
小学校の頃、校庭の片隅にあった百葉箱。
屋根のついた、すだれのような4面を持つ白い箱で、その4面のうちの正面は扉になっていて、中に何かを出し入れできるようになっていた。
その箱にはやや長めの足みたいなものが4角についており、その結果、箱が地面から1.2~1.5メートル位の高さに持ち上げられたように設置されていた。
設置されていた場所は、たいがい芝生の上だったと思う。
私は小学校時代、この百葉箱の正体が分からなかった。この箱が一体何のためにあるのか、どういうものなのか、中に何が入っているのかは、少年時代の私にとっては謎だった。
この箱は一体何なんだろう・・という疑問は漠然と思ってはいたが、学校にあるぐらいだから、危険なものではないんだろうとは思ってた。
なので、その箱の正体は多少気にはなりながらも、さほど追求はしないでいた。
ただただ、校庭の片隅の芝生の上にある、妙な白い箱・・・そんな感じで見ていた。
百葉箱というのは正確な気温を計るためのもので、箱の中に入っていたのは、温度計や湿度系。
なんでも、その箱を設置する高さは、1.2~1.3メートルの高さと決まっていたらしい。
また、それが芝生の上に設置されていたのには、ちゃんと理由があったようだ。
ウィキペディアによると、百葉箱とは以下の通りの物である。
- 「太陽光を反射し、熱を中へとじこめないよう、白のペンキで塗られている。
- 熱を中へ伝えにくくするために、木で作られている。
- 風通しを良くし、日光や雨の侵入を防ぐために鎧戸になっている。
- 直射日光が差し込まないよう、扉は北半球では北向きに、南半球では南向きに設置されている。
- 熱の跳ね返りを防ぐため、芝生など土の上に設置されている。
- 通常、地上1.2〜1.5mの高さに設置する。世界気象機関の規則では、地上1.25〜2.0mの高さで測定することになっている。
つまり、色が白かったのも、ああいう形をしていたのも、設置場所も、どれもちゃんとした理由があったようだ。
また、高さがあの高さで規定されていたのは、その高さなら地面の表面温度の影響は受けないかららしい。
地面表面の温度は、太陽から受ける熱の影響で、高い。
だが地面の温度の影響は、高さが1,2m以上なら影響が及ばないかららしい。
より平等な条件で、正確な気温を計るための計測器・・・それが百葉箱だったということだ。
今でこそ、それが分かっているから、「な~んだ、そうだったのか」という感じ方だが、その正体が分からなかった少年時代の私にとっては、謎の箱ではあった。
どちらかというと、私には、なにか動物を飼うのに使えそうな箱だな・・と思えていた。
それと、何かを隠す時に使えそうだな・・という思いもあった。
まあ、誰が開けるか分からないことを考えれば、「何かを隠す」場所として使うにはリスクがあったので、実際にはそんな使い方はしなかったが(笑)。
というか、当時、百葉箱の扉を私は開けたことがなかったし、誰かが開けてるのを見たこともなかった。
だから、何が中に入っているのか分からなかったのだが。
まあ、正直言うと、幼心に百葉箱は「何かの計測器」なのかもしれない・・・という漠然とした推測(?)は多少はあったようにも思う。
結果的にその推測は当たっていたことになるが、「何かの計測器」という推測で自分を納得させていたようにも思う。それ以上追求もせず。
当時、百葉箱というものはどんなものであるのか、その答を知ってる子は、クラスにどれぐらいいたのだろう。
きっと先生に聞けば百葉箱が何であるかは教えてくれたのだろうが、私も含め先生に聞いた子はいなかった。
なぜだろう。
もしかしたら、百葉箱に何か秘密めいたものを私は感じていたのかもしれない。
だから、「聞きたいが、聞いてはいけないもの」・・そんな印象を持っていたのかもしれない。
中に何か「隠し物」でも入っていそうで。
その用途や機能が分かってしまえば、先生に聞いても何の問題もなさそうなものなのに。
ちなみに百葉箱は、いくらぐらいする代物なのだろう・・と思って調べてみたところ、1万円台で買えるものから、30万円以上するものまである。
思ったより、値段の幅がある。
ということは、簡易型から高級モデルまであるということだ。
私が子供時代からあった百葉箱ではあるが、聞けば最近は減っていってるという。
というのは、技術の進歩によって、百葉箱以上に正確に気温を測定できる測定器が登場しているかららしい。
事実、気象台はもう測定に百葉箱は使っていないらしい。
学校からもだんだん姿を消し、今では百葉箱というものを知らない生徒も増えているという。
百葉箱も・・・昭和の遺物になっていく運命なのかもしれない。
あなたが通っていた学校に百葉箱はあっただろうか。
もしあったのなら、あなたは百葉箱を見て、どんなことを思っていただろうか。
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