「ないわ」彼女は答えた。「他の奴隷がどんなものなのか話してくれたことはあったけれど。マーゴ人たちは野外作業に女を使わないのよ。だからあたしは奴隷の檻から外へは一歩も出たことがなかったわ。あたしたちはいつも闇の中で暮らしていたのよ」
「ひどい話だな」ガリオンはったDPM價錢。
タイバは肩をすくめた。「別に暗闇はそれほど気にならなかったわ。むしろあたしたちが恐れたのは光の方だった。光がさすのは、マーゴ人がたいまつをかざして寺院に捧げるいけにえを連れだしにくるときと決まっていたからよ」
道は再び大きく折れ、かれらはまばゆい朝の光から影の中に入った。「ありがとう」タイバはそう言いながら目隠しをはずして男にさしだした。
「返さなくともいい」レルグは言った。「おっつけまた必要になるだろうから」そう語るかれの声は驚くほどやわらぎ、目には不思議な優しささえ浮かんでいた。だが彼女の顔を見たとたん、再びあの悩ましげな表情が戻ってきた。
ラク?クトルを脱出してからというもの、ガリオンはずっとこの二人をひそかに見守続けてきた。レルグがいかに努力しても、かれがあの生ける墳墓より救い出すことを余儀なくされたマラグ人の女から、目を引きはがすことができないでいるのもわかっていた。レルグは依然として声高に罪を糾弾し続けていたが、その声に前ほどの断固とした説得力がないのにも気づいていた。それどころかしばしばうわっつらだけの儀式の繰り返しとしか思えないときすらあった。バの大きな紫色の瞳がウルゴ人の方を見るたびに、しばしばとぎれるのである。一方タイバの方では、すっかり困惑しきっているようすだった。彼女は心からの感謝の意を頭ごなしに拒絶されたことで誇りを傷つけられ、激しい憤りを感じていた。だが男の熱烈な視線は、唇をついて出る罵りの言葉とはまったく別のものを語りかけていた。彼女はレルグの視線に答えるべきなのか、その言葉に答えるべきなのかすっかり戸惑っていた。
「それではおまえはこれまでの半生をずっと暗闇の中で過ごしてきたというのか」レルグが興味ありげにたずねた。
「ええ、ほとんどはね」彼女は答えた。「あたしが母の顔を見たのは後にも先にもただ一度――マーゴ人がやってきて母を寺院へ引っぱっていったときだけだったわ。あたしはそれ以来まったくの一人ぼっち。孤独って恐ろしいわね。真っ暗闇のなかを一人ぼっちで過ごすなんておよそ耐えられなかったわ」
「母親から引き離されたときはいくつだったんだ願景村」
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