投資家の目線

投資家の目線503(ロシアの金購入)

 「各国の中銀、5年連続で金買い越し、昨年477トン、ロシアが大幅増。」(2015/2/13 日本経済新聞朝刊)によれば、昨年、ロシアは金を173トン購入したという。購入量は世界各国の中で最大かつ圧涛Iだったようだ。原油安でロシア経済が大変悪化しているといわれていたが、これだけ金をもっていればなかなかしぶとそうだ。ウクライナ停戦は欧州側にとっても賢明な選択だと思う。一方、同記事は経済状況が悪化したウクライナが金を約20トン売却し現金化したことも伝えている。ウクライナ危機はキエフ政府側にとって分が悪いのではないかと思う。


 なお、フォーリン・アフェアーズ リポート日本語版2015年2月号「サウジの石油戦略シフトとそのリスク―― 原油低価格戦略にリヤドは耐えられるのか」によれば、「原油価格が1バレル55ドル前後で推移すれば、2015年のサウジの歳入から890億ドルが消し飛ぶ。予算の50%に達している社会保障給付や公務員のサラリーが削減されるのは避けられず、これが予期せぬ事態を引き起こす恐れもある」という。エマニュエル・トッド著「アラブ革命はなぜ起きたか」(藤原書店 石崎晴己訳・解説)では、「石油収入の国では、国家は歳入を住民に依存していません。つまり金は税金として上がって来るのではないのです。ところが革命というのは大部分が納税拒否から始まるのです。(中略)石油収入の国では、金は人々の頭上を越えてやって来るので、住民とは無関係に、兵器でも傭兵でも何でも好きなものを好きなだけ買うことができます。そして全く住民の手の届かない抑圧機関を編成することができます」と述べられている。石油収入の減少は、所得や社会保障の低下で住民の不満を高めると同時に、抑圧機関を弱体化させる。原油安の長期化は国際情勢の不安定化につながる恐れがある。

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・先週の円安を要因とする値上げ発表等記事
菓子メーカーのオハヨー乳業(岡山市)は3月出荷分からアイスクリームを値上げする。2008年以来7年ぶり。(2015/2/10 日本経済新聞 地方経済面 中国)

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