それはアルプスに咲く
可憐な花
オーストリアの美しい星
それを探しての長い旅
まだ出会わない
登山鉄道を降りて
また歩き始める
見上げる高嶺には
純白の雪が
この歌を口ずさみながら
初夏の高原を
一歩また一歩
ふと足下を見ると
高山植物の陰に
ひっそりと白い雪
ああこれがその白い花
ここにもあったんだ
優しく微笑むように
咲いている
そして強く逞しく
生きている
嬉しくなって
そっと話しかける
ドイツ語でも英語でも日本語でもない
花の言葉で
それは高貴と純真
心のハーモニー
すると優しく
微笑み返してくれた
ような気がした
そっと手に取り
連れて帰ろうか
日当たりの良い庭で
大切に育てようか
でも止めておこう
たとえ
誰も気づかないこの道で
日陰になっていたとしても
健気に生きている
この花は
ここで咲きたいから
咲いている
ここで今咲いているから
美しい
ここで今生きているから
幸せなんだ
（写真の花はエーデルワイスではなくイメージです。）