ナスやキュウリの葉っぱの裏に沢山付いてます。
奇跡の木と呼ばれるニームオイルを、定期的に散布はしていますが、やはり農薬では無いので完全には駆除しきれないようです。
家庭菜園の先輩である、同僚のアベちゃんに「アブラムシの対策はどうしてるの?」と聞いたところ、水やりの時にシャワーで洗い流すくらいで、他は特に何もしてないと言っていました。
仕事の休憩時間などに、色々と家庭菜園の事を話すのですが、僕が言う事に対して、「へー」とか「ふーん」とか「そーなんだー」と気の無い返事をするだけで、アドバイス的な事は全くしてくれません。
一度、「意地悪しないでちゃんと答えてよ」とお願いしたら、「意地悪も何も、本当に何もしてないから答えようが無い」と言われました。
基本的に、植え付けた後は追肥と水やりと簡単な芽かきをするくらいで、あとは放ったらかしのようです。
追肥は2週間に一度、全部の野菜に同じようにバラ撒くだけ、水やりは土が乾いたら、ホースで適当に撒くそうです。
芽かきは、仕事が休みの日に、気が向いたらやるだけと言っていました。
こんなんでも、毎日食べきれない程の野菜が取れると言ってます。
味も、買ってくる物より美味しいと、奥さんや子供が褒めてくれるそうです。
庭が広いとは言え、これは凄い事だと思います。
「病気になったらどうするの?」と聞いたら、「何もしない。ていうか、ほとんど病気になったことが無い」とのこと。
先月くらいに、玉ねぎがベト病になったようで、少し焦りながら僕に「どうしたら良いの?」と聞いてきたくらいなので、ほとんど病気になった事が無いと言うのは本当の事なんだと思います。
僕はざまーみろと心のなかで思いながら「抜くしかないよ」とアドバイスしました。
うちの玉ねぎもベト病でしたけど。
ピーマンやナスが、毎年11月くらいまでは収穫出来ると言っていたので、「更新剪定してるの?あれって難しそうだけど、、、すごいね」と言ったら、「一番花の下の脇芽は取るけど、その他は何もしてない。何もしなくても、嵐や台風で枝が折れて丁度良い感じになってる」と言っていました。
僕は心のなかで、なんだこの野郎と思いながら、「へーすごいねー」と言っておきました。
どうしてこんなにも、僕の家の庭と差があるのでしょうか?
土作りも石灰と堆肥を入れるくらいで、特別な事はしてないようです。
一つ思い当たるのは、アベちゃんの家は中古物件で購入したそうで、以前はどこかの社長だった人が隠居生活を送っていたそうです。
家は豪邸とかではなく普通ですが、その社長さんは、庭作りにかなり力を入れていたそうで、専属の庭師を雇って手入れをしていたそうです。
当然、家の建設時には、庭の土も良い土を入れたことでしょう。
この土のお陰で、特別な事はしなくても病気やストレスに強い、立派な野菜が育っているのではないかと思いました。
「どうして前に住んでた人の事を知ってるの?」と聞いたら、「実は、今の家に住んでしばらく経った頃、以前働いてた庭師の人が訪ねてきたことがあって、その時に聞いた」とのことです。
庭師さんは、色々と話したあと最後に、「この家の庭は、私が手掛けた庭の中でも特に思い入れがあり、出来も素晴らしいものでした。今どうなっているのか、ずっと気になっていて、居ても立っても居られず、失礼を承知で訪ねて来ました。もし可能であれば、庭を見せて頂けないか」
そんな感じのことを言われたそうです。
「で、どうしたの?」
「見たいと言うから見せたよ。畑だけど」
「えっ? 野菜の畑を見せたの? て言うか、元々植えてあった木はどうしたの?」
「畑を見せた。元々あった木は、邪魔だったから全部切って抜いた。根が張ってて大変だった」
「えっ?畑を見せたの?木は一本も無いのに? で、庭師の人は何か言ってた?」
「そう言えば、しばらく固まってたな。で、何も言わずに一礼して帰った」
どうして畑を見せたのか。
庭師さんがショックを受ける事はわかり切っているはず。
適当な嘘を言って見せない方が良かったのではないか。
もしくは、昔の庭はもう無いと、本当の事を言って、見せずに帰ってもらえば良かったのではないか。
等々、色々と言いたい事はありましたが、会ったこともない庭師さんですが、流石に可哀想に思えてしまい、これ以上は聞けませんでした。
すぐには無理だとしても、いつかアベちゃんよりも美味しい野菜を作ってやると、心のなかで庭師さんに誓いました。