静かな冬の夜
どこからともなく
天使の詩が
外は一面の雪
しんしんと
遠くの空に
大輪の花が
散ってはまた咲く
一つまた一つ
それは夢の花
百八つの贈り物
あなたにも見えますように
夢の花が
響きますように
あなたの美しい心に
最後の一つは
ほら
新しい一日の始まり
それは最初の贈り物
天使からの
夢の贈り物
それは小さなキャンドル
火を点すと
優しい炎で
懐かしい香りで
満たされていく
それは不思議なキャンドル
その香りに誘われて
忘れかけていた記憶が
一枚一枚甦る
古いアルバムをめくるように
子供の頃の
故郷の山が
のどかな田園風景が
小学校の木造校舎が
遊んでいる友達の姿が
私を呼ぶ友達の声が
いつの間にか戻っている
あの時の自分に
それは不思議なキャンドル
いつまでも眺めていると
心も温かくなって
幸せな気分になってくる
それは小さなキャンドル
でもそれは幸せのキャンドル
あなたの心にも
点っているように
心のキャンドルが
あなたの心が
美しく輝くように
いつまでも
私の朝は早い
ここは横川
点検そして給炭給水
石炭が真っ赤に燃え
蒸気が熱く
ポー
ここは横軽線
軽井沢まで約１１キロ
標高差約５００メートル
最大勾配約３．８度
この急峻な碓氷峠を越えるには
蒸気機関車の三重連
三両のＤ５１なら頼もしい
ポー
もうすぐ出発の時間
あさま号は今日も満席
あなたを乗せて
あなたの夢を乗せて
あなたの心に響くように
ポー
めがね橋を越え
長いトンネルをいくつも抜け
峠を越える
浅間山が見えたら
もうすぐ軽井沢駅
ポー
私はいつも三番手
でもそれが誇り
それはあなたの乗る
客車と直接つながっているから
心もつながっているから
私は夢の機関車
夢の横軽鉄道三重連
さあ出発進行
ポー
次の停車駅は未来
今日も井戸掘り
掘った井戸は数知れず
機械は使わない
昔ながらの手掘り職人
毎日少しずつ掘り下げて
必ず見つかると信じながら
清く美しい泉が
湧き上がる日を夢見ながら
今日も井戸掘り
もうすぐ湧き上がるのだから
さあこの手押しポンプで
あなたの美しい心から
あなたの美しい言葉が
あなたの夢が
あなたの希望が
湧き上がる
それはあなたが
ポンプを押したから
私は井戸掘り
夢の井戸掘り
裏通りのビルの２階
エレベーターもない
階段からどうぞ
扉を開けると
そこは明るい空間
古いカウンターに
木のイス
ＢＧＭとともに
時間も静かに流れていく
お望みのカクテルをどうぞ
おすすめは「夢」
勇気・希望・愛
ひとしずくの
天使の涙
これを優しくシェークして
さあどうぞ
一口で幸せな気分になれる
これは不思議なカクテル
壁のマティスやゴッホが
静かに話しかけてくる
あなただけの静かな時間
あなたのための贅沢な時間
こちらからは話しかけない
あなたの時間を大切にしたいから
あなたの心を大切にしたいから
ここは夢の空間
私は夢のバーテンダー