gallery AXIS 6917

ギャラリーアクシス6917の近況いろいろご報告します!

映画 中村正義

2013年09月26日 | 展示
今日は先週見てきました中村正義の映画に触れてみたいと思います

どのくらいの方がご存知か分かりませんが
1924年愛知県生まれの中村正義という日本画家がおります
彼は1977年、つまり四半世紀も前に亡くなっています
その中村正義は生前、福井にいた三上誠と交流があり
お互いがかなり強く意識し合っていた間柄でした

中村正義は体が弱く正規に中学校を卒業していないので
高校の後(高校は豊橋商業高校でした)
美術大学を受験することが出来ませんでした
それでも高校生の頃から
”自分は画家になる”という決意を持ち
独学で絵―日本画ーを学び
当時日展の大御所であった中村岳陵の門下生になります

当時の作品がいくつか紹介されましたが
二十歳前のものでも、彼の絵は作品化されているのに驚きました
美術学校に行っていない分、目標をはっきりと持たずに
悩んでいる時がなかったのかも知れません

それでも日展の日本画ですから
周りには画家として大成している面々が並び
逆に見れば
絵画というものを一から考え直すような作家には
出会えていなかったのかも知れません
そんな中、京都藝大学生の三上誠の作品は
大きな衝撃を正義に与えたのだと映画で話されていました

紆余曲折の人生でしたが、
三上誠は結核で命を落とします
その訃報を聞いてすぐさま、この地福井に来た正義が
見つけたメモには、お金が無くて東京に行けないという
辛い言葉が書かれてあり、それを読んだ正義は涙したということでした

その正義も若い頃結核にかかり、
その後は大腸がんに侵され
「自分は風邪をひいたら死ぬんだ」と言っていたそうです

そして預言のごとく
風邪をこじらせ入院してすぐに咽喉を切開
声も出さずに最後を迎えるという終わり方をしてしまいました

社会とは大きな関わりを持たず
作品、制作、それと生活費にほとんどの
エネルギーを使わなければならなかった三上誠、
社会的に(大)成功もし日展脱退の反逆をしてみせ
なお金銭問題にも眼を背けなかった中村正義


どちらがどちら、ということはありませんが
いずれにせよ美術藝術にとって
住み心地のあまり良くない日本風土というのは
二人に共通する問題だったようでした

二人の作品掲載が出来ないのが残念ですが
ご興味のある方
検索してみてください


次の作品ご紹介

2013年09月22日 | 展示
次はStephan Baumkotterのドローイングをご紹介します
この作品は紙にオイルスティックで描かれています
普通”描く”と書かれていたら何かしらのイメージを
描いていると思われますが、ミニマルアートの作家ですから
”描く”という行為は成されていないと言う方が正解です
ただ言葉にするのに便宜上描くと書いているに過ぎません



こちらはシートが36.7x24cm.でオイルスティックの使われている部分は
縦が10cm.ほどです
作家は紙の大きさを作品のサイズとしているので
このような写し方はあくまで部分になります
ですが作品全体を写すと中心にある線の色や重なりが
ほとんど分からないので敢えてこのようにしました

前回ご紹介したタブローと言われる作品は
線がありませんでしたが
こちらには線があります
ですがどのように引いたものなのでしょうか
そして色が重なるということは
どのような意味合いを持つのでしょうか
ご覧のとおり
紐解くのはなかなか難しいようです


こちらはまた
非常に違った作品 Takatsudo Yukoの2008年のキャンバスに油彩の作品です


当時作家は大学3年で初めての学外の展覧会に出品した作品です
このころはモチーフを線で囲む
一見イラスト風の描き方をしています
背景に当たる部分も一色のベタで
どの色もチューブそのままに見えます
このように素材に手を加えないやり方は
作家のセンスが良く表れているように感じ
生まれ持った感性で作られているのを思います

今回も
二人の対極的な部分を取り上げてみました

Baumkotter  Takatsudo 作品紹介

2013年09月20日 | 展示
今日から何回かに分けてBaumkotterとTkatsudoの作品紹介をいたします

Baumkotterは日本で著名というわけではありませんが、
ヨーロッパやアメリカではミニマルアートの世界で確立された
評価を得ています
日本では戦後美術の大きなジャンルとして紹介され、支持を得たミニマルアート
日本人では桑山忠明さんらがアメリカを拠点にして活躍されています

ミニマルは名前の通りミニマムという
最小限の要素で成り立っています
この中から”人間的なもの”を捜すのは
見る側の知識やセンス、教養といったものが
大きく問われてきます

ですがあまりにその観察者の能力に拘らず
単純にその作品の持つ色や平面のなめらかさに浸りながら
鑑賞するのも一つの有りようだと思います




対照的にこちらは高津戸の作品



これは2011年の作品です
ドイツに行く前東京藝術大学の学生であったころは
あとでご紹介するようにかなり違った作品でしたが
作家が描こうとしている内容はそれほど変化していません
高津戸優子は制作の前、どのように描くかに時間を取られ
それが決まるまでは悶々とした日を送りますが
逆に描くという行為が始まるとその行動は止めどもなく溢れて来ます

どちらの方向性を持った作品が好きかはそれぞれですが
どちらも自分のアンテナに電波を感じ取れれば
それだけ楽しめるということになります




本日よりBaumkotterとTakatsudoの展示です

2013年09月18日 | 展示
久しぶりのblog.更新になってしまいました。

8月後半の異常に暑い日々と気温が下がってからの雨雨雨、
まるで今年梅雨に少なかった降雨量を取り戻すかのように続いた悪天候
そして大災害となった台風18号
TVでは福井の被害を写してくださったおかげで、
東京地方の方々からお見舞いの電話、メールをたくさんいただきました。
福井にお住まいの方はご存知ですが、
今度の台風被害は主に嶺南という京都に近い地域で
画廊のある福井市ではそこまで酷くはなりませんでした

ということで
昨日からの台風一過、
この高湿度福井では久しぶりの爽やかな日に展覧会オープンできたこと
嬉しく思います

展示作家Stephan BaumkotterとTakatsudo Yukoは作風も年齢も
共通していません。強いて共通項を捜すとしたら
二人とも今ドイツに住んでいるということでしょうか。

Stephanは旧GALLERY TERASHITAで
初めて日本での展示を行い
ヨーロッパ、ミニマルアートの層の厚さを感じさせました
現在はケルンに在住しフランクフルトで教鞭をとっています




一方Takatsudo Yuko(高津戸優子)は旧gallery坂巻で
大学3年から展覧会を続けています
高津戸優子は東京藝術大学を卒業後ドイツミュンヘンに留学
現在も同大学に所属していますが
つい最近ベルリンに引っ越ししました



本日は写真2点のみのご紹介ですが、
これから会期中展示作品を一つ一つupしていく予定です