ところにより霊的解釈

映画の感想です。

パニックルーム

2020-08-05 10:25:00 | 日記
序盤のお母さん(メグ)と
娘(サラ)の引越して来た晩の
様子が好き。

何でだろう。
メグにとっては、哀しみに満ちている
はずの新生活のスタートなのに、
反面、自由にも見えるからかも。


侵入して来た3人の泥棒が
チームワーク全くなしで、
つくづく良かった。

そして、その内の1人(バーナム)が
善人で良かった。

バーナムは、暴力をふるわないことを
明言していたり
サラを助けたり、
とても心優しい。


知恵のある人なのに、
環境に負けて犯罪に走るなんて
もったいない。


近くに住んでいるサラのお父さん
(スティーブン)が、
メグのSOSで来る。
そして
泥棒の1人に暴力を受ける。
もちろんかわいそうなシーンではある。

でも
なぜか不思議と、
天罰にも見えたりする。


サラが持病の発作を起こしている時に
スティーブンが、そんな目に遭っていて。
物語の進行の中で、
最も酷い時なのだけど…

あれは、スティーブンが罪を
贖っている時だなあ、と感じた。

不倫により元妻と子供と別居して、
他の女性と暮らしていて、
という状態のスティーブン。

だけど、メグとサラを守る。

この事件の収束後、スティーブンは
新しい妻と別れて
一人で暮らしたと思うわ。

不倫しなければ、それが原因で
離婚しなければ、
メグとサラが離れて暮らすこともなく、
犯罪に巻き込まれることもなかった。
と、考えたと思う。

下手すれば、メグもサラも
死んでいたのだし。


銀行債の証券が、ラストで舞うシーンは
大切なものがお金じゃなく
愛だと
伝えている。

家族の愛、親子の愛。

バーナムだって、そもそも
養育費のために罪を犯してしまった。

裁判で、赦免はあったと思うけれど。

パニックルームに精通した技術を
犯罪に用いては、ならなかったよね。






17才のカルテ

2020-07-03 08:13:00 | 日記
境界性人格の診断を受けた主人公、
スザンナ。

そもそもだけど、人格障害という程
ひどくはない状態だったのでは?
と思う。

この映画は、実話が元。
原作も読んだ。

時代のせい、
家庭のせい、
過敏な時期のせい。

スザンナは、周囲の人たちを
計算の上で混乱させたり、
諍いを起こさせたりはしない。
だから、境界例じゃないと思う。

でも、過敏なあまりに
時間のズレや途切れを感じたり
離人の症状が出たりしているから、
全くの健全な状態でもない。

賢くて多感で素直で優しくて、
ちょっと病んだ状態の
良い子なスザンナが、
思春期病棟(おばあさんもいるけれど)に入ったことは

スザンナ本人の人生に、素晴らしい働きを
もたらせたし、
自らの病気に悩まされていた、病棟の少女たちの助けになったと思う。

人との出逢いは、いつでも
どのような場所であっても、
光に変えられる。







群青の夜の羽毛布

2020-06-20 18:00:00 | 日記
小説をだいぶ以前から何度も
読んでいたので、
映画化していたのを知った時は、
小躍り。

主人公(さとる)のお家の照明が暗すぎる。
ふふふ…
好きな空気感。

小説では、もう少し鉄男さんと自然に距離が縮まるのだけど、
映画では微妙。

あんな、急な誘いをスーパーの店員さんから受けたら、
普通の女の人は引く。


しかも、介抱のお礼が手作りのお弁当って
他人の手作り。
食べられない人は
食べられんよ。
さとるから、鉄男へ渡すのだけど。

さとるは、料理上手。
鉄男は既に恋してる状態。

ここで、さとるの人との距離の取りかたが
ちょっと変だとわかる。
好意、善意なのだけど
押しつけがましく、必死。

実は、鉄男が入れ込んでるんじゃなく
さとるが、外の世界の他者に
助けを求めている。

家庭の破綻
教育の失敗

虐待、連鎖

精神の病

というものが、徐々に表れてくる。

このくらいの、闇って
わりと、その辺の家に自然に存在してる。

かなり酷めに見えるけど、
こうしたケースは多いと思う。

ただ、ギリギリで何とか日々を生きているだけ。みんなが。

一般的には、「メンヘラ」とされる女性に、まともな男は寄りつかない。
なんとなくヤバい、と感じたら
遊びはするけど、付き合わない。
結婚なんか、絶対にしない。

付き合う人は、すごく優しいか
自分自身の育った家庭に、何かがあった人。
また、その両方。

結婚するのなら、尚更。
よほど、その女性に惚れ込んでいるか、
お人好しの三乗くらいか、
自身の闇を、女性の闇で緩和させたいか、
どれかだ。

鉄男がそうだったように、
母親がベタ甘で依存的だったり、 

どこかに影を持つ女性へ惹かれる男性
って、確かにいる。すごく少ないけど。

俺が守らなきゃ!の意識が、
何だか強い人。
正義感やら、何やらが。

女性はそれ程、弱くもないのだけれど。

さとるは、自分の手で
家族と決着しようとした。
本当は、強い。
やりかたが間違ってるけど。

家族を殺して、家を焼いたら
解決するわけじゃない。
働いて、母と訣別すれば良かったの。
時間がかかっても。

どんなに、育った環境が酷くても
それを言い訳に、自立しなくて良いなんて
ことは、ない。

まして、男性に頼って生きるなんて
厚かましすぎる。
もし、その方法で生きたいのなら
その男性に何をされても、付き従う構えでないと。

依存ではなく、
お互いに、助け合って支え合って、
同じくらいの愛や働きを、分かち合う。
それが正しい姿。

好きなだけじゃ、駄目だと思う。
好きなだけじゃ、現実を生きてはいけない。








ドラッグ・ガーデン

2020-06-15 22:15:00 | 日記
広田レオナさんの作品。

病んでいる時期に、観た。

なんで病んでる時にわざわざ?
って思うけど、映像で目にすることで
自分の体験も大したことない、
このくらいでしかない、
と客観視したり、軽く片付けたり
したかったのかも。

…でも、それは、逆効果だったり。

内容はポップなんだけど、痛々しい。

抗精神薬と麻薬は似たようなもんだと、
かなり先駆けて伝えていたのだな
と思う。

この作品内で、妊娠したから
処方薬を止めなきゃならなくなった
彼女と、
同じような経験をすることになった。

本当に、ああなるんだなあ、というのが
感想。
でももっと、酷かったけれど。

現実と虚構の交錯、とパッケージに
コピーがあった。
実際は、かなり真実の内容だと思った。
特に、彼女の過去の追想。

性被害の描写は、つらくて
息が詰まる。息がしにくくなる。

過去に怖いことがあった女性は、
信頼できるパートナーが
一緒にいる状況でしか、
観ないほうが良いかも。
または、観ないようにその時は、
目や耳を隠したら良いかも。

または、安定剤を用意して観るか。

ドラッグガーデンに
ドラッグ(安定剤)を持って立ち入る。
…って感じ。





式日

2020-06-15 21:55:00 | 日記
考えるより、感じる映画。

自殺願望、自傷行為、
精神疾患、アダルトチルドレン…
などの用語に反応してしまう人は、
好きだと思う。

切ないし、もの哀しいし、寂しいし、
わけがわからない。
観た後にも、スッキリするとかじゃない。

どういうストーリーなのか、も
別に考えなくて良い。
感じたら、いい。

映像は美しく、目が毒々しい彩りに
やられてしまう感じ。

一回、本気で死のうとした人、
死にたくなった人、
それでも生きたい人、
生と死を想っている人は
観るべき。

映画も縁だな…
と、つくづく思う。