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 時間の外  ~since 2006~

気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

パブロ・クルーズ 再び!

2012年08月30日 | レビュー(テレビ、ゲーム、本、映画、その他)

30年以上ぶりに、アメリカのロックグループ、パブロ・クルーズのライブが日本で行われた。

場所は、ブルーノート東京。

前回の来日は1979年なので、それから33年ぶりの日本でのライブということになる。

1979年の来日公演にも行った私ととしては、実に感慨深いものがある。

パブロを再び生で日本で見れる日が来るとは・・。

 

集まったお客さんの年齢層も高ければ、メンバーの年齢もすっかり高くなった。

パブロの音楽は、全盛時にはサーフロックと呼ばれていた。

それは、彼らの曲がサーフィン映画に使われた・・というのが大きい。

そのせいか、集まったお客さんは、どこかサーファーらしき雰囲気を漂わせている人が多かった。

中には丘サーファーもいただろうし、本物サーファーもいただろう。また、昔サーファーだったという人も多かったのでは。

もちろん、サーフィン関係なく、純粋にパブロの音楽が好きなサーファー以外のお客さんも多かったはずだ。

昔さぞかし遊んでいたんだろうな・・と思われる方もいっぱい(笑)。

1979年のライブは、確か中野サンプラ・・だったと思う。

今回はブルーノート東京ってことで、ステージから客席までが近い、近い。

一番前の席なんて、ステージと密着していたし、私が座った席にしても、ステージからほんの数メートル!

ドームみたいに望遠鏡など使わなくても、肉眼でメンバー一人一人の額の汗まで見分けられる。

先日発売された、ライブアルバムを聴いていたので、ライブの大体の感じはつかめていた。

1曲目は、思った通り「ワールズ・アウェイ」。

その後も、ノリノリの曲がこれでもか、これでもか・・と披露される。

私はパブロのアルバムは全部持っている。

私は、70年代から80年代にかけて、リアルタイムで彼らの音楽を追っていたのだ。

なので私はパブロの曲は、メロディはもちろんのこと、曲によってはギターフレーズやリズムパターンも歌える。

ギターのジェンキンスさんは、基本的にはレコード通りに弾いてくれていたので、彼の弾くギターフレーズを私は口で一緒に歌っていた。

ライブが進むにつれ、メンバー全員がどんどん乗っていくのが手に取るようにわかる。

ライブをやれることが楽しくて仕方ない・・・というのが、ガンガン伝わってきた。

それには、お客の反応も大きかったに違いない。

ステージと客席が近いから、パブロと客が一体化していった。熱かった。

ジェンキンスさんは、何度も客席に降りてきて、客に取り囲まれるようにしてギターを弾く。

もうひとりのフロントである、鍵盤担当のコリーさんは、時にはいたずら小僧のように客にアピールし、また時にはファンのファンになったかのように、ステージ上からデジカメで客の姿を写真に撮っている。

そして、メンバー全員の楽しそうな顔、顔。

私は若い頃にパブロに熱中してたので、今回の再来日ライブでは、生で見てたら泣けてくるんじゃないか・・と思っていたが、実際にはそうはならなかった。

泣くのではなく、ともかく幸せで仕方なかった。ともかく心がうきうきし、暖かくなり、嬉しくて楽しくて笑顔がとまらない。そんな状態。

こんな幸せな気分になったライブは・・・昔ステファン・グラッペリの日本公演を見た時以来かもしれない。

大物がやるドームでのコンサートは、コンサートを観てるというよりも、ショーを見ているという感覚になることが多い。

だが、この日のパブロのようなコンサートは、まさに「ライブ」と呼ぶにふさわしい。

アンコールで、ステージに戻った彼らは、代表曲の一つ「オーシャンブリーズ」を奏ではじめた。コリーさんの独断場になった。

この曲は、本来20分くらいある曲で、大まかには3部構成になっている大作。

1部はコリーのピアノソロ、2部はバンドが入ってきて盛り上がり、そして3部ではゆったりとした曲調になってボーカルが入る・・そんなドラマチックな曲。

だが、最近出たライブアルバムでは、この曲は第1部のコリーさんのピアノソロ部分だけでまとめられていた。

なので、今回のライブでも、第1部のコリーさんのピアノソロだけで終わるのだろうと思っていた私。

というか、店の人も、メンバーもそのつもりだったんじゃないかな。

ところが(笑)。

のりにのったコリーさんは、「オーシャンブリーズ」の第1部が終わったところで、第2部の導入部をいきなり弾きはじめるではないか。

もしや、最近のライブアルバムとは違って、フルバージョンでこの曲をやってくれるのか?と私はワクワク。

そうしたら・・・

この曲の第1部が終わったところで、店のスタッフがいきなりステージに上がってきた。

「?」・・・・客も、メンバーも「「?」。

よく見ると、ステージ上の「店のスタッフ」は、火のついたロウソクがたくさん立てられたケーキを持っている。

この日は・・・なんと。ギターのジェンキンスさんの誕生日だったらしい!

ステージにバースデイケーキが運ばれる・・というのは、店が用意したサプライズ演出だったのだろう。

というのは、メンバー全員もキョトンとしていたからだ。

 

これは私の予測だが・・・店としては、アンコールで「オーシャンブリーズ」が終わったタイミングで、ケーキを出すつもりだったのだろう。

この日のこのライブ以外では、「オーシャンブリーズ」は第1部だけで終わっていたのだろう。

そうしたら、この時のライブでは、第1部だけで終わるはずの「オーシャンブリーズ」が、第1部だけで終わらずに、コリーさんの咄嗟のノリで、第2部が始まりかけてしまった。

なので、絶好のタイミングでケーキをステージに持ってきたスタッフは・・・はっきり言って、予想外の展開に、一瞬居づらそうにしていた・・タイミングを間違えたような雰囲気になってしまった。

でも、ジェンキンスさんにとっては、嬉しいサプライズ。

ケーキを持ってきたスタッフがステージ上で居づらそうにしているのを見て、コリーさんは「オーシャンブリーズ」の第2部を弾くのをやめた。

曲が中途半端に終わってしまった・・と思いきや、客やメンバーの咄嗟の機転で、会場内に店のスタッフや客が一体となって「ハッピーバーズデイ」の歌の大合唱。

なんてハッピーでアットホームな空間であったろう。一体感がさらに強まったのは言うまでもない。まるで、ジェンキンスさんのホームパーティに参加してるような気分にもなった。

その後、幻に終わった「オーシャンブリーズの第2部」の代わりに、おそらく予定になかった曲を彼らは演奏しはじめた。

「アイ・ウォント・ユー・トゥナイト」だ。

これまたシングルヒット曲であり、実は私が学生時代に周りの友人たちにパブロを広めた時に、友達のバンドがカバーした曲でもある。私にとって、思い出深い曲。

会場に来た人で、前日のライブにも来た人が、「この曲は前日のライブではやってなかった」と喋っているが聞こえた。

やはり・・まぼろしに終わった「オーシャンブリーズ第2部」の埋め合わせで、急遽やってくれたのではないか。

 

で、ラストは、案の定、皆で合唱できるヒット曲「ワッチャ・ゴナ・ドゥ」で大団円。

欲を言えば、私が一番好きな曲「トゥナイト・マイ・ラブ」をやってくれれば、言うことなしだったが、「トゥナイト・マイ・ラブ」と並んで私のモストフェイバリットソングの「アトランタ・ジェーン」をやってくれたから、満足!

 

演奏面では、往年の人気バンドが再結成コンサートをするときは、たいがいサポートメンバーを加えるものだが、パブロはサポートメンバーをたてず、4人編成のままで演奏。

4人編成とは思えない、音の厚み。ノリノリの楽曲は、細かいリズムを決めまくる。

4人のうち、3人はオリジナルメンバーのまま。

ギターのデビッド・ジェンキンスさんは、途中往年のキーで歌うのがしんどそうな箇所もあったが、メロディアスなギターワークは健在。一緒に歌えてしまうぐらい歌心のあるフレーズ。一人で客席の中にどんどん入ってゆき、サービス精神満点。

鍵盤のコニー・レリオスさんは、ともかく客とのコミュニケーションをとるのが好きで、それこそ客と一緒に酒など飲んで盛り上がりたいんじゃないか・・とさえ思えた。

その鍵盤の腕は、全盛期とまったく変わらず達者。パブロのサウンドの名刺的な存在。サウンドの中でひときわ輝いていた。

ドラムスのスティーブ・プライスさんのドラムソロは、血管が切れるのが心配になるぐらいの熱演ぶり。いやあ、魂のドラミングに会場、大盛り上り!

ベーシストのラリー・アントニオさんだけが、今回の再結成での新加入。

思ったのだが、ラリーさんの存在は、ベースの腕前だけでなく、ボーカル面でも貢献度は絶大だと思った。声量、ハイトーンなど、ボーカル面での看板的存在にも思えた。パブロはいい人材を見つけたね。

 

 

 

 

私が座っていた席は、ステージから楽屋にメンバーが引き上げる通路ぞいの席。

なので・・・

メンバー一人一人が私の目の前を通って楽屋に帰っていくことになる。

もちろん・・・

私は・・・

4人のメンバー全員と、握手してもらう・・という飛び切りの幸運に恵まれたのだった!

 

なんか・・不思議な気分だった。

学生時代にあんなに熱中し、30年以上前の来日公演にも行き、周りの友人たちにパブロを広め、旅先ではパブロの曲を歌い、HP「時代屋小歌」の中の「私のお気に入りアルバムセレクト」ではビートルズやディラン、イーグルスなどのアルバムと共にパブロのアルバムをあげ・・・・私にとっては遠い憧れのバンドだったパブロのメンバー全員と握手ができるなんて・・。

それこそ、メンバーの汗の一粒一粒や、胸毛まで見えるほどの至近距離で(笑)。

これを感激と言わずして、なんと言おう。

ジェンキンスさんは、私と目をしっかり合せながら、私が差し出した手を、私以上の握力で握り返してくれた。ギュッとね。

コリーさんは、私と目をばっちり合せ、大汗をぬぐおうともせずに満面笑みで・・・顔をクシャクシャにして握手してくれた。

・・・これって・・現実なんだよね?

だって、今自分が目の前30センチのところで握手してる人たちは、あのパブロクルーズなんだぜ!

ミュージックライフの人気投票では、ギタリスト部門でジェンキンスの名前を、鍵盤奏者部門でコリーの名前を書いたこともある私が握手してるのは・・その本人なのだ!

 

つくづく、座った席の場所がよかった。

33年の時を隔てて、再び日本で見ることができたパブロクルーズのライブは、そんな幸運まで私にくれて、終わった。

ついてた・・としか言いようがない。

つくづく、行ってよかった。また来てほしいな。

 

あのライブの後、メンバーはどうしたのかな。

昔は、パブ「パブロ・クルーズ」に流れたはずだが、今はもうその店はない・・。

 

店を出たら、もう夜の11時だった。

私は最高の幸福感をもらって、家に帰った。

私の内にも外にも、幸福感が宿っているような気がした。

 こんなにも一体感に浸れる、最高のライブだった。

 

 

 


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