2012年7月12日
明日から15日まで、東京地方はお盆に入りますが、毎年この時期、寮生たちの半分くらいは、都内や近郊のお寺さんに頼まれて、泊りがけで棚経の手伝いに出ます。上級生がその年に入った1年生を引き連れて行くケースが多いのですが、1年生には寮で初めて坊さんの作法を覚えた者が多いので、そういう連中にとってはもちろん棚経も初めての経験になります。そこで、私は毎年お盆の前に、手伝いに出る寮生に向けて訓示といえば大袈裟ですが、何点か注意を与えます。
「住職の代理で檀家さんのお宅に伺うのだから、呉々も先方に失礼のないように。伺った時は『ごめんください、○○寺です』、お暇する時は『失礼致します』等の挨拶を、学生らしくはっきりと述べるように。お経は姿勢を正して、心を込めてあげるように。寮の法堂ではないのだから、あまり大きな声を出す必要はない。お布施の封筒や包みを渡される時は、必ず低頭をして両手で頂くように。絶対に片手で受け取るような横着な真似をしてはいけない。お布施を受け取る際の挨拶は、三輪空寂なのだから、『ありがとうございます』はふさわしくない。君たちはお布施をお寺に持ち帰り住職に渡すのだから『お預かり致します』『お預かりして参ります』くらいが妥当。お茶やお菓子などのおもてなしに対しては『ごちそうさまでした』ときちんとお礼を述べなさい・・」
言わずもがなのことばかりですが、彼らの中にはこれらのことをちゃんと言って聞かせないとできない者がいる。逆にいうと、言って聞かせればちゃんとできる。寮に入った時は、誰かになにかしてもらっても、まともに礼もいえないくらいの礼儀知らずですが、「これこれこういう場合はしっかりお礼を言いなさい」といえば、以後は言えるようになる。言わば「礼儀知らず」が「礼儀知り」になる。要は、親御さんには失礼ですが、率直に言って家庭での基本的な躾がきちんとできていない1年生が案外いるのです。今年もこうして教えましたから、彼らもきちんと棚経先で挨拶をしてくれるでしょう。
私も明日から懇意のお寺に頼まれて棚経に出ますが、天気が心配です。いつもは自転車で廻っているところも、傘をさすと徒歩で廻らなければなりません。てるてる坊主でも下げますか。