当院の御本尊は 木造十一面観音菩薩立像 鎌倉後期~末(町指定文化財)
ヒノキ材、一木割矧造で截金。玉眼。像高 58,7㎝
御本尊の十一面観音菩薩は、50年に1度のみ開扉される秘仏である。
左手に華瓶を執り、右手は垂下させる通形の十一面観音立像。表面に彩色や金箔押しを行わず、素地に截金文様を施す檀像風の作例。
檀像とは、狭義にはビャクダンを材とする像をいうが、日本では奈良時代後期から平安時代前期にかけて、像のほぼ大半をカヤの一材から彫成する代用檀像が流行した。
その後、平安時代後期になって、幹部を複数材で造る寄木造や、もともと一材だがいったん割り放して内刳の後、再度矧ぎ合わせる一木割矧造が盛行するようになって以降、像表面に彩色や漆箔を施さず素地仕上げとする
(ときに截金文様を施す)点は同等ながら、時代を反映して寄木造や一木割矧造による檀像風の作例が生み出された。
本像もそのような作例のひとつとして位置づけられる。
引き締まった面相、腰を捻った身の構えも自然で、過不足ない着衣の襞(衣文)の彫法も賞される。
当初の頭上面の表情にも生彩が感じられる。
総じて鎌倉時代後期~末の作風が顕著と見える。
秘仏の為、掲載は御本尊の模写である。
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