
幼少の頃、NHKで放送されてた人形劇で「ひょっこりひょうたん島」という番組があった。
かなり忘れている部分が多いので、少し調べてみたところ、この番組は帯番組で毎週月曜から金曜まで夕方17時45分から18時までの15分枠で放送されてたようだ。
私は本放送で見てたのか、あるいは再放送で見てたのか、そのへんの記憶はおぼろげだ。
特にピンポイント的な主役がいなかったような気がするが、強いてあげれば島に暮らすメンバーそれぞれが主役だったような印象がある。
割と個性豊かなキャラが揃っていたのだが、そのキャラの中のひとりに「ドンガバチョ」というキャラがいた。
丸くて太ってたおじさんで、身だしなみはしっかりしてて、大統領の雰囲気があったと思う。
番組中ではいくつかの挿入曲があったと思うが、その中の1曲で忘れられない歌があった。
それこそ、ドンガバチョが歌ってた「未来を信ずる歌」であった。
私は長らくこの歌を単に「ドンガバチョの歌」として記憶していたのだが、あらためて調べてみたら「ドンガバチョの未来を信ずる歌」というタイトルがついてるらしい。
なんとも固く、重たいタイトルがつけられていたんだね。
なぜこの歌が印象深かったかというと、その歌詞にある。
幼少の頃はこの歌は単に、ドンガバチョが歌う普通のとぼけた歌程度に思って聞いてた。
私自身もたまに口ずさんでいたが、あまり重たい意味など考えもせずに、何の気なしに歌っていた。
だが、後になって思いだすと、この歌詞の一部が、何気に「深い」と思うようになっていった。私が年齢を重ねていくにつれ。
歌詞の内容をそのままここに記すのは気が引けるので、大体の意味合いの部分だけでも書いてみよう。
今日がダメでも明日があるし、明日がダメでも明後日があるし、明後日がダメでも「し明後日」がある。結局、どこまでいっても、いつになっても明日はやってくる。
そんな意味合いの歌詞だった。
確かにその通りだよね。
ぶっちゃけた話、明日はどこに居ても、誰にでも必ずやってくるわけで。
それこそ、自分が死んでも、世間には明日はやってくる。
国が滅びても明日はやってくる。
地球が存在し、太陽が存在し続ける限り、明日はやってくる。
まあ、このへんまで書くとかなり極論だけどね(笑)。
例えば、仕事関係では、どうしても今日中にやっておかねばならない仕事もあるし、締め切りが動かせない仕事もある。
でも、「どこまで行っても明日はやってくる」というのは、子供はもちろん、大人にとっても「通じる」歌詞なわけで。
世の中には、明日への希望を歌った歌は多いが、このドンガバチョの歌もそうだった。
おじさんになってからこの歌をネットで聴く機会があり、「なつかしいな」などと思って聴いてたら、けっこうしみじみしてしまった。
子供の時に聞いてた時は、「なんか、当たり前のことを歌ってるなあ」ぐらいにしか思ってなかったけど。明日というのは、当たり前のように来るわけだからね。
「明日がある」というテーマの歌は、他にも多数ある。
ドンガバチョのこの歌の場合、子供番組に出てきていたので、当時の子供に「幼児体験のひとつ」みたいな形で刷り込まれた・・というのが大きかったのかもしれない。
幼少時に何気に聞いてた歌を、大人になって聴き返すと妙にしんみりきてしまうことがある。
歌詞の内容という意味で。
貴方にはそんな曲、ないだろうか。
もしも今日という日に、傷ついたり落胆したりした人がいたら、この歌でも聞いて、少しでも元気を出してもらえたら。
そう、「♪どこまでいっても明日がある」のだから。
ひょっこりひょうたん島は、よく見てました。
声優の藤村有弘さんのはまり役のドン・ガバチョのこの歌。
昭和40年代の、日本が高度成長期の真っ盛りの頃でしたから
明日を信じて皆、仕事に精を出し日本全体に活力がありました。
この頃だと、坂本九さんの「明日があるさ」なんて曲もありました。
明日という字は、明るい日と書くのねは
アン真理子さんの「悲しみは駆け足でやってくる」って曲でした。
水前寺清子さんの「365歩のマーチ」も
今日という日は、幸せじゃなくても明日を信じて
ひたすら今日を精一杯、がんばろうという歌でした。
作家の井上ひさしさんが、原作なので、
子供向きながら、各キャラクターのセリフの端々に
奥深い人生感を垣間見る事ができる、レベルの高い人形劇でした。
あの番組が放送されてたのは、仰る通り高度経済成長期の時代で、今より活力があったのかもしれませんね。
「明日」をテーマにしたヒット曲も多かったんでしよう。
「あしたのジョー」もあの頃でしたっけ?
「あした輝く」なんていう漫画もありました。
ともかく国民は、明日に夢をかけ、明日を目指していたのでしょう。
それは戦争という過去から、早く脱却したかったからなのかもしれない…なんて思ったりもします。
ひょうたん島は今となっては相当古い作品ですが、その主題歌やキャラは、今でもたまに復活したり、再起用されたりしてます。
それだけ浸透してたんでしょうね。