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カラダを科学する本格的整体ブログ

人間のカラダのおもしろさを、生命科学、スポーツコーチング、認知心理学、動物行動学など、越境しながら学ぶ未来派整体術。

呼吸(8)

2010-11-16 00:03:50 | Weblog

【増刷】南一夫『内臓体壁反射による異常観察と調整テクニック/概論』
(韓国語版出版決定、日本語版も増刷中)

 
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昨日、丹沢の大山に登ったらとてもよい景色でした。眼下に見えるのは、厚木・伊勢原を中心に江ノ島や横浜、遠く房総を臨む景色です。

前回は、「細胞の化学合成力を高める工夫」というこうと、胃の働きを見てみました。胃の働きが顎と結びついているということを紹介しました。このことは、胃の健康管理についても多くのことを教えてくれます。

胃が張りやすい、緊張しやすいというたちの人はすくなくありません。大切なことは胃を休息させる時間をできるだけしっかりつくということなのですが、その際、たんに食べないというだけでなく心がけていただくとよい点があります。

顎と密接に関連しているといことは、歯の間にちょっとした甘味とか旨味が残っているだけで、胃酸が分泌されて胃の休息がさまたげられるということを意味します。ですから、胃の休息のためには、事前にしっかり歯を磨くことが大切です。間食をした時もこまめに歯を磨くとよいでしょう。

さらに、臭いにも注意しましょう。胃は、ものを食べる予感を感じただけで活動をはじめます。飴工場の甘い香が漂ってくるような環境では多くの人が胸やけを起こします。胃の方で、勝手に食べる準備をはじめてしまうのです。日常生活でいうと、たとえば朝の寝ている時間にご飯の炊けるよい臭いが漂ってくるといった状況がこれと似ています。胃の敏感な人は、自然と胃酸が分泌されていざ起きてみると胸焼けをしていた、といったことが起こります。


それでは、今回は、小腸の働きを見てゆくことにしましょう。

 

小腸はどのようにできているのか?

  小腸は長さにして6m、面積にして20平方メートルもあります。多くの細胞があつまった消化吸収のための巨大な化学反応シートといってもよいでしょう。このシートの表面で生ずる分解と吸収という化学反応を促進するためにどのような方策があるかを考えてみると以下の3つの点がとくに重要であることは疑いないでしょう。 

1)内容物をよく濡らし攪拌して消化液と接触させる。

2)温度をあげて消化液の反応を高める。

3)シートをゆすって細胞の表面が無駄なく内容物と接触するようにする。

  このように考えてみると、すでに小腸の機能が、化学反応を高めるためによく計算されていることが理解できます。たとえば小腸が動かないとき、腹がもたれたりつかえた感じがして便秘になります。お腹を冷やすと下痢をします。こういった症状は、小腸の化学合成力の停滞と比例して生じてくるのです。

  小腸の内部では、外来のバクテリアなど、分解能力をも利用した「共生者」の能力を活用していることも重要です。小腸の運動能力や温度が低下すると、このような共生関係にもヒビが入ってしまうのです。なぜなら、バクテリアは細胞分裂の能力がとても旺盛です。夏の熱い日に発生する赤潮のことを考えてみましょう。ちょっとした条件の変化で爆発的に状態が変化してしまうのです。

  一方、上皮組織をくるむ筋肉組織を平滑筋と呼びます。上皮組織はみずから動くことは出来ませんが、この平滑筋のお陰で活発に伸縮して、内壁がもれなく消化物と接触できるのです。この際、とくに平滑筋組織の筋繊維の方向に注意しておきましょう。

 手足の運動と引き起こす筋肉は横紋筋と呼ばれます。組織標本で見ると、すべての筋繊維が一定の方向に整列して、秩序だった横紋が見られます。長さの変化に対する感度が高く、たとえば手足や背骨の関節が動くと、たえず本来の位置に引き戻すように反応します(伸張反射と呼ばれる)。

  これに対し、小腸の上皮組織を取り巻いている平滑筋は筋繊維が微妙にずれながら方向を変えて伸びています。このような筋繊維の走行は、小腸の内部の圧力を均等にし、すべての上皮細胞の表面が、無駄なく消化物とふれあのをたすける上でとても有利です。それぞれの筋繊維が、さまざまな方向の張力のバランスを自動的に取ってくれるからです。

  さらに注目すべきは、小腸を取り巻く血管の走行です。小腸は宙ぶらりんのチューブではありません。すべての部分が腸間膜という膜で背側の腹壁にぶら下がった形になっています。小腸ははげしく化学合成がおこなわれながら、同時に筋肉による撹拌(かくはん)作用がおこなわれるので、大きな熱の発生する領域です。このような熱は、小腸内の化学反応のスピードを高める上でとても重要な意味を持っています。

  ただし、細胞を構成するたんぱく質は、摂氏43度くらいを境に変性が起こります。摂氏43度は、卵の白身が透き通った状態から白く不透明な状態に変化する温度と考えていただけれよいでしょう。細胞にとっては、この温度が生きてゆく上での限界温度なのです。

  このため大きな熱の発生する小腸では微妙な温度調整が必要です。すべての領域が腸間膜を経由して血液の出し入れがおこなわれる構造は、このような温度調節に最適です。

  たとえば小腸の内部が冷たいときには、流出する血管と流入する血管を密着させ内熱を逃すことなく酸素だけ供給することができます。逆に内部が加熱しすぎたときには、腸間膜が腫れて流出する血管と流入する血管の距離が開くことによって、熱が外部に持ち出されやすくなります。

  生き物の身体は、100万年、200万年という長い歴史のなかで、より多くの子孫を残しうる姿が遺伝的に選び取られ、形づくられてきました。そこには、なにげなく想像する以上の合理性が備わっているのです。

  細胞のもつ化学合成力という観点に立つと、その意味をよりハッキリと理解することができます。この点こそ、20世紀後半から進んできたあらたな生物学の成果です。現在、医学や生理学、解剖学など、伝統ある学問分野でこの成果をいかに取り込むかが競われています。

  このブログが、そういった風を感ずるよききっかけとなればと願っています。ちなみに、今回のテーマに関係して日常生活で注意していただくといのは、就寝中にお腹を冷やさないということです。就寝中、小腸は活発に運動します。これは消化吸収のためではく、内部環境の調整のためです。

  この時、お腹が冷えているようだと小腸・大腸の働きは大いに低下します。日中、長時間の頭脳労働やストレスを感じている身体をリセットする大切な時間です。内面の広大な細胞シートが健全であってこそ、スッキリした寝覚めが生まれれるんだという目で、ご自身の小腸・大腸を会話してみてください。

次回は、本題である肺の構造を細胞の観点から読みといてみることにしましょう。いよいよ血液の可動性と呼吸能力の問題の核心に近づいてゆきます。

 (つづく)
やすらぎ創健堂
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呼吸(7)

2010-11-10 11:54:15 | Weblog

【増刷】南一夫『内臓体壁反射による異常観察と調整テクニック/概論』
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前回は、わたしたちの身体を能力が細胞のもつ化学合成力(電磁気力の活用)にあるということ紹介した上で、日常生活になじみの深い「石鹸」や金属の「さび」を例に、わたしたたちがどのように電磁気力を活用しているか、また電磁気力を高めるためにどのような工夫をしているかを紹介しました。

 

 石鹸についてみると、汚れ物をスポンジでこすることによって石鹸の持つ電磁気力が作用する面積を増やすことができ、お湯を使うことによって反応速度を高めることができます。何気ない作業のようですが、実際に汚れがよく落ちる背景には、物理学的に見ても合理的な理由があるわけです。じつは、生物の身体構造や仕組みも、細胞の化学合成力(電磁気力)を生かすための合理性に貫かれています。

 

 では、実際にわたしたちの身体が、どのように細胞のもつ化学合成力(電磁気力の活用)を高めているかを見てみることにしましょう。


胃はどのようにできているのか?

 

 わたしたちの胃は、タンパク質を分解する酵素を分泌します。同じ肉を食べる時に、丸のみすると胃の酵素は肉隗の表面にしか作用しませんが、よく噛み砕いて飲み込むと、バラバラになった肉隗の済部にまで胃の酵素が作用します。酵素が作用する面積が格段に大きくなります。そうすれば、より短い時間でより多くのタンパク質を分解して取り込むことができます。

 

 一般に、胃は小腸、大腸とともに、消化管ととして理解されることが多いのですが、実際には小腸・大腸の働きとは大きな違いがあります。胃は、精神的な緊張の影響を強く受けます。小腸・大腸もストレスの影響を受けますが、胃と精神ほど深い結びつきはありません。また胃の内容物は嘔吐できますが、小腸・大腸になると下すことはあっても、嘔吐することはよほど特殊な場合(腸捻転のときなど)でなければありません。

 

 生物学的に見ると、胃は腸よりもむしろ顎とセットになって生まれた臓器です。顎で噛み砕いたものを細部まで融解して、本当に食べて大丈夫なものかどうか吟味するための場所です。ですから胃にはたんぱく質(生物の身体を形作る)を分解する消化液や強力な胃酸が備わっています。昆虫には、胃のなかに毒針を持ったものもいます。もし食べたものに有害なものが含まれていれば、いつでも嘔吐できるのもこのような意味で捉えるとよく理解できます。

 

 顎のない生き物のことを考えると胃の意味はいっそうはっきりします。その代表的な生き物がクモです。動物はすべて節状のくりかえし構造(「体節」といいます)をもとに身体の器官が作られてゆくのですが、わたしたち哺乳類をふくむ脊椎動物や昆虫など、現在の動物界で繁栄している動物のグループは、いずれも身体の一番前側の体節が顎になった生き物です。

 

 これに対し、クモは身体の一番前側の体節が触覚になった生き物です。このため、餌の身体を体液でぬらして融解した栄養分を摂取することしかできません。クモの口は、ちょうどわたしたちの小腸がむき出しになった状態といってもよいでよう。

 

 餌となる生き物の身体を消化液で濡らし、融解するのをまってなめとるように摂取します。このため巨大な巣が不可欠です。生存のためのエネルギーの多くを巣の作成にあてなければならない宿命なのです。結果的に取り込むことのできるエネルギーの総量は大きく低下します。このため、クモのグループに属する生物はほとんど多様性がありません。ほとんど例外なく寸胴の胴体と8本の足をもち、糸を吐き出して巣をつくります。

 

 胃を切除した方は、「いっぺんにたくさん食べることができなくなった」と感ずるのが大きな特徴です。立派な顎も大きな胃があればこそというわけです。胃の機能は、顎とセットになって食餌量を増やすことにあると考えられるのです。

 

 このことが、劇的なエネルギー摂取量の増大をもたらし、昆虫や脊椎動物の多様性を生み出しました。逆の目で見れば、小腸における化学合成力の姿は、それ以前の古い時代にすでに確立されていたと考えることもできるでしょう。

  

(つづく)
やすらぎ創健堂
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呼吸(6)

2010-11-06 06:42:27 | Weblog

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 前回は、細胞の営みが、物質表面の極性(電気的な力)に大きく依存していることを紹介しました。少し難しい表現になりますが、生命の営みは細胞の電磁気力を基本としてなりたっているのです。そのような観点から見ると、「呼吸」とは、炭水化物を分解して、そのなかに貯えられた太陽光線のエネルギーを取り出す行為だということができます。

 一方、動物の身体は、さまざまな「動き」を持っています。身体が動く、心臓や呼吸器が動く、血液が動くなど、動物の身体と「動き」は、切っても切れない関係にあります。

 両者がどのような関係にあるのかが、この「呼吸の話」の重要なテーマです。わたしたちの健康を守ってゆく上で、細胞の活力と身体のなかのさまざまな「動き」の関係は重要なテーマです。

 細胞が健康であるためには、電磁気力と「動き」との両立が大切なのです。

 

細胞のもつ化学合成力

 細胞の活力の大きな鍵を握るのが「電磁気力」です。電磁気力という言葉は、あまりなじみがないかも知れませんが、物質の化学的なエネルギーといえば少しわかりやすいかもしれません。わたしたちが日頃馴染んでいるさまざまな物質、たとえば炭水化物とか、タンパク質とか、ナイロンとか、鉄とか、カーボンとか、ありとあらゆる日用品や食品、燃料、素材などの分子をつくる力です。

 生物の身体のなかでは、このような化学的な物質の合成が、きわめて整然と秩序だっておこなわれているのです。

 電磁気力とは、電子を介して分子と分子、分子と原子、原子と原子とが結びつく力のことです。現代の物理学では、物質を構成する力として、この電磁気力と強い力、弱い力、重力の四つがあるとされています。重力とは、ものとものが引き合う力で質量に比例します。すべてのものは重力をもっていますが、たとえばわたし自身が周囲のものを生き寄せる力は微々たるものです。一方、地球のように質量の重いものになると、重力を持っているということがはっきりとわかります。


強い力は核エネルギーを生み出す

 強い力とは、核エネルギーといった方がなじみがあるでしょう。物質の基礎単位である原子の中心にある核が押しつぶされて生まれる力です。たとえば地球の中心では、多くのものが重力に引き寄せられ、原子が粉々になってゆきます。最終的にもっとも小さな水素二つが押しつぶされてヘリウムが出来ます。この時放出されるのが核融合エネルギーです。地球のマグマの熱や太陽の熱は、この核融合によるものです。
 一方、地表近くには、サイズの大きな原子、ウランとかラドンが残っていて、簡単に核分裂をおこします。このような物質は、一定の半減期を経過して、次第に原子量が半分の物質へと崩壊してゆきます。このような時に放出されるエネルギーも、核融合同様の強い力です。原子爆弾や原子力発電所に見られるように、このエネルギー(核エネルギー)は少量の物質で巨大なエネルギーを生み出します。基本的に核エネルギーのなかでは生物は生きることが出来ません。
 このように見てみると、生命は地球環境のなかでも電磁気力で物質が安定した状態におかれた環境を選んで生活していることがわかります。地殻の表面のほぼ10kmの範囲の世界が生命の世界なのです。


生命活動のもつ物理的な特徴

 生命の基本単位である細胞は、とても小さなサイズで出来ています。これは分子や原子などの素粒子と親しみやすいサイズといってもよいでしょう。細胞は、特定の物質をくっつけたり切り離したりしながら、化学エネルギーを取り出しながら生きているのです。たとえばメキシコ湾で座礁したタンカーから流出した石油を除去作業などでは、バクテリアの分解能力を活用しています。

 このようにバクテリアの化学合成力を利用した技術のことをバイロレメディエーションといいます。現在、さまざまな分野で活用が進んでいます。人間の知恵が及びもつかない有能なバクテリアがたくさんいるのです。

  「呼吸について」と題して、呼吸と血液の可動性について論じてきたのですが、その基本にあるのは、このような電磁気力を利用したエネルギーの取込みです。

 

電磁気力とは化学反応

 ここで問題をすこし本題に近付けて、血液の可動性が、このような「細胞の電磁気力」に対してどのような意味を持つのかということを明らかにしておきましょう。じつはわたしたち人類をふくめ、多くの生物の身体にあっては、「血液の可動性」が「細胞の電磁気力」を補う不可決の要素になっているのです。

 まず簡単な「電磁気力」の例を挙げてみましょう。わたしたちの身近には、電磁気力(化学的エネルギー)を活用したものがたくさんあります。たとえば石鹸はその代表的なものです。石鹸の主要な成分は化成ソーダ(水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウム)です。化成ソーダはアルカリ性を持った物質(マイナスに帯電した物質)です。汚れなどの成分と水の両方にくっつきやすい性質も持っています。その結果、水では落ちなかった汚れが、石鹸と結合して水に溶けて流れやすくなるのです。

 くぎなどの鉄が、空気中に置いておくと錆びてしまうのも、「電磁気力」の身近な例です。空気中にはほぼ20%程度、酸素が含まれています。酸素は、とても不安定な物質で、さまざまなものから電子を奪おうとする性質を持っています。轍が錆びるのは、このような酸素と結合して酸化鉄になってしまうからです。

 

電磁気力を補うためにできること

 さて、わたしたちが汚れたものをきれいにしようとしたときのことを考えてみましょう。石鹸は、振り掛けておけば次第に汚れを分解してくれるのですが、多くの場合、スポンジやたわしを片手に、ごしごしこすると思います。ごしごしこすると、汚れの表面が削られ、石鹸が付着する面積が拡大します。その結果、石鹸の電磁気力が作用する面積が、ただ放っておく場合にくらべ格段に増えるのです。

 さらに、同じこするにしても、水をかけてこするのと、お湯をかけてこするのでは、汚れの落ちる速さに大きな差がでます。電磁気力は、化学反応ですから温度によって大きな差が起きるのです。

 錆の場合にも、同じことがいえます。大工さんは、くぎを錆びて太らせることで、木との結合を高めようとします。放っておいてもくぎは錆びるのですが、口のなかで舐めて湿らせると錆びるスピードが格段に速くなります。

 

生物の進化と電磁気力の応用

 おなじことが生物の活動にも当てはまります。細胞は、電磁気力を組織的にコントロールできるとてもすぐれた存在です。問題はその効率です。くぎや石鹸の例でわかるように、じわじわと化学反応が進んでゆくのを待つのも悪くはありませんが、現実にこの電磁気力の効率を高める方法がたくさんあるのです。

 細胞の視点からみると、わたしたちの身体は驚くほど巨大です。しかも、この大きな身体を運動させたり、あるいはさまざまな思考をめぐらせたりと、単に細胞の寄せ集めでは説明の出来ない、さまざまなエネルギー消費をおこなっています。

 このようなことが可能なのでは、たくさんの細胞が集結するによって、個々の細胞がばらばらである時より、結果的に高い電磁気力を達成できた時です。多細胞生物の身体に、実際に、細胞の持つ電磁気力を高めるような特徴がたくさん認められます。具体的に見てみることにしましょう。

 

(つづく)
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呼吸(5)

2010-10-29 18:38:53 | Weblog

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今週の火曜日、札幌で雪がふりました。たまたま身体均整師会の全国講習会で札幌に滞在して、一足早い北海道の冬に遭遇しました。出発前に、札幌に滞在経験のある方に「十月下旬は、東京の冬並みと考えておいた方がよいですよ」とアドバイスをいただいていたのが幸いでした。冬用のコートのおかげで凍えることもなく、冬の北海道の感触をちょっぴり味わった気分です。

  10月26日夕方の新千歳空港。この直後に猛烈な吹雪になりました。

飛行機の出発三十分くらい前からでしょうか、お昼過ぎに一端上がった雪が猛烈に降り始め、あっという間に翼の上に
5cmも積もりました。いったいどうなるのかと思っていたら、機体の除雪専用の機材を積んだ車が出てきて、除雪作業がはじまりました。

ちょうど翼の横のシートだったのですが、機内から除雪作業をじっくり眺めるなんて生まれてはじめての経験でした。見ているとクレーン車のような長いアームが翼の上の方に顔を出しました。その先端には人が乗り込んゴンドラが付いていて、先端からもうれつな勢いで水(正確には石鹸のようなもの?)を吹き付けて、雪を吹き飛ばしてゆきました。翼と接触することがないよう、ゴンドラのしたから触覚のようなセンサーの触手が伸びています。大きな翼につもった雪を除去するのに片側20分、機体部分もふくめて総計50分くらいの大変な作業でした。

さて、血液の可動性という観点から「呼吸器」の問題を考えてきました。医学的にはなんら問題のない呼吸器が、血流の関係から違和感を引き起こすことがあるという点に注目してきたのですが、このことを細胞の役割に注目しながら、身体生理の問題として捉えてみたいと思います。


わたしたちの身体のなかには、さまざまな役割分担があります。神経細胞とか、筋肉細胞(筋繊維)とか、白血球とか赤血球などの血液の細胞などなど、それぞれの細胞が個性を持って仕事をしています。

気道や気管支には、線毛で異物を絡めとって、外部へと送りだす細胞が数多く分布しています。ところどころに粘液を分泌する細胞がまざっています。外敵が侵入してきたら粘液を出してからめとってしまいます。これらの細胞はいずれも上皮細胞と呼ばれる細胞のグループに属します。その周囲には、単体で運動の能力をもった免疫系の細胞 がたくさんいて、外敵や異物が入ってくるとこれらを食べてしまいます。これが「たん」となって、外部に排泄されるのです。 

このような細胞の営みは、物質表面の極性(電気的な力)に大きく依存しています。肺のなかに空気とともに混入してくるバクテリアとのやりとりを見てもそのことがよくわかります。

ある調査によると乾燥土壌1gのなかには、バクテリアが5700万個、カビが10 万個、原生動物が1000個いるといいます(萩原ら『日本変形菌類図鑑』平凡社 1995 36p.)。

バクテリアなどの小さな生き物は、身近に栄養のない時には、厚い皮膜をかぶりシストと呼ばれる包嚢をつくって休眠状態になります。空気中を漂ったり、地中にうもれたり、海のなかを漂っていて、ひとたび有機物などの栄養素に出会うと爆発的に繁殖して一生懸命細胞分裂して子孫を残します。目には見えないけれども、空気中には、仮死状態になったバクテリアが大量に飛び交っていると考えていただいてよいでしょう。

わたしたちの身体は、これらのバクテリアにとっては素晴らしく魅力的な栄養源です。皮膚や腸管などに入り込んで、共生関係にあるバクテリアも少なくありません。ただ、血液中や筋肉、骨格など、消化管以外の臓器にはこれらのバクテリアは見られません。肺の内部を覆っている上皮細胞は、これらのバクテリアが体内に入りこまないためのバリアーの役割をはたしているのです。



上に示したのは正常な肺胞の組織です。赤く染まった部分が肺胞の壁で、白い部分が空気が出入りするバルーンの部分です。この薄い壁のなかで、空気中の酸素が赤血球のなかにあるヘモグロビンという物質に結合します。そして、血液の流れ(可動性)によって全身に運ばれていくのです(※図の赤みは、組織標本の染色によるもので、赤血球の赤みではありません)。

このとき、ヘモグロビンに酸素を結びつける力も電気的な力です。ヘモグロビンは鉄を含んだとても大きなタンパク質(分子量16,000)です。この鉄の部分に酸素が結合すると、ヘモグロビンは鮮やかな赤色に代わるのです。薄い肺胞の壁は、そのことがおこなわれている現場です。薄く張り巡らされた肺胞の壁を見ていると、空気と血液の接点をできるだけ広くしようとする意思のようなものがみなぎっていると思いませんか?

感染症を起こしたり、誤飲によって食べ物が入り込むと、バクテリアが繁殖し、この赤い部分が腫れ上がり、白い部分が見る見る小さくなります。
肺胞には、そういったことを防ぐためのバリアーがたくさんあります。図の赤い領域の壁面にはサーファクタントという物質を分泌する上皮細胞があります。サーファクタントは、親水基を肺胞の壁面にむけ、疎水基を外側に向けるように分布する液体です。サーファクタントが分泌されると、肺胞の表面が疎水基で覆われるのです。

「疎水基で覆われる」という表現はわかりにくいと思いますが、簡単にいうと水をはじくようなつるつるした撥水構造になるということです。サーファクタントの疎水基どうしは反発してお互いにくっつかないばかりでなく、外から入ってきたバクテリアも寄せ付けない効果があります。バクテリアの身体は基本的に水になじみやすくできているため、撥水構造を持ったつるつるの表面を滑り落ちてしまうのです。

おなじことが皮膚にもあてはまります。わたしたちの汗は、ほっておくと強いにおいを発します。これは、汗にタンパク質が含まれているためで、皮膚はこの汗の性質によって基本的に水をはじくようにできています。さらに汗は酸の性質を持っています。生命の細胞膜はリン脂質の薄い層にすぎません。わずかな酸やアルカリのもつ電気的な力が細胞の身体を引き裂いてしまうのです。バクテリアの身体にとっては汗のもつ酸性という電気的な力は生命を脅かす驚異なのです。

物理学によると、すべての物質は、素粒子間にはたらく4つの力(強い力、電磁気力、弱い力、重力)によって構成されています。いま紹介したサーファクタントや汗の性質、さらには、神経伝達の仕組みや筋肉が力を発揮する仕組みなどは、このような観点から見るといずれも電磁気力によって生み出されています。

電磁気力とは、そもそもわたしたちになじみのあるさまざま物質を構成している力です。たとえばわしたちの身体や皮膚は、少々引っ張られても避けたり千切れたりしませんが、これは物質どうしが電磁気力によって結びついているからです。さまざまな物質を化学的に合成する力が電磁気力です(※これに対し、強い力とは、核分裂とか核融合などのように、原子の核を構成している力です)。

電磁気力をコントロールできるということは、言い換えると化学プラントのような能力を持っているということです。細胞がこのような能力をもっているのは、分子や原子などの素粒子と親しみやすいサイズでできているからです。このような力が、わたしたちの生命力の根幹を形作っているのです。

電磁気力をあつかうことには、とても有利な点があります。4つの力のなかで、電磁気力は、「強い力」(核分裂などの力)についで強いパワーをもっています。電磁気力をあつかうことができれば、小さな物質のやりとりのなかから、大きなエネルギーを引き出すことができます。おどろくべきことに、皆さんご自身が、このような力を日々行使しているのです。

たとえば、自動車とか、パワーショベルとか、デジタルカメラとかの機械は、個々の能力では生き物の能力をはるかに超えています。しかし、これらの機械は、自分の身体を自ら合成して作り出したり、腐食や腐敗を防いで自己修復したり、外界から入った情報からあらたな情報を生み出す=学習する力を持っていません。

逆の見方をすれば、わたしたちの身体は、溶鉱炉を積んだパワーショベルのようなものだといってもよいでしょう。しかも、仕事をしながら同時にくず鉄や鉄鉱石を広い集め、石油の採掘と精製までおこなっているようなっているような驚くべきパワーショベルです。実際にこのようなパワーショベルを作ろうとすれば、ちょっとしたビル一つ分の大きさになるはずです。

呼吸の話(
1)で紹介したように、わたしたちの細胞は、炭水化物を酸素の酸化力で分解して、生命エネルギーを作り出しています。炭水化物は、さまざま食品に含まれていますが、そもそもの発生源はすべて植物の光合成です。つまり、酸素、炭素、水素を太陽エネルギーの力で結合した物質なのです。

呼吸の過程で、炭水化物はばらばらになって排泄されてゆきます。呼吸とは、酸素、炭素、水素の結合を切り離して、太陽エネルギーを取り出す行為なのです。取り出された太陽エネルギーは、アデノシン3リン酸という物質に移し変えられ、細胞のさまざまな機能に利用されます。

つまり、わたしたちの身体が、パワーショベルやデジタルカメラと決定的に違うのは、電磁気力によって、地球環境と交流できる力=細胞の力を体内に宿している点です。わたしたちの身体は、手足のすみずみにいたるまで、ミクロサイズの精密化学プラントによって、ぎっしり埋め尽くされているのです。

問題は、個々の細胞の小ささです。細胞単体で作り出せるエネルギーは、あまりに小さく一メートル数十センチに達するヒトの身体を操るには、あまりに非力です。このため、わたしの体内では。膨大な数の細胞の統制の取れた共同生活がおこなわれているのです。

わたしたちの身体は、進化の過程で、細胞のもつ電磁気力を生かしながら、その小ささをも克服しながらうみだされました。細胞の視点に立って、身体組織のつくりや血液の組成を見てみると、人類の身体のもつ特性と弱点がよく見えてきます。いずれにせよ、肺胞の構造、血液の可動性、それらを保護する化学的な性質など、すべてが45億年におよぶ進化の結果生み出された、驚くべき作品であることには変わりはないのです。

(つづく)
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呼吸(4)

2010-10-22 08:37:36 | Weblog

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肺の内側は、血液と空気との間の酸素と二酸化炭素の移動のために、わずか一層の細胞層でつくられたとても繊細な構造をしています。単層円柱上皮、あるいは重層扁平上皮と呼ばれる組織です。

 

「上皮」といわれる組織は、身体が外界と接するあらゆる面をつくる細胞層です。皮膚も消化管の内側も、鼻のなかや呼吸器の内壁、尿道や膀胱の内壁など、すべてこの「上皮」組織で覆われています。「上皮」では細胞間は隙間なく密に結合してどのような物質も出入りてきません。ものがカラダのなかに入ったり出たりするには、かならずこの「上皮」の細胞の内部を通過しなければならない仕組みです。

 

体内には、血管や腹腔など空所がありますが、こういった体内の空所の表面もすべてこの上皮と呼ばれる細胞群で覆われています。とても細かな話のようですが、このことはわたしたちの身体が細胞を基本として成立っていることを示す大切な点です。身体の内側の仕組を理解するためには、細胞がどのようなルールにしたがって生活しているかを理解するのが、早道なのです。

 

以前にも述べましたが、わたしたちの五感は、運動の能力を制御するために形づくられています。これに対し、呼吸とか消化とか排泄、生殖といった活動は、細胞のルールにそってつくられています。たとえるなら、わたしたちの五感は、大きな力や物質の移動を対象にした「眼の粗い眼鏡」であるのに対し、細胞は、分子サイズの力や物質の移動を対象にした「精巧な眼鏡」で世界を見ているのです。

 

呼吸について考えるためには、わたしたちは、細胞どうしの「言葉」を対象にした「精巧な眼鏡」にかけかえなければなりません。たとえば水道水とスポーツドリンクの違いを問われると、わたしたちの日常の意識では、せいぜい味やにおいの違いにしか思い浮かびませんが、細胞にとってはもっとずっと大きな違いがあります。

 

ミネラル分など外部のものを取り込む際、上皮の細胞は、しばしば浸透圧を利用しています。「浸透圧」とは、2種類の水溶液を、大きな分子が通りぬけられないような膜(半透膜)が隔てていると、大きな分子のある側(濃度の濃い側)に水が吸い上げられてしまう現象です。ガーゼの一端を水に着けておくと、次第に全体に水が滲みてきます。これは「拡散」という物理現象ですが、浸透圧もこの「拡散」にもとづく同じ現象です。

 

浸透圧の力を利用すれば、手の力を利用しなくても、広い面積に水を行き渡らせることができます。細胞が、細胞自身の力で物質を取り込むのにとても便利な現象です。この性質を利用するために、細胞は半透膜で周囲を覆い、内と外で物質の濃度に差を着けることが必要です。また血管や組織のタンパク質やミネラルの濃度(浸透圧)が、腎臓や肝臓の力でいつも一定に保たれていることも大切な条件になります。

 

逆にこれらのバランスが崩れると、身体はすぐに危機的な状態に陥ります。集中治療室では、血液のミネラル成分の平衡をたえず監視しています。細胞は小さな存在ですから、周囲の環境条件が崩れると多量の水分が細胞内に張り込んで簡単に崩壊してしまいます。体内環境の変化に対する感度は、わたしたちが五感で考えるよりはるかに繊細なのです。

 

いかがですか? 細胞の視点に立ってみると、肝臓や腎臓、血管が同じ志向性をもって、共同で仕事をこなしているのが理解できませんか? 血圧のコントロールとか、酸素の吸収が、このような器官の働きを支えていることは、前回も紹介しました。

 

ここでは、化学式や分子記号ぬきに細胞の視点に立って話を進めてゆきたいと思います。化学式や分子記号が便利な場合もありますが、あくまでわたしたちの五感に定着させるための方便にすぎません。大切なことは、細胞という小さな存在の視点に立って世界を眺めてみることであって、化学式を列挙することではないのです。

 

 

ウェキペデイの記事では、真水(水道水ではなく)で目を洗うと痛みが発するのは、浸透圧の関係で、眼球の細胞が腫れるためだと紹介しています。光を捉えるためにサイズや形状が厳密にコントロールされた目においては、確かに十分成り立つ話だと思います。

カラダのなかに感ずる不快感や重さ、だるさ、苦しさを理解するために、細胞が発している言葉に耳を傾けることはとても大切です。外気の湿気が増えるだけで、呼吸器の細胞がはれやすくなったり、免疫力が低下するのも、このような視点に立てばよく理解できます。


呼吸に関連するさまざまな症状は、このように、細胞の視点に立った眺めて、はじめてその意味が浮かび上がってくるものなのです。

(つづく)

   

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呼吸(3)

2010-10-14 22:39:19 | Weblog

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前回、肺が血液の可動性とも関わりが深いというお話をしました。このことは実際に体験することができます。
下図の要領で、立って手首の拍動を感じながら深呼吸をしてみて下さい。とくに胸郭を大きく広げ、息を吸い込んだ後に、トイレで力む時のように下腹に力を入れてみましょう。




こうすると横隔膜が通常より強く引き下げられ肺がいっそう広がります。その時、手首の脈に注意を向けていて下さい。いかがですか? 脈がずいぶんと小さくなりませんか?

 

少し呼吸のトレーニングをすると、横隔膜ははるかによく動くようになります。そうなると、同じ操作で手首の脈が消失することもまれではありません。肺が膨らむと血流に大きな変化が起こることがわかります。頭がふらふらと意識が遠のく感じがするかもしれませんから注意して下さい。気功や自律訓練法はこのような状態を意識的につくっておこなうのです。

 

血液の全体量はおおむね5リットルほどです。心臓の一回の拍手量はほぼ80ミリリットルです(いずれも坂井建雄『血液6000kmの旅』講談社選書)。肺は動脈血の循環経路としては心臓の一歩手前にあり、心臓との間に他の迂回ルートがありません。肺からの流出量は、そのまま100%心臓の流入量になります。

 

肺が大きく広がればそれだけ多くの血液が貯留されるわけですから、心臓からの血流に影響を与えることは当然といえば当然のことです。実際にどの程度の血液が貯留されるか、以下の表を参照ください。

 



血流量と血中の酸素濃度は、生体にいずれもとっても重要な指標です。血流が低下すれば、手足が痺れたり意識が遠のいたりします。その一方、血液に多くの酸素を取り込むためには、肺を大きく膨らまさなければなりません。両者が二律背反の関係にあることは好ましいことではありません。身体の必要から言えば、本来、それぞれが必要に応じて個別にコントロールできることが好ましいのですが、肺の構造上、やむを得ず同調しているのがわたしたちの身体なのです。

 

このため、わたしたちの身体は、血流量と呼吸量をたえず同調させるための神経回路を必要とします。たとえば、激しく運動して多くの血流が必要なときには深呼吸ができません。しようとしてもできない構造になっているのです。これは呼吸と血流が、一方が他方を規制しあう関係にあるからです。

生理的な活動の範囲内ではとくに問題がなくとも、自律神経のバランスが崩れたりした時には、血流量と呼吸量の二律背反のジレンマによって、呼吸器や循環器に影響があらわれます。たとえば喘息には、気管支に起因するものと心臓に起因するもの2種類があります。不整脈の時には、胸が使えたような息苦しさがともないます。

ここには、たんなる身体構造ではすまされない生命史的な宿命が絡んでいます。身体構造の根幹に関わる問題がはらまれているのです。

そもそも酸素は、拡散という単純な物理現象で血液に溶け込みます。鰓呼吸でも肺呼吸でもこの点は変わりません。このため、もし、空気中で呼吸の効率を高めようとすれば、それに比例して多くの水分を失わなければなりません。

マラソンをすれば喉が渇きます。この喉の渇きは、我慢などできるものではありませんよね。身体の生理作用を詳しく追いかけてみると、わたしたちが生きている地球という環境が、どのような性質をもったものかが、次第にはっきり見えてきます。

わたしたちは、この限られた環境のなかで、巧みに身体を操るすべを磨かなければならないのです。


(つづく)

   

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呼吸(2)

2010-10-07 14:50:03 | Weblog

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今週の日曜日、埼玉県毛呂山町に稲刈りの手伝いにいってきました。もう6~7年来の習慣になりますが、手伝うというより貴重な体験をさせてもらっているという方があたっています。大学生のころまでは、私の実家も稲作をしていました。田んぼにたって土のにおいを嗅いでいると、亡き祖父や祖母、父の在りし日が思い出されて、とても懐かしい気がします。




さて、前回、呼吸に関係する違和感の多くが、血液の可動性に関わっているというお話しを しました。まず血液の可動性とはなにか、ということをはっきりさせておきましょう。

血液は、おおむね体内に5リットルくらいあるのですが、この血液はたえず休むこ となく流動しています。心臓が停止すると血液の可動性がなくなります。心臓マッサー ジは停止した心臓の力を外部から補うためのものです。 わずか4分間の心停止で、わたしたちの身体は回復不可能な損傷を受ける訳ですが、 血液の可動性はとても重要なものだということがお分かりになるでしょう。

もちろん、ただ動いてさえいればよいといった単純なものではありません。血液中の酸素の濃度 やミネラルのバランスが崩れると、鼓動がはげしくなって呼吸があらくなってきます。 脳には、血液中のさまざまな組成を感知するセンサーがあって、十分な物質の供給が えられないとたえず心臓や肺の機能に働きかけて、供給を増やすように指令を出します。血液の可動性の変化は、血液の組成の乱れの明解なサインなのです。

血液の可動性を高め ることには、たんに物資の運搬だけでなく、血液の 組成を整える意味があることも忘れてはいけません。 老廃物を取り除いたり、二酸化炭素を除去し酸素を取り込むためにも、血液の可動性は必要なのです。たとえば腎臓は、血液の可動性が低下すると十分に血液をろ過することができなくなります。そこで、自らホルモンを分泌して心臓の拍出力を高める能力を持っています。

肺の方はどうでしょう?

一般に過呼吸症は、純粋に精神的 な理由によると説明されていることが多いようです。しかし、身体に生じている皮膚や筋肉、神経の徴候を見 ていると、そこには血液の可動性と平衡性にからむ「肺の誤作 動」が関わっているように思われます。 医学的な疾患ではないけれでも、単純に精神的なものと割り切れないなにかが関わっているように思えるのです。

実際にどのようなことが起こっているの、器官の働きの特性に注目しながら少し掘り下げてみましょう。 

たとえば肺と腎臓は、血液の平衡性を整えるという意味で、いずれも重要な仕事をする器官です。腎臓でおこなわれる「ミネラルの再吸収」「尿素の除去」も、肺でおこなわれる「二酸化炭素の除去」「酸素の取り込み」も、いずれも上皮細胞という薄い細胞層をはさんで物質がやりとりされるという点では共通です。

ただし、腎臓の仕事は細胞自体の高度なエネルギーを必要とする仕事です。このために腎臓は物質運搬の専門家のような細胞で作りあげられた特殊な器官なのです。

これに対し、肺でおこなわれる「二酸化炭素の除去」「酸素を取り込み」は、濃度の差を利用した素朴な物理現象です。このため肺は、細胞それ自体の能力よりも、外界との接点を増やすことに主眼をおいた器官です。

一般に、腎臓や肝臓、小腸などの物質の運搬に特化した細胞は運動能力を持ちません。身体は、それぞれの器官が特定の能力に専門化して、全体でひとつの身体機能を支えるようにできているのです。

すべての器官にとって血液の可動性は必要なのだけれども、腎臓や肝臓のような器官は、自らが運動して血液を動かす能力を犠牲にしているのです。

これに対し、外界との接点を増やすことを主眼とした器官は、運動の能力が不可欠です。そのような器官として、肺とともに小腸が代表的です。

小腸は、長さ6m、面積にして20㎡相当の広大な内壁を持っています。このような巨大な内壁は運動することなしには十分に生かすことができません。

小腸で実際に栄養素の吸収をおこなう細胞は、運動能力を持たない細胞ですから、外側に筋肉組織を配置して、外部から運動するようにしむけられているのです。

内壁の広大さでは、肺も小腸に劣りません。肺のなかには、肺胞と呼ばれるごく薄の風船が300万個も収められているのです。肺は、横隔膜や肋間筋で大きく伸縮し、この広大な内壁を生かせるような仕組みになっているのです。

同じ運動性の器官として肺と小腸を比べたとき、肺はなによりも血液の可動性との関わりの深さで際立っています。このことが、肺の誤作動が違和感として自覚されやすい大きな根拠になっているように思われます。

実際に血液循環のなかで肺の持っている大きさを確認しておきましょう。 すべての血液は体循環の過程で、かならず肺のなかを経由します。その配分の大きさは、以下の図を見てみるとよくわかります(赤い四角の大きさは、血液配分のパーセンテージに比例しています)。


(つづく)

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呼吸(1)

2010-09-29 00:35:44 | Weblog

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暑かった夏も、あっという間に秋の風に押しやられてしまいました。気が付けばコートが欲しくなるほどの寒さです。この間、身体均整師会の仕事が立て込んでしまってなかなか余裕がありませんでした。次回の予告をしながら、更新できなくてまことに申し訳ありません。

先週になって、大きな仕事の整理がついてほっとしているところです。これからはゆっくりとではありますが、コンスタントに続けてゆきたいと思っています。前回予告した呼吸器について考えてみましょう。


八ヶ岳。硫黄岳と根石岳の稜線部分。背後は赤岳です。お盆休みで東京は記録的な猛暑でしたが、ここから下がった赤岳鉱泉では長袖を着て毛布をかぶっても寝ても寒かったです。お金のかからない格好の避暑(ただし健脚向け)といえましょう。


たとえば運動をして息が上がることに不自然な感じを持つ方はありません。しかし、運動をしていないのに息が上がったり、胸の前につかえたような感覚があったり、息が十分に吸い込めないと精神的にかなりの圧迫感があります。

鼻、咽頭、喉頭、気道、気管支、肺などは、いずれも呼吸に関係する器官ですが、このような症状は、かならずしもこれらの器官の問題で生ずる訳ではありません。呼吸の中身に立ち入ってみると、そのことがよくわかります。呼吸がいったいどのようなものなのかを理解しておくことは、呼吸の違和感に対処するうえでとても大切なことなのです。

わたしたちの体内で営まれている呼吸には、内呼吸と外呼吸の二つがあります。いわゆる呼吸器がおこなっている呼吸は外呼吸と呼ばれるもので、その大きな目的は血液に酸素を溶け込ませることです。

なぜ血液に酸素を溶け込ませなければならないのかというと、その原因はわたしたちの身体のもとをつくっている細胞にあります。細胞は、酸素のもつ化学的なエネルギー(酸化力)で糖分を分解して活動エネルギーを作り出しているのです。


八ヶ岳。硫黄だけから横岳~赤岳にいたる稜線を望む。天気がよかったのですが、諏訪湖から昇ってくる湿気で10時ころにからガスが発生。夏の山は、やはり4時起きくらいがちょうどよいのです。なにせ山小屋では夜9時には寝てしまいますので。ただ星空は見逃したくありまん。周囲が真っ暗で何がなんだか分からないくらい星がたくさん見えます。

このように、身体のもとになっている細胞が酸素の力をかりて活動エネルギーをつくる過程を、内呼吸と呼んでいます。母親の胎内にいるとき(胎児のとき)、一つ一つの細胞は自前で内呼吸をおこなっていますが、外呼吸の方は全面的にお母さんの呼吸器に依存しています。

生まれてオギャーとなき始める瞬間に、肺に向けて大量の血液が流れ込み、いっきに外呼吸がはじまります。内呼吸と外呼吸は、そもそも独立した別々の過程なのです。とはいえ、内呼吸と外呼吸は、相互に密接な関係にあることもたしかです。細胞の活動が活発な時は内呼吸が盛んになり、外呼吸も活発になります。

これは、ひとえにわたしたちの体内に酸素をため込んでおく余力がないからです。口から摂取する栄養に関しては、一週間ぐらい食べなくても充分生き続けることができます。しかし、酸素はそうはいきません。救急救命の措置として、心臓マッサージや人工呼吸を学ばなければならないのは、わずか4~5分の呼吸停止が即座に死に直結するからです。

一見すると、これはとても不便なことのように思います。イルカやアシカなどの海の生き物でさえ、外呼吸をとめていられる時間は7分ほどです。これには理由があります。酸素には、そもそも強い化学的なエネルギー(酸化力)があって、細胞のレベルでは有害な物質でもあるからなのです。

つい二年ほどまえまで、活性酸素の脅威がかまびすしく語られていましたね。これは、まさしく酸素のもつ害の側面にほかなりません。このようなわけで、内呼吸と外呼吸は、たえず収支均衡していなければならない鉄則なのです。

わたしたちの体内には、総計2.5㍑ほどの血液があります。この血液の運搬能力が保たれていて初めて内呼吸と外呼吸は相互に結びつくことができます。血液の可動性があって、はじめて内呼吸と外呼吸の収支均衡が可能になるのです。

呼吸に関する違和感の多くが、この血液の可動性をともなって生じていることを、まずは押さえて置いていただきましょう。

(つづく)

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大哺乳類展(海の生き物編)に行ってきました。

2010-08-08 07:15:23 | Weblog
生きていた格好のまま、1億年前?カエルの化石(読売新聞) - goo ニュース

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これまでこのブログでは、とくにカラダの運動について紹介してきました。そこには整体の施術に密接する問題がたくさん含まれていました。

運動機能が実際にどのような仕事をおこなっているかを知ることは、どのように運動機能が障害されるかを知るもっとも基本的な手順です。そのことが、快方にむかってカラダを調整してゆく出発点なのです。

もう一つ、わたしたちのカラダにとって重要な自律神経機能はどのようなものなのでしょうか?

目がかすむ、頭がふらふらする、カラダがだるい、お腹が痛い、頭痛がする、過呼吸や動悸、便秘や下痢など、すべて自律神経の機能が関わる症状です。

じっさいにむち打ち症などの関節傷害になると、運動機能の問題以上に自律神経症状の方が重要になります。大切なことは、運動機能が自律神経機能の一部であるというとらえ方です。この点について、すこし掘り下げてみましょう。


大哺乳類展、人類で大混乱(いまはそうでもないと思います=要確認)

カラダがやりくりしている物理的仕事をすこし掘り下げてみると、そこに多くの場合「驚き」が生まれます。そして、カラダのすごさが実感されます。これは、わたしたちが日ごろあたりにも簡単にカラダを操っているからです。

たとえばわたしの体重は66kgです。これは水を一杯につめたポリタンク3つ分に相当します。手ではともてば持ち上げられない重みです。にもかかわらず、信号の変わり目に横断歩道に駆け込んだり、駅の階段をかけ登るときに、わたし自身はこのカラダの重みをほとんど意識すらしません。

その背後には、数百万年におよぶ人類の直立二足歩行の積み重ねによってもたらされた特殊な能力があります。

ぎっくりごしとか、捻挫をした時とか、体力が衰えたとき、わたしたちはこのカラダの重みに打ちひしがれそうになります。これは、ある意味、高速でカラダを操ることの宿命といってもよいでしょう。

関節に分布する鋭敏な感覚神経は、身体の強度と可動性を生み出す、不可欠の要素なのです。健康なカラダは、ある意味、不可能を可能にする驚異のパワーをもっているといってもよいでしょう。

そもそも、わたしたちの感覚能力は、このカラダを上手にあやつるために発達しました。そして、重さをはかる重量計とか長さをはかる物差しなども、わたしたちの感覚能力に添ってるつくられています。

以前、目の力(視覚)に関連して紹介しましたが、たとえばハエは、わたしたちよりもはるかに高速な視覚情報の処理システムを持っています。でなければ、台所や食卓の小さな空間を、あんなに高速で飛び回ることは不可能です。

どんなに腕を振り回しても、素手でハエを取り押さえることができない理由は、感覚能力がカラダの大きさに制約されているという、生物学的な特性のゆえなのです。

もちろん、そのためにハエは、視覚世界の解像度というものを犠牲にしています。人間的な意味で、世界を「詳しく見る」ことはできないのです。

哲学者ジョン・ロックの『人間悟性論』ではありませんが、「神が見たもうとされたこの感覚能力で、なぜわたしたちは満足してはならないのか(満足すれはよいではないか!)」。わたしたち生き物は、自分のカラダを不可分なく操れるように、感覚を授けられているのです。

しかし、この運動能力がそもそもどこから来たかを考えると、話は一変します。



大哺乳類展、シャチの骨格



わたしたちも、ハエも、鳥や魚たちも、運動の基本的な力学的仕組は、細胞分裂の時に細胞をくびれさせたり、染色体を引き寄せる力と同じものです。

アクチンとミオシンというタンパク質は、細胞のなかに含まれるとても基本的な物質です。この物質は、細胞から取り出しても物質自体としての性質を失いません。

細胞が呼吸によって生み出すATP(アデノシン三燐酸)という物質を、このアクチンとミオシンに振り掛けるとシャーレのなかでも縮むのです。これをアクトミオシンと呼んでいます。

わたしたちのカラダに即していえば、自律神経の能力は、生命活動のより根幹に近いところにあり、そこに奉仕するために運動能力があるといってもよいかも知れません。ただ、そのためには、まだまだ多くの説明を必要とします。

このことを考えるために、現在では多くのとても興味深い生物学的な成果が積み重ねられています。ある意味で、わたしたちは、生命の神秘に迫る幸運な時代に生きているといってもよいでしょう。

次回は、呼吸をテーマに、その点をすこし掘り下げてみたいと思います。


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夏は生き物と触れ合う季節

2010-08-05 20:49:56 | Weblog

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ご無沙汰しておりました。いかがおすごしですか? 
この間、統合医療学会向けの論文提出などの仕事におわれ、なかなか投稿する余裕がありませんでした。
やすらぎ創健堂のhpのリニューアルなどの準備も進めておりました矢先、7月はじめには久しぶりに熱をだしました。気がついたら猛暑のなかにたたずんできたといった感があります。



さて、いつになく暑い夏が続いています。夏といえばビールのおいしい季節ですが、生き物について語り合うにも、またとないくらい季節だと感ずるのはわたしだけでしょうか?

たとえば「夏休みといえば恐竜展」というくらい各地で恐竜の骨格や模型の展示がされています。上野で哺乳類展なども催されていますし、山では昆虫採集の少年たちに出会います。海や川で生き物と触れあうのも夏の醍醐味のひとつです。

生き物の身体は、最先端の科学技術と比べても驚くほど精巧に作られています。免疫の仕組み、時間を感知する仕組み、運動の仕組み、光を感知する仕組み、判断や知覚の仕組みなど、すべてわたしたちのカラダのなかにあって、日常生活に役立っているのですからすごいです。

とわいえ、わたしたちの知覚能力は、そもそも人類のカラダのサイズをコントロールするためのものです。最先端の科学技術といえでも、あくまで「人体」サイズに見合った知覚能力の産物なのですから、あたかも万能の鏡のように思い込んでしまうのは現代文明の奢りというものです。

わたしたちの知能や認識能力はそもそも細胞の力で形作られています。どう逆立ちしても、この順序をかえることはできません。細胞は、わたしたちが感じたり、考えたり、働きかけたりする能力よりも、はるかに小さな世界に精通しているのです。

生命が存在できるのは、地球上の地表面を挟んで上下ほぼ10kmの世界です。ほとんどの生き物は、地球サイズで見れば地表面から上下1kmの薄皮のような空間に、あたかもプレパラートのなかに密封された水滴のように生活しています。大きな目で見ると、多様な生き物が特定の環境の申し子といっていいほどに深く結びついていることがわかります。

詳しく見るとこの範囲はもっと狭くなります。たとえばちょっと砂浜を掘り下げてたり、ドブとか湖沼の泥をさらってみると、ちょっと嫌な刺激臭のする一帯があります。強いにおいのもとになっているのは、硫酸還元菌など嫌気性の菌類です。これらの菌類は、酸素のある環境では生きてゆくことができません。この泥のなかには酸素がないことを示しているのです。

この酸素のない空間には、ほとんど生き物がいません。多くの生き物は、酸素と太陽光線の共存する限られた空間に生きているのです。

医学知識のなかに分け入ると、人間のカラダの仕組みがあまりに複雑なのに目眩(めまい)がしそうになりますが、そもそも生命活動はそれほど複雑な前提条件を必要としません。

生き物のカラダは地球を構成する元素の組成をよく反映しています。あとは水と酸素、そして植物の光合成によって生み出される糖分があれば、どこをひっくり返しても驚くほど多種多様な生き物の営みを目にすることができるのです。

時として体調不良や痛みの原因となる自律神経の働きは、生き物のカラダを構成する細胞が、どのように自分たちの生きる環境を押し広げてゆくかというひとつのテーマのもとに発達しました。

恐竜展をはじめとする夏の生き物をめぐるさまざまなイベントを通じて、このことを掘り下げてみたいと思います。(つづく)

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スーパーサウルスの骨格です。カラダの大きさに対して顎が小さいと思いませんか? じつは、爬虫類は体温調整の機能を備えていません。このため爬虫類は、同じ大きさであれば哺乳類の十分の一程度のエネルギー消費で生命を維持することができるのです。次回は、この点を掘り下げてみます。