投資家の目線

投資家の目線991(株価指数のボラティリティが上昇した先週)

 先週、日本の株価が大きく変動した。8月5日月曜日、TOPIXは前営業日の2,537.60ポイントから2,227.15ポイントへ12.2%(最安値の2,206.73に対しては13.0%)下落した。1987年10月のブラックマンデー(日本は翌火曜日)のマイナス14.6%(「日本株は崩落、ブラックマンデーの下落率-信用危機と景気、円高恐怖」 2008/10/8 Bloomberg)よりは小さいが、大きな下げだ。その前営業日の8月2日も前日1日の2,703.69ポイントから2,537.60ポイントと6.1%もの大きな下落になっている。なお、週末の8月9日金曜日の終値は2,483.30ポイントと5日の終値から11.5%戻して終わっている。

 

 不動産関連投資のアドバイザリー業務を行うEminence Partners代表の木下泰氏によれば、外資系ファンドの日本の不動産投資は減少し、特に欧米系の不動産投資ファンドは資金を引き揚げているそうだ(「〈空室率はサンフランシスコ30%、マンハッタン25%!〉火の車になった欧米投資ファンドが日本の不動産から撤退している」 2024/8/9 文春オンライン)。「米政府系住宅金融機関(GSE)の連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)は、商業用不動産向けに融資を提供する貸し手と仲介業者に対して、より厳格な規則を課す準備を進めている。巨大な商業用不動産市場における不正行為を巡り、規制当局は取り締まりの強化に動いている」(「ファニーメイとフレディマック、商業不動産の融資規制を強化へ」 2024/8/6 ダウ・ジョーンズ配信)、米連邦準備理事会の発表した2024年4~6月期の調査によれば米銀の2割強が商業用不動産向け融資の審査基準を一段と厳格化した(『不動産向け融資、米銀の2割強が「厳格化」 FRB調査』 2024/8/6 日本経済新聞電子版)など、米国で商業用不動産融資の厳しくなっているせいもあるのだろう。ドイツ銀行や米銀のNYCBは米商業用不動産向けローンの貸倒引当金を積み増している(「米オフィス向けローンの痛みは始まったばかり-悪いニュース相次ぐ」 2024/7/28 Bloomberg)。商業用不動産用融資への引き締めが日本の不動産市場からの引き揚げの原因だろう。さらに米国企業の連邦破産法11条の適用申請件数は2020年並みの水準まで増えている(「【市場の声】米企業の破産申請件数、2020年並みに迫る」 2024/8/9 ダウ・ジョーンズ配信)。米国経済の問題は商業用不動産だけではない。

 

 ニュージーランドでも週ベースで1.7%安と比較的大きく下げている(「【市場の声】NZ株は続落、週間では昨年10月以来の大幅な下げ」 2024/8/9 ダウ・ジョーンズ配信)。株価下落は日本だけの問題ではない。一方、ロシア連邦統計局発表によれば2024年4~6月期のGDPが4%増など経済の好調なロシアは(「ロシアGDP4%増 4〜6月、軍需や小売りけん引」 2024/8/10 日本経済新聞電子版)、プーチン大統領が暗号通貨マイニングを合法化する法律に署名した(2024/8/8 BRICS News on X: "JUST IN: 🇷🇺 President Putin signs law legalizing cryptocurrency mining in Russia. https://t.co/GqpcmFTqDR" / X)。BRICS加盟国間の貿易決済に使用するのではないだろうか?不安定化する西側経済の悪影響に対する防衛手段となるだろう。

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