ひとことで表すと、
『虚構の中の真実』
のお話。
主人公の七海の、最初の結婚のエピソードは観ていて退屈なのだけど、
それが中盤から生きてくる。
胡散くさい仕事の安室が
七海を随所で助けるのだけど、
この人は本来、純粋に生きたい想いが
強い気がする。
嘘で塗り固めた仕事で、成功している。
けれど、真ん中は虚無。
七海を花嫁にした真白は、
純粋そのもの。
この真白に、恋愛というよりは憧憬、尊敬
の念を抱いているのが安室。
彼が、真白を弔うシーンで泣き崩れる。
何とも言えない、感情の爆発の仕方。
彼の生きかた、そのものに対しての
哀愁にも見える。
でも、彼はこの生きかたしか出来ない。
真白とは対照的。
真白の近くにいたかったのだろうな、
と。
話をするだけで、
心が洗われていたりしたんだろうな。
真白のお母さん役の女優さんが、
あまりにも自然で
自然な、自然な悲しみを表す。
このシーンは、この女優さんがいないと
成立しなかったはず。
主人公の七海も、純心なのだけど
意志、意思がない。
それを獲得するまでの、話。
人が本当の意味で、自立と自活を
していくまでの話。
真白が、コンビニで買い物をしたら
店員さんが袋詰めしてくれることの、
有り難みを
七海に話すシーンがある。
これは、真白役のCoccoさんの
感じていることだな…
と思った。
Coccoさん、映画内で唯一、
『演技をしてない人』。
演技が出来ない人でもある。
それが、このかたの持ち味で、特性で、
神様に演技をしてはならない
と言われてる人だとも思う。