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気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

「チープな音のギター」を考える。

2007年01月22日 | 音楽活動

ギターには「チープな音」という表現をされるギターがある。
値段的には1万円台くらい(下手すれば1万円以下)の安物ギターの音が、そういう言われ方をすることが大半。

十代の頃、マーチンやギブソンのブランドのギターに憧れながらも、お金がなくてとても手が出ずに、親に買ってもらった初めてのギターがそんな音だった。
確か1万5千円くらいのギターだった。

高校3年の頃にバイトをして金を貯め、10万のギターを買った時、それまで使ってたギターとあまりに音が違うのに驚いたことがある。
その時買ったギターは、ライダーというメーカーのRー1000というモデルだった。
良いギターだった。

弾きやすく、音量もあるし、飾り(確かヘリンボーンだった)もあった。
低音の迫力と高音のきれいさなど、いきなり自分のギター演奏がすごく上手くなったように感じた。
音が良ければ、その音を強調するために、ギター奏法にも凝るようになった。

それまでは単にコードをジャカジャカ弾いてお茶を濁してただけ・・という感のあった自作曲の弾き方や表現の幅が、広がった気がした。
コードストロークの微妙な弾き分け、高音を活かしたアルペジオ、低音を活かしたベースランニング、ミュートしながら弾く3フィンガー。色んな弾き方で曲を作るようになった。
明かに、作る曲のバリエーションが広がった。


で、こうも思った。
10万円のギターでもこんなに良い音がするなら、何十万円もするマーチンのギターなどはどんな音がするのだろう・・と。
特に、マーチンの最高峰モデルDー45(当時70万円以上した)などを弾いた日には、一体どうなるのだろうとも思った。


やがて、時は流れ。
マーチンのギターを買える時がきた。HDー28カスタムというモデルだった。
音の抜け、明るさなどに耳を奪われた。
特に、録音してみると、その良さは歴然としていた。
高音のキラキラ感、低音の迫力などは、10万円のギター以上だった。明らかに違った。
まあ、当たり前か(笑)。値段が違う以上、音も違ってもらわねば割に合わない。
(もっとも、最近では値段が安くても良い音がするギターは多いが。)


今では,舶来の高級ギターと呼ばれるギターを数本持つに至り、普段自分が弾いてるギターは高価なギターの音ばかりになった。
自分の腕は低級でも(笑)、弾いてるギターは高級。
どのギターも、単に持ち味が違うだけで、実際どのギターも良い音がする。
ある意味、高級な音が自分の中で当たり前になってしまった。

そんな中で暮らしていると、たまに安いギターを弾いた時、凄く新鮮に感じるようになった。
特に、チープと呼ばれるギターの音は新鮮。
これはこれで、凄く可愛いのだ。
まあ、贅沢すぎる感覚ではある。

でも、チープな音の良さってものも、感じるようになった。
それは、高級ギターの音を知ってしまったからこそ、到達できた心境かもしれない。
となると、やはり贅沢な心境だ。


チープな音って、可愛いのだ。
こういう音でなければ表現できない音や曲ってものが、確実に存在する。
曲によっては高価なギターの音よりも、チープなギターの音の方が合う場合もある。
チープなギターには高級ギターの音は出せないように、高級ギターにはチープなギターの音や味は出せなかったりする。

要は使い方なのだ。
向き、不向きってのが人間にもあるように、楽器にもある。
大事なのは気に入ってあげることだ。
気に入ってあげれば、出番も増える。
出番があれば、その楽器はオーナーに応えてくれる。

デビッド・リンドレィなどのように、高級なギターよりもチープなギターの方が好きで、そんなギターをメインに使ってるギタリストもいるくらいだ。

もっとも、チープな音の安いギターには、作りが雑で非常に弾きにくい場合が多いのも事実。
弾きにくさだけは、正直辛い。
特に安物ギターはビギナーが使う場合が多い。
ビギナーがいきなり、弾きにくいギターを手にすると、その弾きにくさゆえに
ギター練習に挫折する場合は多いだろう。
私も、安物ギターから10万円のギターに持ち替えた時は、その弾きやすさの違いに驚いたことがある。音質以上に。

だから、安い価格帯のギターを製作するメーカーは、とりあえずは音よりも弾きやすさをメインにしたギター作りを心がけた方がいいのではないだろうか?と思う。
ビギナーには音の優劣は最初分かりにくいかもしれないし、分かるのはデザインと弾きやすさだろう。
デザイン的なものは、少し価格帯が上の製品に任せることにして、とりあえずは「弾きやすいギター」を。
そうすれば、安いギターであっても、その後、出番はあり続けていられると思う。
仮にオーナーが高いギターに買い替えても、だ。
チープな音は、持ち味になりうるのだから。

持ち味というものを把握するってことは、とても大事なこと。
把握したら、それを発揮させる場所(持ち場)や機会も必要。
持ち味があるのに、見向きもされなかったり無視されていたりすれば、人間は腐ってしまうか、もしくは持ち味すら無駄になって行く。
楽器もそう。
まあ、振り向いてもらえるような努力、無視されないような努力も必要だけど。


どんな楽器にも、特有の音があり、使い途はある。
その点、本当に人間に似ている。
活躍の場さえあれば、ちゃんと良さを発揮する。






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