「青春のわかれ道」。
ジローズの曲。
さほど大ヒットしたというわけではない。
ジローズの代表曲というわけでもない。
例えば「戦争を知らない子供たち」という曲のように印象的なイントロや歌詞のメッセージ性があるわけでもない。
甘酸っぱい、恋の終わりの歌・・・そんな感じの歌で、なにやら夏の終わりを感じさせる歌でもある。
歌詞もメロディも甘い感じの曲で、メロディとメロディの合間に入る「♪シャ~ラ~ララ~」というハミング(?)が印象的だ。
私にとっては、ジローズといえば、この曲なのだ。
当時・・・私はラジオ深夜放送にハマっていた。
よく聴いていた。
ある日・・・深夜2時頃だっただろうか。
私は外の空気を吸いたくなって、パジャマ姿のまま家の門の外に出た。
門の近くには、歩道橋があり、その階段の裏は、普段人があまり来ない暗がりだった。
門の外に出て、なにげに階段方面を見たら、階段の後ろの暗がりに、人が隠れてる気配がした。
?
む、あやしい奴め、そこだ!
と言って、その「隠れてる人」に向かって手裏剣を投げるような私ではない(笑)。
よく見たら・・・若い女性だった。
つくづく、手裏剣を投げなくてよかった←おい!
当時の私は十代前半だったと思うが、その女性は20代前半っぽかった。
私より10歳近く上だったかもしれないが、それでも20代前半なら、十分「若い」。
若い女性が深夜2時頃、たった一人で暗がりに隠れていたのだ。
びっくりした。
「何してるんですか?」と、思わず話しかけてしまった私。
いくら若い女性がたった一人・・とは言え、私の家の前の暗がりで深夜2時頃に人が隠れていたら怪訝に思うのは無理からぬこと。
今思えば、相手が若い女性だったから、そう聞けたのかもしれない。
怪しげなオッサンだったら、声なんかかけられなかったかもしれない。
で、話しかけたら、その女性は・・
「人を待ってるんです」
と答えた。
話を聞いたら、どうやらその女性は男性を待ってたらしい。
きっと、そこに現れるはずの男性は彼氏だったのだろう。
彼氏と、深夜2時に、人のこない暗がりで待ち合わせしてた・・・ってわけだ。
そうしたら、彼氏は現れず、10歳くらい年下の見知らぬ少年が、いきなりパジャマ姿のまま家から出てきて目の前に現れた・・と、いう展開になる。
最初に話しかけたのは私だったが、その後は逆に彼女のほうがよく喋りだした。
20代前半くらいの女性にとって、10歳くらい下の私など、小僧以外の何者でもなかったろう(笑)。
危険さは微塵も感じなかったことだろう。
また、深夜一人で暗がりで男性を待ってるのにいっこうに彼氏が現れないので、少しばかり不安もあったのかもしれない。
話相手が欲しかったのかもしれない。
その女性は饒舌になった。
見ず知らずの私に、色々身の上話を始めた。
この女性は・・・彼氏にすっぽかされたのだろうか。
そこまで深くは考えず、話相手に・・聞き相手になった私。
・・・。
なんだかんだで、一時間くらいは話してたのではないだろうか。
結局彼氏らしき男性は現れず、その女性は私と一時間くらい話した後、その場所を離れていった。
その女性の服装は、横じまのシャツに、ミニスカート・・だったと思う。
で・・
部屋に帰った私。
時計は午前3時を過ぎていた。
おもむろにラジオをつけたら・・・
流れてきた曲が、この曲「青春の分かれ道」だった。
こんな展開の後で流れてきた曲だけに、この曲に対して私の中で甘酸っぱい思い出がある・・というわけではない。
ただ・・
あの見ず知らずの若い女性は、あの時彼氏にフラれてしまったのだろうか・・だとしたら、失恋は「青春の分かれ道」の一つの分岐になりうる。
ならば、あの夜、あの女性は「青春の分かれ道」に立っていたことになるし、私は第3者として、その場に居合わせたことになる。
見ず知らずの女性の「青春の分かれ道」に立ち会ったことになる・・。
そんなことを考えると、このジローズの「青春の分かれ道」という曲は私の中で印象的なのだ。
あの女性は、その後どうなったのだろう。
それは・・夏の深夜の出来事だった。
♪青春の分かれ道だったのさ~
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
P.S.
ちなみに、この曲。
自分が思ったほどにはマイナーじゃないみたいで、先日某所でこの歌を歌った時、知ってる人がいてくれた。
なにやら、嬉しかったなあ。
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