天使と悪魔 第12章 「誰かのため」
家に帰って携帯を見るとメールが来ていた。
「今日の宿題、理科プリント、数学ノート提出。――紗江――」
今日ボーっとしていた私を心配してくれたのだろうか。
紗江はこういう小さな気遣いができる子である。
すっかり忘れてた(というより聞いてなかった)ので助かった。
もちろん宿題は出されたらやるけど、問題はさっぱりわからないことだ。
とくに数学。
理科はけっこう得意、いや、好きだ。
好きだからけっこうできる。
なぜなら理科は空斗さんの授業だからだ。
本当に優しく、丁寧に教えてくれる。
お母さんの弟なのでたまに家にあそびに来てくれる、そのときに少し教えてもらってたりする。
主要5教科の中で唯一成績が4だったのも理科だ。
ソラ「よし、さっさと終わらせちゃおう。」
バックから筆入れと理科のプリントを出し、机に広げる。
普段は面倒くさがってしまうが、今日の宿題は理科だけだ。
ちなみに数学はノート提出なのだが毎日ちゃんと黒板を写しているから問題ない。
今日寝てしまって書けなかったところは明日誰かに見せてもらう。
見なかったものを想像して書くことなんてできないし。
アポロン「ソラ、これはなんだ?」
アポロンが筆入れから何かを引っ張り出して言う。
ソラ「ああ、シャーペン、っていうかあんまり散らかさないでね、片付けるの大変なんだから。」
私の筆入れにはいろんな物が入っている。
シャーペンが4本、鉛筆1本、消しゴムが大小2つ、赤ペン1本、青、黄色、緑、ピンク、オレンジの蛍光ペンが1本ずつ、15cmの定規が1枚、コンパスが1つ、修正テープにのりとはさみまで入っている。
もう道具箱状態であるが、皆、筆入れの中身はこんなかんじだ。
これを全部机の上にばらまかれたら宿題どころではない。
アポロン「ところでソラ、おぬしはいったい何をするつもりなのだ?」
ソラ「学校の宿題、これやっとかないと怒られちゃうからね。」
アポロン「ほう、家でも勉強するとは、そなたなかなか真面目ではないか、見直したぞ。」
褒められてしまった、少し勘違いをしているのかもしれないが、気分はいいので訂正はしない。
次々にプリントの問題を埋めていく。
たまにわからない問題もあるが、教科書を見ればちゃんと理解できる。
これも空斗さんのおかげだ。
ふと思った。
空斗さんも天使なのだろうか。
お母さんも天使なのだからその弟の空斗さんも天使に違いない。
今度会ったら聞いてみよう。
宿題を始めてから15分、無事終了。
私は[あいどる]の続きを読むことにした。
まだ5時、お母さんが帰ってくるのは6時過ぎである。
アポロン「そういえばいつ黒陽はピアノを聴かせてくれるのだ?」
アポロンが本当に楽しみそうに聞いてくる。
ソラ「そんなに聴きたいの?」
アポロン「それはそうだ、我はそなたに召喚されてから1度も音楽を聴いていないのだぞ!死んでしまうではないか!」
どんだけ音楽が好きなんだ。
なぜ音楽がほとんどできない私がアポロンを召喚できたのだろう。
何か間違えてしまったのではないだろうか。
アポロン「それで、いつなのだ?」
ソラ「わかんない、くわしい時間指定とかしてないし、最悪むこうが忘れてたりするかも。」
アポロンには悪いが彼を学校に連れて行くのはもうごめんだ。
アポロン「ううむ・・・早く聴きたい・・・・・この際、おぬしでもいいだろうか・・・」
ソラ「へっ?」
いまなんて言った?
アポロン「ソラ、2階のピアノのある部屋に行こう。」
ソラ「いや、私弾けないって・・・・」
アポロン「楽譜を見ればどうにかなるだろう!いつになるかわからないピアノを待つなんて我にはできん!今すぐ聴きたいのだ!」
ソラ「そんな強引な・・・・」
アポロン「さあ!さあ!」
アポロンに背中を押されながら強制的に2階へと行く。
そしてピアノの前に座らされた。
アポロン「とりあえず何か自由に弾いてみてくれ。」
ソラ「何かって・・・・」
ピアノに向かうのは何年ぶりだろうか。
小さいころお母さんが弾いているのを見てやってみたいと言って少し教えてもらったのだが、結局楽譜が読めなくて続かなかったのを覚えている。
ちょっとは弾ける、でも本当にちょっとだけだ。
私は片手の指をゆっくり動かし[かえるのうた]を演奏した。
アポロンはこんなものしかできないのか、と怒るかもしれない。
しかし、これぐらいしかできないのだ、仕方がない。
アポロン「ソラ・・・・・・」
やっぱりふざけるなって言って怒るのか?
アポロン「そなたやればできるではないか、なかなか良かったぞ。」
ソラ「へっ?」
意外だ、怒ったりすると思ったのに・・・・・・
そうだ、アポロンは私が召喚するまでは精霊界ってところにいたんだっけ。
この世界の曲なんて聴いたことがないんだ。
よかった、と私はため息をついた。
アポロン「ただ少しつっかかったりしたな、それに両手を使えばもっと良いのだが・・・・」
ソラ「・・・・・せっかく弾いてあげたのに文句?」
アポロン「いや、すまん、ありがとう、また弾いてくれるか?」
どうやら喜んでくれたみたいだ。
アポロンが喜ぶならいくらでも弾いてあげたいが[かえるのうた]以外弾ける曲がない、しかし・・・・・・・
ソラ「いいよ、今度はもう少し練習してもっとたくさん曲を弾けるようになるから。」
アポロン「おお、楽しみにしておるぞ。」
今の発言に後悔はしていない。
誰かを喜ばせると自分も嬉しくなる。
それは誰かのためでもあって、自分のためでもあるということだ。
誰かを喜ばせるために人はがんばれる、だから私は、今はあまり上手にピアノが弾けなくても、喜んでくれる人のために、たくさん練習して、たくさんの曲を弾けるようになる自信がある。
人を幸せにすることで自分もまた幸せになれるから。
家に帰って携帯を見るとメールが来ていた。
「今日の宿題、理科プリント、数学ノート提出。――紗江――」
今日ボーっとしていた私を心配してくれたのだろうか。
紗江はこういう小さな気遣いができる子である。
すっかり忘れてた(というより聞いてなかった)ので助かった。
もちろん宿題は出されたらやるけど、問題はさっぱりわからないことだ。
とくに数学。
理科はけっこう得意、いや、好きだ。
好きだからけっこうできる。
なぜなら理科は空斗さんの授業だからだ。
本当に優しく、丁寧に教えてくれる。
お母さんの弟なのでたまに家にあそびに来てくれる、そのときに少し教えてもらってたりする。
主要5教科の中で唯一成績が4だったのも理科だ。
ソラ「よし、さっさと終わらせちゃおう。」
バックから筆入れと理科のプリントを出し、机に広げる。
普段は面倒くさがってしまうが、今日の宿題は理科だけだ。
ちなみに数学はノート提出なのだが毎日ちゃんと黒板を写しているから問題ない。
今日寝てしまって書けなかったところは明日誰かに見せてもらう。
見なかったものを想像して書くことなんてできないし。
アポロン「ソラ、これはなんだ?」
アポロンが筆入れから何かを引っ張り出して言う。
ソラ「ああ、シャーペン、っていうかあんまり散らかさないでね、片付けるの大変なんだから。」
私の筆入れにはいろんな物が入っている。
シャーペンが4本、鉛筆1本、消しゴムが大小2つ、赤ペン1本、青、黄色、緑、ピンク、オレンジの蛍光ペンが1本ずつ、15cmの定規が1枚、コンパスが1つ、修正テープにのりとはさみまで入っている。
もう道具箱状態であるが、皆、筆入れの中身はこんなかんじだ。
これを全部机の上にばらまかれたら宿題どころではない。
アポロン「ところでソラ、おぬしはいったい何をするつもりなのだ?」
ソラ「学校の宿題、これやっとかないと怒られちゃうからね。」
アポロン「ほう、家でも勉強するとは、そなたなかなか真面目ではないか、見直したぞ。」
褒められてしまった、少し勘違いをしているのかもしれないが、気分はいいので訂正はしない。
次々にプリントの問題を埋めていく。
たまにわからない問題もあるが、教科書を見ればちゃんと理解できる。
これも空斗さんのおかげだ。
ふと思った。
空斗さんも天使なのだろうか。
お母さんも天使なのだからその弟の空斗さんも天使に違いない。
今度会ったら聞いてみよう。
宿題を始めてから15分、無事終了。
私は[あいどる]の続きを読むことにした。
まだ5時、お母さんが帰ってくるのは6時過ぎである。
アポロン「そういえばいつ黒陽はピアノを聴かせてくれるのだ?」
アポロンが本当に楽しみそうに聞いてくる。
ソラ「そんなに聴きたいの?」
アポロン「それはそうだ、我はそなたに召喚されてから1度も音楽を聴いていないのだぞ!死んでしまうではないか!」
どんだけ音楽が好きなんだ。
なぜ音楽がほとんどできない私がアポロンを召喚できたのだろう。
何か間違えてしまったのではないだろうか。
アポロン「それで、いつなのだ?」
ソラ「わかんない、くわしい時間指定とかしてないし、最悪むこうが忘れてたりするかも。」
アポロンには悪いが彼を学校に連れて行くのはもうごめんだ。
アポロン「ううむ・・・早く聴きたい・・・・・この際、おぬしでもいいだろうか・・・」
ソラ「へっ?」
いまなんて言った?
アポロン「ソラ、2階のピアノのある部屋に行こう。」
ソラ「いや、私弾けないって・・・・」
アポロン「楽譜を見ればどうにかなるだろう!いつになるかわからないピアノを待つなんて我にはできん!今すぐ聴きたいのだ!」
ソラ「そんな強引な・・・・」
アポロン「さあ!さあ!」
アポロンに背中を押されながら強制的に2階へと行く。
そしてピアノの前に座らされた。
アポロン「とりあえず何か自由に弾いてみてくれ。」
ソラ「何かって・・・・」
ピアノに向かうのは何年ぶりだろうか。
小さいころお母さんが弾いているのを見てやってみたいと言って少し教えてもらったのだが、結局楽譜が読めなくて続かなかったのを覚えている。
ちょっとは弾ける、でも本当にちょっとだけだ。
私は片手の指をゆっくり動かし[かえるのうた]を演奏した。
アポロンはこんなものしかできないのか、と怒るかもしれない。
しかし、これぐらいしかできないのだ、仕方がない。
アポロン「ソラ・・・・・・」
やっぱりふざけるなって言って怒るのか?
アポロン「そなたやればできるではないか、なかなか良かったぞ。」
ソラ「へっ?」
意外だ、怒ったりすると思ったのに・・・・・・
そうだ、アポロンは私が召喚するまでは精霊界ってところにいたんだっけ。
この世界の曲なんて聴いたことがないんだ。
よかった、と私はため息をついた。
アポロン「ただ少しつっかかったりしたな、それに両手を使えばもっと良いのだが・・・・」
ソラ「・・・・・せっかく弾いてあげたのに文句?」
アポロン「いや、すまん、ありがとう、また弾いてくれるか?」
どうやら喜んでくれたみたいだ。
アポロンが喜ぶならいくらでも弾いてあげたいが[かえるのうた]以外弾ける曲がない、しかし・・・・・・・
ソラ「いいよ、今度はもう少し練習してもっとたくさん曲を弾けるようになるから。」
アポロン「おお、楽しみにしておるぞ。」
今の発言に後悔はしていない。
誰かを喜ばせると自分も嬉しくなる。
それは誰かのためでもあって、自分のためでもあるということだ。
誰かを喜ばせるために人はがんばれる、だから私は、今はあまり上手にピアノが弾けなくても、喜んでくれる人のために、たくさん練習して、たくさんの曲を弾けるようになる自信がある。
人を幸せにすることで自分もまた幸せになれるから。
あなたが嬉しいと
私もとても嬉しくなれる。
明日は、あなたに笑顔があることを
想っていますね。