華島さんがソロになって売れなくなってからも、俺は例のバーで華島さんを待ち…そしてスタッフ達を連れて華島さんはやってきた。
どんどんライブの客は減っていて、会場も小さくなっていった。
その頃から、華島さんはちょっとバーで荒れるようになっていた。
でも、俺はファンが少ないのをいいことに、酔っ払っている華島さんにプレゼントを手渡したことがある…
俺のささやかなバイト代で買ったシルバーのペンダント。
華島さんはにっこりと笑ってその袋を受け取ってくれたのに…
…暴れないようにとお目付役にされたのは、ほとんどサポートのミュージシャンだった。
スタッフでは言うことをきいてくれないからだ。
…あの時、カウンターの華島さんから目を離さないように、でもはべらせた女の子達を優しく笑わせていた人が…
もしかして、オミさん?
ホストかよ、と俺は心の中ではバカにしていたけれど…
俺の今の本心は、きっと、華島さんに会えなくても、オミさんに会いたい、だ。