紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

イマジネイションの写真

2006-06-09 23:15:21 | 読書
 半年ほど前に、大阪の古本屋さんで赤瀬川原平さんの写真集「正体不明」シリーズが4冊並んでいて、それがあまりに私を引っ張るので、思い切ってお買い上げした。

 1冊2冊買うと離ればなれになった本たちが哀れである。「離ればなれ」の私のイメージは「安寿と厨子王」の可哀想すぎる引き裂かれた母と子のイメージに重なる。そんなむごい事はできない。できやしない。

 4冊ともお買い上げして、財布を空っぽにしたが、自分の本棚に4冊並ぶと、かなりムフフな気分になる。それに定価の半額だったので、定価に直せば2冊分。「正体不明」「新 正体不明」「イギリス正体不明」「ベルリン正体不明」。以上4冊。ムフフ。

 しかし、4冊も買ったというのに、人間は欲深い生き物である。
「ここに『ベトナム低空飛行』があったら、いいよな」
「プラス『ブータン目撃』もあるべきやな」
「そしたら『老人とカメラ 散歩の楽しみ』かて、ないとあかんやろー」

以上3冊は、私のお気に入りの赤瀬川氏の写真集で、図書館で借りて目にしたものだ。ことに好きなページはこっそりカラーコピーしてファイリングしてある。
                              
 彼のイマジネイション溢れる路上観察の眼力は、ひれ伏したいほどワンダーなロマンとユーモアに満ちている。彼の他に誰が「排水孔」や、「壁のシミ」や、「吸い殻」をカメラ(ライカ?)に収めるというのだ! このイマジネイション力は谷内六郎氏に匹敵するかも。それに、とても優しいのだ。

 だから私は自分が嫌になったり元気がないときには、赤瀬川さんの写真をみて、感心して唸ったり、くすくす笑う事にしている。こころの風邪薬でもあるのだ。

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