ストレングスコーチの個人的なトレーニング日誌&読書感想文

トレーニングについて感じたこと、また定期的に読んでいる専門誌の記事についてのコメントなども書いていこうと思います。

サバイバルストラテジー:努力性熱射病の応急的処置

2007年01月06日 | Weblog
Survival Strategy: Acute Treatment of Exertional Heat Stroke

Douglas J. Casa, Jeffery M. Anderson, Lawrence E. Armstrong, and Carl M. Maresh

Journal of Strength and Conditioning Research, 2006, 20(3), 462



要約

コーチやメディカルスタッフがどれだけ努力しても努力性熱射病(EHS)を完全に避けることは出来ない。EHSの評価は中枢神経の機能不全と(コア)体温の測定という2つのパートがある。体温の正確な測定は直腸において行う必要がある。昨今の研究では直腸以外の測定部位ではアスリートが活動している際の体温を正確に知ることが出来ないということがわかっている。
EHSの処置としては1.冷やす、2.搬送のプライオリティーをつける必要がある。もし、メディカルスタッフがその場にいるならば彼らによる迅速なその場での措置が求められる。メディカルスタッフはまずはアスリートの体温を39度までは下げる努力をすべきである。そして、それから搬送を行うべきである。体温を下げるのに最も早く効果的なのは冷水に選手をつけることである(CWI)水温は7度から14度の間に保たれるべきである。この際、頭は水につけるべきではない。おおよそのCWIによる冷却速度は0.2℃/分であるので直腸温度を測り続けることが出来ない場合、これを参考にCWI前の温度から冷却時間を設定すればよい。
EHSのリスクは高温下での運動をするアスリートには避けられないリスクではあるが、適切な処置をすることによって、EHSによる死を免れることが出来る。





感想
日本のスポーツ現場ではまだまだ熱中症についての対処が甘い気がする。特に高温多湿の日本の環境においては熱中症にかかるリスクは高いと考えられる。実際にスポーツの現場でプレーできている選手に対して直腸の温度を測ることは厳しい(熱中症の症状がない場合)のでいかにその前兆、すなわち中枢神経の機能不全を見破るかがキーとなると考える。また、夏場の練習においては練習場の近くにアイスバスを作っておく必要を強く感じた。特に、屋内スポーツでは湿度が上がりやすいため、その必要性が高いと考えられる。一般的にアスリートをすぐに(着衣のまま)アイスバスに入れることには抵抗がある場合も多いが、それらについて、コーチングスタッフはメディカルスタッフと事前に(EHSが起こる前に)協議しておく必要があると考えられる。


皆さんはどのように思われますか??