北海道出張の飛行機の待ち時間時に書いています。年末が迫って、ベランダから星を見る時間がなかなか取れません。とほほ。
ここ羽田は、家族連れなどで、かなり混雑しています。新型コロナの感染が増えてきているので、少し心配です。Balconは、仕事でなければ、飛行機には、乗りたくないです。とほほ。
12月18日、19日の日没後にLeonard彗星をベランダから撮影しました。18日の経験で、薄明時には、ある程度F値の大きな鏡筒の方が、コントラストがつきやすいのではないかと考え、19日には、F5.3の、FSQ 85 edpで撮影することとしました。
赤道儀は、極軸を合わせたまま、ベランダに置きっぱなしですから、自動導入で、前回同様、すぐに中心に入りました。今回は、彗星が見える15分間の間に、30秒の露出で、14枚撮影しました。
彗星を撮るときによく用いられるメカトーフ法は、銀塩時代には、主鏡と同軸に設置した副鏡を覗いて、十字線に捉えた彗星を微動ハンドルで追尾していましたが、今の赤道儀には手動ハンドルがついていないので、彗星を基準星にオートガイドを試みようかと考えましたが、キャリブレーションだの取っていたら、彗星は沈んしまうので断念、日周運動追尾で撮ることとあいなりました。
後で知ったのですが、彗星の移動速度は、プラネタリウムアプリで観測時刻と1時間後の赤緯、赤径の差から、速度を出し、赤道儀の追尾速度をセットするという手があるようです。 BalconのLosmandy GM8のコントローラ、gemini2 も、追尾速度を手入力できるようになっていますから充分実現可能な方法なので、次の機会に試してみたいと思います。さすが21世紀にもなると、思いもよらない解決方法があるものです。
撮影した14枚のうち、一枚は、シーイングが悪くてボツ、もう一枚は、ヘリコプターが、通過して、航法灯火(衝突防止灯と左舷の赤い灯火)が映りこんでいていてこれもボツ。
Balconのベランダの南側に、横田基地と都心を結ぶ最短ラインが通っているらしく、朝と夕方に軍用ヘリががよく通過します。いわゆる、「起こりうることは、必ず、最悪のタイミングでおこる」というマーフィの法則が発動しました。
ということで、残り12枚をスタックすることに、スタックする際に、彗星を不動点として、平行移動しながら、各コマを、「目の子で、」重ねて平均加算して作った画像がこんな感じになりました。なんちゃってメトーカフ・コンポジットです。18日の写真よりは、少しマシになりました。
12枚だから、できたけれど、もっとコマ数が多かったら、大変だろうなぁと思います。よく知らないけれど、天体写真デジタル処理ソフト、Pixinsightなどを使うと、バッチでできるのかしらんなどと、思いながら、デジタル写真初心者のBalconは手作業をするのでありました。
サイトロンのComet Band Pass Filter は、少し赤みが強く写るので、背景がニュートラルグレーになるように、カラーバランスを修正しています。彗星らしく、C2のスペクトル強調風に写りました。
Leonard彗星になにが起こったのか
という記事が、COBS(Comet Observers Database)のサイトにあがっていました。
Nicolas Biver さんによると、電波望遠鏡の観測によれば、Leonard彗星からの、水の放出が、12月13日1.8 tons/s から to 6 tons/s (12月15日) に増加しているとのことです。
下のグラフは12月中のLeonard彗星の明るさをプロットしたものです。縦軸は明るさの等級、青の線は、近日点通過45日前から、25日前までの観測から予想されるLeonard彗星の明るさ、黄色の線は、コマの塵とガスと比が0.05の場合の明るさの予想、赤の線は、コマの塵とガスの比が0.25の場合の予想です。12月12日までは、緑の十字の実測値は黄色の線とよく一致していましたが、15日前後に2.6等級まで、増光して、その後は、赤の線にそって推移しています。
以上のデータから、12月15日付近で、彗星が、outburstして、塵の成分が増えて、その結果予想された明るさより明るくなったと推定されるとのことです。
彗星の核の崩壊が今後も続くとすれば、今後、Leonard彗星の明るさ今後急速に変化していくかもしれません。
https://www.cobs.si/show?id=679
Balconが18日、初めてLeonard彗星を見たとき、5,6等級にしては、明るいなという印象持ったのは、本当に増光していたためのようです。
年末年始の休み中に機会があれば、もう一度見てみたいと思っています。