自分の都合のよい日程というだけでとった日が、気がつけば一部は初日、三部は千秋楽だった。加えて初日はよく考えてみると、海老蔵夫人 麻央さんの梨園の妻としてのデビュー日だったのである。そういえば、劇場前にも中にもカメラがスタンバイしていた。
ぼけっとしている私はそんなことろくに考えもせず出かけていったのだが、演舞場のトイレからロビーに差し掛かったところで、取り巻く異常な熱気に、初めて麻央さんが登場したことに気づいた。もー、すごい至近距離に麻央さんが!
しかしそのお着物には、正直驚かされた。だって、あまりにも真っ青!
梨園の夫人が劇場でご挨拶に立つときの着物といえば、目立たないけれど、ものすごーくモノのよさそうなものが多い。「出過ぎない」ということが梨園の妻のスタンスなのだろうと思う。ところが、麻央さんの着物はそんな先入観をひっくり返す華やかな色だったのだ。
<産経スポーツから。実際はもう少し濃い青に見えました>
お義母様のお見立てというので、あえて彼女のすらっとした華やかさを生かすためにあのカラーを選んだのだろう。「出すぎず」を求められる梨園の妻からの、ささやかな自己主張と受け取るのはうがちすぎか。
この日の舞台は、「義経千本桜」で、海老蔵のロンドン・ローマの凱旋公演と銘打たれている。市川猿之助丈に頼み込んで、千本桜のスーパー歌舞伎バージョンを教えてもらったのだ。(余談ながら、そのおかげで猿之助の後継者と目される甥っ子の亀治郎と海老蔵は、仲たがいをしたとも言われている。何かと対立する両家ですねえ)
私はこの演目、特に「川連法眼館」が大好き。家族愛に恵まれなかった義経の悲劇が際立ち、かつ、彼の源九郎狐への対応から、なぜ多くの人に慕われるのかが納得いく場なのである。(それまでは、なぜ彼をそこまで慕う人が多いのか、正直言ってよくわからない描かれ方だと思う)
オーソドックスな歌舞伎でも仕掛け一杯であるのに、それを上回るけれん味を帯びたスーパー歌舞伎版なら面白くないわけがない。しかもラッキーなことに花道すぐ脇の席だ。手の届くような距離で仕掛けが見られる!
初めて源九郎狐を演じたときには、狐を模した声色や口調に、客席から笑いが出たのだけれど、今回はそんなことはなく、すっかり役を自分のものにした様子がうかがえる。
ところでこの演目、中村勘三郎丈も得意としていて、海老蔵は最初、勘三郎丈に習ったのではなかったかしら?勘三郎バージョンと猿之助バージョンをミックスして、自分のスタイルにチャレンジしているのだろうか?それとも私の記憶違いか?市川宗家の芸ではないこの演目、海老蔵が自分のスタイルを確立するのか、それともスーパー歌舞伎版や中村家版が残るのか?楽しみになってきた。古い演目であっても、伝統芸能の形を残すだけでなく、ぜひ役者同士で競い合って、新しいものを生み出してほしい。
<私は珍しく付け下げで鑑賞。初日だからとか一等席だからというわけでなく、単に結婚式で一度着ただけで洗いに出すのが悔しかったから着用>
<ついでに、その前の週には、「海老蔵結婚祝い」ということで海老柄帯を着用>
付け下げ着て行かれたんですね、素敵!梨園の奥様に間違えられませんでした?
ロビーに立っていたら、私のそばにいたのがどこぞの役者さんの奥様らしく(たぶん私よりちょっと年上ぐらい)、勘三郎夫人がご挨拶に。
気のせいか、すぐ横に立っている私をそれとなく、しかしじいっと見つめていらした気が…。あれ、もしかしたら「どこかの役者の奥さんか…?」と見極められていたのかも(笑)。「いつもお世話になっております」なんて挨拶しておきゃよかったかしら?
市川宗家の嫁は他家には想像もつかないプレッシャーがあると聞きますが、彼女なら裏方としてキチンと海老蔵さんを支えて行けそうですね。帰りは海老蔵さんが母親と妻を乗せて運転して帰っていました。ほとんど出ずっぱりで疲れているでしょうに…
外野席が煩くてもこの家族愛があれば大丈夫な気がします。
成田家の仲の良さは素晴らしいですね。当代團十郎のお人柄によるところ大だと思います。
そう言えば!とお邪魔しにきました m(__)m
初日にいらっしゃったんですねえ。
おぉ、三部は楽日ですか (@_@)
じつはワタシも三部は楽に参ります。
お着物姿の方をキョロ×2して探す事でしょう(笑)
ワタシの所は、絵美さんのトコからもリンクできますが
一応 ↑(笑)。気が向いたらどうぞ (^-^;
こんにちは。竹蔵龍姐さん、ちょっと前はダウンされていたようですが、お元気でした?
楽日はお会いできると嬉しいです。私はたぶん、海老柄の黒の小紋を着ていきます。勘太郎丈の評判がいいので今から気分が盛り上がっています。
実は、やっぴーさんのことは、着物一年生の頃、いろいろと人様のブログで勉強させていただいた頃に存じあげていました。今後もよろしくお願いします。
夏はやっぱり柔らかものより堅い系着物をつい着ちゃいますよね。肌に布がつかないようにと思って。
ただ、鮮やかな色の着物をやわらかい素材で着てみると、素材感が色のきつさを和らげてくれて、ほどよいしっとりしたすずやかさを演出してくれるものだなと、麻央さんのお着物を見て思った次第です。夏も、もっとやわらかものに挑戦したいなー。
いただいたコメントは以下でした↓
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着物の青
こんにちは! うちは何故かスポーツ新聞をとっていて、この日の夫人の着物もばっちりアップで載
っていたのですが、紙質のせいかあまり鮮やかに見えなかったんです(きれい色なのはよくわかりま
したが)。でも、こちらの写真よりももっとビビッドなんて、さぞ実物は目立ったことでしょうね。
。。
はつきさんの夏のフォーマル、いいですねー。私はこの夏まだ一度も、柔らか物を着ていなくて…清
々しさに憧れます。
今のも飽きたらそのうち消すかもです
竹姐さんは、はつきさんがきもの市でお会いした通り
もう8~9割方大丈夫になりましたよ。
歴代の海老蔵のお連れさんの中で ピカ一で御似合いのカップルやと思います。
佳い人をお選びになりはったわぁ~
はつきchanの云う 『
常識をわきまえたしっかりしたお嬢さんなのだけれど、どこか飄々と浮き世離れしたところがある。それは梨園のような難しい世界でやっていく上では強さに繋がる』 は、私も 同感です。
ずっと見守って行ってあげたくなる カップルやね。
はつきchanの着付けも、力(りき)入っていて、goodです o(^-^)o