだよ、スザクって。

幸せじゃないんだから愛想もない。この頃は特に怖かったなあ。


★矛盾という迷宮★
スザクが抱える矛盾について考えたいと思います。
「間違えたやり方で」スザク自身が作ってしまった、日本が侵略された世界。
スザクは侵略者(ブリタニア)側のルールに従うのが「正しい」やり方だと主張する。
「過去を間違えた」とするなら、贖罪の方法は一つ、とゼロは言った。
この世界を壊すこと(黒の騎士団に協力すること)。スザクは断ります。
「黒の騎士団=間違ったやり方」だと主張して。
そもそも「殺人=間違いだった」としながら、軍にいるのが分からない。
すべての殺人を否定するなら、軍には入るべきでは無いですよね。
「大義名分があれば殺人もOK」という意味なら戦争は肯定されるので
父親を殺す必要は無かったということになる。
じゃあ、スザクは何を考えている?
一見、矛盾しているようだけど、スザクの行動の動機は
すべて「日本人を救う」ためということで、一貫性が見えてくる。
その時々の情勢に合わせて日本人にとって痛みの少ない方法が
スザクが歩いてきた道なんだと思います。
でも実はコードギアスでは、スザク以外のキャラは
大半が大義名分や国家の理想の為には動いてないんです。
ルルは勿論、
カレンも「どっちが正しいかなんて誰に決められるの?!」と言い、家族のために戦っている。
シャーリーだってルルが好きだから、すべてを許してしまう。
ブリタニアは国益の為に領土を広げ、軍人は忠義の為に命も惜しまない。
だからコーネリアが、ユフィの汚名を晴らす為に国を飛び出しても
「アリだな」として違和感なく受け止められるし
科学のことしか考えてないロイドさんやラクシャータも好きになれる。
皆、自分や自分が愛する人の為に、道徳なんて捨てて戦っているんだ。
誰よりユーフェミアが言ってた。
国家の理想や大義名分の為じゃない。
ただ、好きな人と昔好きだった人の笑顔が見たいだけって。
でもスザクは自分がどうしたいか?よりも「罪」とか「正誤」とか「結果よりプロセス」にこだわる。
だから周囲とのズレはどんどん広がって頑張ってるのに誰も救えなくて空回りして
カノンをイラッとさせて、視聴者にはウザく見える。
唯一、理想と国民の為に戦っている人達がいて、それは「黒の騎士団」なんだけど
スザクは黒の騎士団=正規の手順を踏んでない人達という理由で
「最初から間違っている」と切り捨ててしまってる。
そしてスザクが抱える矛盾は増えていく。
☆自分は父親を殺したのに、殺人を嫌悪する矛盾。
☆殺人や戦争を否定しながら、軍にいる矛盾。
☆日本人の平和を願っているのに勝利必達を目的とするブリタニア軍にいる矛盾。
☆自分は日本の為に父親を殺したのだから仕方なくて
自分の都合の為にユフィを殺したルルは許せないという矛盾。
☆ルルは許せないけど「正義の味方」になるなら許してもいいという…傲慢。
スザクは可哀相だ。可愛い顔をしてるのに(そこか!)
そしてもう一つ、スザクには嫌われる理由がある。
★期待をスルー?最悪の敵では無かったスザク★
主人公と正反対の性格と経歴の持ち主で、幼馴染の同級生で敵。
これは、いわゆる「少年ジャンプ」などに見られるライバルの定位置です。
主人公と拮抗出来る力を持ち、主人公とは異なる個性と魅力の持ち主。
「ナルト」のサスケとか「デスノ」のLとか?
ルルの前に立ちはだかる最強最悪の敵に成長することを期待出来るポジションに
スザクは配置されていました。
1期は「皇女と魔女」に見られるように二人の変化は対比しながら描かれ
戦闘における存在感もR2の比ではないほど大きかった。
「シンジュク」「ホテルジャック」「ナリタ」「キュウシュウ」
どれもランスロットが戦いの行方に直接関与していました。
でもR2になってからは、明らかに物語はルル中心になりました。
スザクレベルの戦力を持ったキャラも多数登場したし
あっさり負けてしまうこと(棄てられた仮面とか百万のキセキとか)もあって
いつの間にかスザクはラスボス候補から離脱した。
それなのに、スザクが登場すると何か変化をもたらすのでは?と
心のどこかで期待してしまう慣性が働いてしまって…でも、そうじゃない
ということの繰り返し。
それもイラッとする原因の一つなんじゃないかと思うんです。
や、まだ分からないよ!最後まで何が起こるか分からない。
でも今のところスザクの存在はルルが最後の期待をして、でもスレ違って
ますますルルは孤独になって「魔王化」決意を新たにしたというそれだけだし。
シャーリーだってナナリーだって
スザクがいてもいなくてもあまり変わらない動きをしてると思うんだけど。
はっきり言っていてもいなくてもストーリーに影響ないと思うんだけど。
今のところ、ね。
そして、次はフレイアを落とすことで、物話を動かすなら…
なんか悲しいよ。
「期待に反して特別な活躍をしていない」というのも
スザクの不人気の原因の一つだと思うけど、どうでしょう?
★それでもスザクが好き★
なんて言ってる人は…私だけか??
どうなんだろう?公式のキャラ人気投票で5位とかだったりするけど。
私はスザクが今のように1期ほど活躍しないと分かっていたなら
R2の初めから独特のポジションを与えて欲しかったなあ。
皇帝に記憶を消されて、自ら黒の騎士団に入ってくるとか
(細かい点を考えると無理があるので、軽ーく聞き逃して下さい)
同じくゼロに関する記憶を消されて、すご~くいい人で天然とか。
で、途中で記憶が戻って黒スザク発動するという。
せめてラウンズの一人ではなく、出るシーンが少なくてもいいから
スザクが自分で考えて動く話にして欲しかった。
今のコーネリア的な動きとか最高ですね。スザクにさせてあげて欲しかったです。
最後に萌えキャプを。沢山あるけどごく一部だけ、載せたいと思います。
好きっていうか拘束衣ですね。クロヴィス殺害容疑はお約束かなと。


特派の人達と。右は自分に水をかけた時。


皆の前で「友達だ!」と宣言。回し蹴りを上手くキャプチャに出来なかった。
でも壁を走るだけでも普通を超えてる。


有り得ない受け受けしさ。こんなんばっかですみません。


R2では大人っぽくなった。アーサー写真はアーニャの携帯から。


フレイアを落とすということは、日本人の為に動いているスザクにとって
受け入れがたい結果をもたらすのでは…?
以上、枢木スザク特集でした。長いのに読んでくださってありがとう。