このままでは廃れる。
と、伝統工芸の産業は当時から言われていた。
着物を着る人も減り、昔ながらの暮らしをする人も少ない。
それでも伝統工芸に魅せられ、小学生の頃から憧れて就いたアナウンサーをやめて、導かれるように根付の職人となった。
今でも一片の悔いもない。
ただ、当時からいつ廃れても、
生きていけなくなっても、
後悔のない生き方をしよう。
とは、ずっと意識していたように思う。
過去も未来もなくて、今を。
とにかく今を精一杯。
もう、誰にどう思われるとか、
恥ずかしいとか言ってられないほど
いろんな人が助けてくれた。
日々ありがたさと申し訳なさでいっぱいで、
そのご恩に報いたくて、ただガムシャラにやってる。
いろんな人にお願いしたり、
無理を言ったりして、
「私には無理だわ〜」
と言われたことは一度や二度ではない。
でもさ、私で出来ることなら
やらない後悔よりとりあえずやってみたい。
可能性がゼロじゃないなら、と無謀と思われることもいっぱい突っ込んできた。
だって、そもそもそのままでいたら廃れると思われているんだもの。
何もやらなかったら変えなかったら、無くなるんだもの。
今、はじめて、伊勢根付の未来について
みんなで考えはじめている。
今じゃなく、未来のことを。
今しかない未来に繋ぐためのこのタイミングを、
このチャンスを、
みすみす逃すわけにはいかない。
繋いでもらったバトンを、
ちゃんと未来へ繋ぐために。
今の職人も、未来の職人も、報われる未来をつくるために。
日々、嬉しさと悔しさと不安と
そんな思いが波のようにやってくるけれど、
3歩進んでは2歩下がっても、
ちゃんと進んでいる一歩を喜んで
未来へ繋げていきたいんだ。
助けてほしい。


画像は、 Dragan Radivojev さんが編集して
もう10年にも渡って毎日のように
今も定期的に送ってくれている画像。
いつもありがとう。
お会いしたことはないけれど、元気をもらっています。