少女は幻と言われる花を捜し求めていた。
月光の下に咲くその花の露を飲めば
どんな病気でもたちどころに治るという
幻のその花を。
病身の母が長いこと床についたまま
生気のない青白い顔で死を待っているばかり
少女は母の病気をなんとしても治したかった
決心をした少女は隣人に母を頼み旅に出た
野を越え山を越え谷を越え
微かな噂を頼りにどんな土地へも足を運んだ
そして遂に辺境のとある村で
幻のその花が咲いているのを見たという話を聞いた
傷だらけの足をひきずりながら少女はその村へ向かった
そして その村の入り口に差し掛かったとき
少女は見た
既に灰になった村の姿を
煙が立ち込める中少女は呆然と歩き回った
一人の村人が焼けた廃墟にうずくまっているのを見て
少女は駆け寄った 村人は言った
「二日前に山火事が起こってね・・・村はみんな焼けてしまったよ
幻の花?・・それも焼けてしまったよ 少し咲いていたんだけれどね」
そう言って村人は丘の上を指差した
少女は夢中で走り出し その丘へ駆け上がった
丘は荒涼として風が吹き渡るだけ 花の影も形もない
少女はわッと 地面に突っ伏して泣いた
せっかくここまで来れたというのに
やっと幻の花を見つけたというのに
こんなことならずっと母の元についていればよかった
ひとしきり泣いたあと少女は立ち上がると
一目散、家路についた ただ、母のことだけが心配だった
月光の下に咲くその花の露を飲めば
どんな病気でもたちどころに治るという
幻のその花を。
病身の母が長いこと床についたまま
生気のない青白い顔で死を待っているばかり
少女は母の病気をなんとしても治したかった
決心をした少女は隣人に母を頼み旅に出た
野を越え山を越え谷を越え
微かな噂を頼りにどんな土地へも足を運んだ
そして遂に辺境のとある村で
幻のその花が咲いているのを見たという話を聞いた
傷だらけの足をひきずりながら少女はその村へ向かった
そして その村の入り口に差し掛かったとき
少女は見た
既に灰になった村の姿を
煙が立ち込める中少女は呆然と歩き回った
一人の村人が焼けた廃墟にうずくまっているのを見て
少女は駆け寄った 村人は言った
「二日前に山火事が起こってね・・・村はみんな焼けてしまったよ
幻の花?・・それも焼けてしまったよ 少し咲いていたんだけれどね」
そう言って村人は丘の上を指差した
少女は夢中で走り出し その丘へ駆け上がった
丘は荒涼として風が吹き渡るだけ 花の影も形もない
少女はわッと 地面に突っ伏して泣いた
せっかくここまで来れたというのに
やっと幻の花を見つけたというのに
こんなことならずっと母の元についていればよかった
ひとしきり泣いたあと少女は立ち上がると
一目散、家路についた ただ、母のことだけが心配だった