紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

盗人は俳人!?

2007-08-02 22:37:58 | 新聞
 久しぶりに三面記事で、たいへんこゝろひかれる記事を発見した。最近どうしたのかと首を傾げるほど、私と気の合う記事が掲載される産経新聞の本日8月2日付け朝刊である。

 盗人の話に心惹かれてはいけないのかもしれないのだが、いやー久々こういう犯罪記事を読んだよ~。なんだか「昭和の犯罪」というべきレトロで脱力の風情なのだ。

 犯罪内容は2年間、100件以上の自販機荒らしである。約320万円の盗難である。心和んでいる場合ではない。58歳の住所不定の車上生活者であり自販機荒らし。しかしてその実態は・・・放浪の俳人なのである(たぶん)。

 もともとは三重県でトラック運転手など(この「など」は曲者っぽい)をしていたが、両親や妻と死別した後、かねてから憧れの放浪の俳人となったのである(きっと)。三重県出身って、伊賀上野ではないでしょうね?

 新聞では「自販機荒らしの傍らで趣味の俳句を詠み」とあったが、本人はさぞかし不本意だったのではないか。本業・俳人で生活の手段として自販機荒らしをしていた、と書いて欲しかったのではないだろうか? 無理だけど。
 さらに、自販機を荒らしつつ放浪し、各地で詠んだ俳句はノートに1800余が記されてあったという。

 それだけの数があるのに、容疑者はいつどこでどの句を詠んだか覚えており、犯行の日時や場所と一致する事から裏付けの手がかりになったらしい。(んなアホな~)

 これってなんだか、マニアックな俳人ぶりが彷彿とされるのではないだろうか? おまわりさん相手に蹈々と俳句談義をまくしたて、句を詠んだときの心情までをも説明する饒舌ぶりが目に見えるようである。もしかすると逮捕の瞬間の句なども披露したかもしれない。

 ところでこの記事の見出しは「自販機を 荒らして一句 足がつき」となっているが、もしか彼がこの見出しを見たなら、必ずなにがしかの論評をしただろうと思われる。

 それにしてもこの記事の結びの文が、読後感をやたら爽やかにしている。

 (容疑者は)放浪の俳人、尾崎放哉のファンといい、命日には必ず句を詠んでいたという。

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