汗と涙の着物生活 

突如着物に目覚め、ついに着物作成に挑戦。着付けに涙し、とどまらぬ物欲に冷や汗の毎日。

芸術祭十月大歌舞伎@歌舞伎座

2013-10-27 | 歌舞伎
歌舞伎好き&着物好きの面々と待ち合わせて楽しみにしていた観劇日は、残念ながら雨。
歌舞伎座開場もそうだったけど、なぜかこのメンバーが集まると、雨の確率が高い。



というわけで、趣向を凝らすこともなく、いつもの(?)ポリの小紋に雨ゴートをひっかけて出かける。
…実は、私はこの日の観劇直前まで衣替えができておらず、当日になって必死で袷の着物を出してきた始末。
趣向も何もあったものじゃない(汗)。それでも、さすがに大好きな「義経千本桜」だし…と、かろうじて桜色の帯に、鼓の形の帯留めをつけた。


仁左衛門丈はじめ、松嶋屋さんが登場する舞台なので、紋にちなんで銀杏の形の簪もつけて。
(見にくい写真ですみません)


仁左衛門丈の「いがみの権太」は初めて見たのだが、この日の「すし屋」は驚きと感動の連続だった。
丈は「いがみの権太」を演じるにあたって、文楽にもあたって、脚本を大幅に書き直したそうだ。
これまで見たものでは、権太の妻の小せんが若葉の内侍の身代わりになるのは、小せんが引っ込むまで、観客にもわからないようにしており、最後に「実は」と種明かしをされる話だった記憶がある。

仁左衛門型(と、あえて言わせていただく)では、小せんが若葉の内侍の格好で、縄をかけられて追っ手に連れて舞台に出てきたところから、「あれは小せんが身代わり
だ」と観客にもわかり、権太との目配せなどで、別れの悲しみに耐えていることが伝わって形だった。
その前段で、仁左衛門丈の権太は、強請をするような人間でありながら、子煩悩で妻に惚れていて、感動された親には甘えたくてたまらない、愛嬌たっぷりな人物に造形されている。それだけに、主君のために身代わりとなっていく妻子とその悲しみに耐える権太の姿に、観客は泪を誘われてしまうのだ。
しかも、その権太の思いは実を結ばない…。

あえて家族の情愛を前面に出した演出は、下手をするとあざとくなってしまいそうだが、それをぎりぎりのところで観客に納得させてしまうのが仁左衛門丈の力量。
すごすぎる…
今月の舞台でも、あきらかにかばっていた右腕の治療のため、しばらく舞台でお目にかかれないというが、また驚きの舞台を見せてくださるのを楽しみにしています!

仁左衛門丈もすばらしかったのだが、意外だったんのは梅枝丈の小金吾。
こんなに若武者役が似合うのか~。また楽しみな若手が増えたねえ…。

そして最後の「川連法眼館」は、菊五郎丈の源九郎狐を楽しむ。
さすがに落としのせいか、はたまた貫録を増したお体のせいか、「子ぎつね」というには苦しい身のこなしだった。
でも、この人独特の愛嬌で、狐のかわいらしさ、親を思う悲しさがジワリと伝わっていたのはさすが。

静御前の時蔵丈も印象的。
この人、そんなにお色気を前面に出す印象はなかったのだが、昼の部で息子の梅枝丈が演じた静御前と比べると、さすがの大人の魅力。
濃厚な静御前であらせられました。

その後、銀座の海鮮居酒屋に歌舞伎仲間と流れ、深夜まで歌舞伎談義。
楽しいよるとなりました。

余談ながら、この舞台の源九郎狐の衣装を見て、初めて「源氏車のアイテムも、この演目に使えるじゃん」と気が付いたよ。
それから、源氏車グッズが目について目について…どこまで続く、この物欲。

------------------------------------------------------------------------------------

通し狂言 義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)



四幕目 木の実
    小金吾討死

   
いがみの権太 仁左衛門
若葉の内侍 東 蔵
主馬小金吾 梅 枝
猪熊大之進 市 蔵
鮓屋弥左衛門 歌 六
小せん 秀太郎

五幕目 すし屋

   
いがみの権太 仁左衛門
小せん 秀太郎
弥助実は三位中将維盛 時 蔵
お里 孝太郎
お米 竹三郎
鮓屋弥左衛門 歌 六
若葉の内侍 東 蔵
梶原平三景時 我 當


大 詰 川連法眼館

   
佐藤忠信/忠信実は源九郎狐 菊五郎
静御前 時 蔵
駿河次郎 團 蔵
亀井六郎 権十郎
飛鳥 秀 調
川連法眼 彦三郎
源義経 梅 玉


以上

最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (のの吉)
2013-10-27 23:49:28
帯留め素敵!帯も素敵!
で、尼ゴートになってますよ、奥様。
返信する
あま違い (はつき)
2013-10-28 00:34:12
>尼ゴートになってますよ

ひいぃ!
謹んで訂正の上、尼になって寺にこもります!
返信する
Unknown (神奈川絵美)
2013-11-03 22:51:09
こんにちは!
鼓の帯留め、この演目に最強アイテムではないですか!
こんな洒落たデザインの帯留めがあるのね~としばし、
見とれてしまいました。

私は、夜の部を見なかったので、
残念ながらニザさまの権太もこうしてみなさんのブログを
拝読し、想像をめぐらせるにとどまるのですが、
菊五郎さんの狐は昼も出演したので、
あの愛嬌やそこはかとない色っぽさ(笑)わかります。
返信する
絵美さん、ありがとうございます (asochan0930)
2013-11-04 05:16:20
絵美さん
帯留、お褒めいただき恐縮です。
これ、ネットオークションですごーくお安く購入したものですが、お気に入りです(^-^)。
もともと帯締めの紐が固定されていたのですが、汚かったので取り除いて使ってます。しかし二部紐しか通らず…使いにくくて普段はあまり登板しないので、今回、日の目を浴びせることができてよかったです。

仁左衛門丈、右手をかばっていらっしゃるのがお辛そうでしたが、それを気にさせなくする熱演でした。休演で、しっかり回復していただきたいです。菊パパは、今月もお元気でした!
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。