Der König Hat Eselsohren

山口晃 襖絵奉納記念特別公開 重要文化財養林庵書院



早起きして平等院の開門時間には間に合うように行くぞ!!と思っていたのに、起きてみたら8時だった…orz
いくら前日の朝がかなり早起きで、恐ろしく寝不足だったからといって、こういう肝心要のときに限って、普段では考えられないような寝坊をしなくても…f(^_^;
でも、せっかく全日空ホテルに朝食付きで泊まっているのに、食べないのはもったいないので、9時35分の京都駅行きシャトルバスに乗ることを念頭に置きつつ、食事&出発の用意。
幸い、シャトルバスを降りた目の前に、空いているコインロッカーも見つかり、無事、10時ちょっと過ぎのみやこ路快速で宇治へ。
30分もかからずに宇治に到着。

しかし、宇治駅にはかなりの人出があってびびる。
鳳凰堂が見られないというのに、こんなに人がいるなんて!!
やはり出遅れたか?!

と、思いきや、どうやら宇治のスタンプラリーというのをやっているらしく、平等院の前までは結構な人がいるものの、鳳凰堂は見られないと知って帰っていく人多数(笑)
入場券を買う人も、たまたま前に並んでいた人は「養林庵書院」といっていたけれど、それ以外は特にそういうわけでもない人が多いようで…。

実際、養林庵書院に向かう人は少なく、もしかして入るのに行列してるのでは?!なんて心配も無駄に終わる(笑)
ま、そりゃそうだな。
ホテルのコンシェルジュですら、養林庵書院の公開のことは知らなかったくらいなんだからf(^_^;

というわけで、入り口で靴を脱いで上がり、宇治橋に使われていた木で造られた廊下を上がっていくと、そこが襖絵のある脇の間。

おぉ~!!これが!!
撮影不可なのが残念だ。

入って右手が、昨日、展覧会にも下図が出ていた汽車の絵。
正面は、八条側から北を望む京都の町。
左手はトークショーでも言及があったとおり、南無阿弥陀仏。
墨一色の世界。

入り口から奥へ向かってみていくと、まず一番手前に、黒々と太い線で橋の欄干らしきものが描かれ、その向こうに、汽車が走っている。
実にメカメカしい(笑)

3両ほどの客車が連結され、客車の中にはあの世へと向かう人々。
線路からずっと下の方に描かれた道には、歩いてあの世へ向かう人々。
機関車に燃料をくべる、釜の蓋の辺りに作業着姿で働く人たちがいて、その後ろには燃料=棺桶が…(笑)
棺桶が釜にくべられ、それが燃えて出た煙が機関車の煙突からもうもうと吐き出されている。

そりゃもう、真っ白な煙が。

この煙の白さがとても印象的で、最初、胡粉を塗ってあるのではないかと思ったけれど、よく見ると塗っていないような…でも輝くばかりに白い。

紙がダメになってしまうので、下書きは消してない、という話だったのだが、確かによくよく見てみると、ところどころ、うっすらと下書きが見える。
でも、こう、墨の濃淡がとても心地よい。

京都の町は、そもそもが古い建物が残っているところが多いせいか、遠景は、今の京都とあまり変わらないかも?という印象。
右手手前には、清水寺や何かから始まって、三十三間堂とか、奥まった辺りには平安神宮、さらに立命館まで。
御所や二条城を経て、左手奥には太秦辺りも描かれている。

とはいえ、やはり楽しいのは、京都駅周辺。

本物もこんな外見だったらいいのに、と思わせる京都タワー。
実際、この絵のとおりに改装した方がいい(笑)

駅ビルは内部が描かれていて、劇場があったり、寝ている人がいたり(=ホテル・グランヴィア)、買い物している人がいたり(=伊勢丹)。
「駅ビル図」なんてタイトルで、改めて大きく描いてもらいたいくらいだ。

駅ビルの手前に線路が通っていて、「宇治行き」と書いてある。
線路には汽車が停まっていて、それに乗ろうとしているらしき人々や、汽車を眺めおろしているらしき人の姿も。

左端の襖にはどどん!と操車場。
あぁ、メカごころ…(笑)

画面下ギリギリには、八条あたりの建物も描き込まれている。
それも、エルイン京都とか(笑)

とても楽しい♪
いくら見ていても飽きない。
しかも同時に見ているのはホンの2~3人と、とても余裕があるし、下の方を見るときには畳に座ってしまえるので、じっくりと見られる。
実際、みんな、畳の上をずりずりと移動しながら鑑賞…。
なんかこう、滅多にない感じ。

ひとしきり来迎図を堪能したところで、重文になっている書院の方へ。

実に楚々とした部屋に、今度はいかにも狩野派!!というダイナミックな絵があり、その向こうにご本尊が祀られている。
さらにその隣は茶室になっていて、奥に置かれた茶釜には「太閤秀吉御愛用」の文字が…Σ( ̄□ ̄;)
質素なフリして結構なてんこ盛り。
日頃は非公開なのがもったいない。

縁側に出ると、こじんまりとしたお庭がまた風情があって、いかにも京都だなぁ、と。
塀の向こうには鳳翔館が見える。
そっちからは結構人の声が響いてくる。

書院をじっくりと見たところで、再び脇の間に戻り、もう一度来迎図を鑑賞。
だって、この次これを見られるのは、いったいいつのことか。
もしかしたら、もう観る機会がないかも知れないんだよ?
どこかに図版が載るにしても、これだけ細かいところまで、じっくりと観られる機会は、そうそうあるもんじゃない。
しかもこの墨の感じ。図版で再現するのは難しかろう。

他のお客さんが、係の人に頼んで、南無阿弥陀仏の襖を閉じて見せてもらっていると、そこへ…。

なんと画伯登場!!Σ( ̄□ ̄;)
思わず、「あ、画伯!!ラッキー♪」とつぶやいてしまった(笑)

いつもながらに遠慮がちで腰の低い画伯。
入り口近くの隅っこに正座(笑)
自然と、襖を見せてもらっていた2人組の女性達と一緒に、画伯の話を聞くことに。
なんと贅沢な…\(^O^)/

2人組の方は、昨日のトークショーは聞いてないものの、既に個展は見ていて、しかもここへ入ってくるところで既に画伯とすれ違って、カレンダーにサインしてもらったとのこと(笑)
あぁぁぁぁぁ!
またサインしてもらうようなモノ、全く持ってきていない!!
それこそ「ヘンな日本美術史」を持ってくるべきだった~!!(ノД`)

5月に画伯から、11月に京都で個展、と聞いてずっとチェックしていたので、今回来ることができました、7月の太宰府の講演会も行きましたよ、福岡に住んでて近いので…、とお礼のつもりで言ったら、2人組にビックリされてしまった。
そんなところから来てるんですか!!とf(^_^;

ついでに、今回の個展にも出ていた「TOKIO山水図」はまだ未完成ですよね?という話になり、個展に出したときよりも手を入れていて、あともう少し手を入れるつもりではいるけれど、全部を描き尽くすつもりはありません、と。
なので、5月の最終日にも見ているのだけれど、どこが描き足されたのかわからない、という点を訊いてみると、あの最終日からは手を入れていないとのこと。
じゃあ、今回、銀座でよりもぐっと締まった感じに見えたのは、照明の具合かも知れませんね、ということに。
自然光の中に置かれていたメゾン・エルメスに比べて、今回はちょっと暗い中に置かれてたんで。


「襖の右端の橋はどこの橋?」という質問に、「瀬田の唐橋のつもりで描いたんですが…そこの廊下の木、あとから確認したら宇治橋の木でしたf(^_^;」

そして、誰が見ても「そう来たか!!」な、汽車の燃料が棺桶!という話を改めて。
つーか、昨日も「棺桶だ」とは明確に言ってなかったけれど、遺体だろうとは臭わせてたので…(笑)
煙のところは描かずに残してあるのか、胡粉を塗っているのか、訊いてみると、やはり白く残してあるとのこと。
塗らずに元の紙で白さを表現することで、このべったりとした白にしたかったそう。

京都の町の風景についても、あーだこーだと質疑応答(笑)

で。

なんと!

南無阿弥陀仏の裏側(表側?)の方も、襖絵を描くことになったそうな♪
完成はおそらく3年後くらい。
すげー。ついに重文の方に進出だ(笑)

「じゃ、その時にはまた、ここが公開になって、この襖を見られますね!!」


襖に囲まれながら、2人組の方々と、画伯の作品って、見ていて楽しいですよね~、ほんわかしますよね~、と褒めちぎる(笑)
2人組の片方(自称大阪のおばちゃんというが、とても素敵な方)は、毎晩、寝る前に作品集をルーペで眺めて楽しむのが日課、とおっしゃる。
すごい日課だな!
で、南海電鉄から依頼されたか何かで、関空なんかも描かれている作品が…とおっしゃるのだが。
「記憶にないなぁ。他の方の絵じゃないんですか?」
「いえいえ、作品集にも載ってます」
「大阪市電のじゃなくて?」
う~ん、今回展示されていた大阪市電図以外に、大阪を描いた作品ってあったっけ?
ということで画伯含め、皆揃って、帰ってから確認することに(笑)


と、そこへ、唐橋の向こうから襖をノックする音がして、「よろしいですか」と声が。


襖が開いてご住職が入っていらっしゃった。
「皆さん、良かったですねぇ、お会いになれて」
こちらこそ、ありがとうございます。

そろそろお時間ですよ、とご住職は画伯を呼びに来たのでした。
係員の椅子のそばに置かれていたのは、画伯の荷物でした(笑)
ということで帰って行った画伯…。

まさか今日ここで会うとは思わなかったので、マジ、超ラッキーです♪
それこそ、数多いる一般ファンの1人に過ぎないのに、度々画伯と直に話す機会があるって、どういうこっちゃ?(笑)
でも今日は特に運がいい。

係員の方も、「皆さんいらしたときに席を外されてたんで、早く戻っていらっしゃらないかと思ってたんですよ」と。

もう一度、一通り襖を眺めた上で、「じゃ、そろそろ私も」とお暇することに。
2人組とも、
「またどこかでお会いしましょう!」
「えぇ、きっとお会いすることになると思います、3年後とか(笑)」

3年後、ちゃんと新たな襖絵が描きあがるといいなぁ(笑)




あ、もちろん、画伯お勧めの修復中鳳凰堂も、しっかり見て帰りましたよ♪


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