Der König Hat Eselsohren

特別展 長谷川等伯@東京国立博物館



京博で狩野永徳展をやったときに、出口のところに既に予告されてたんだよね。
確か、2年後の約束、だったかな?
その時から絶対に行こうとは思っていたけれど、日程を見て、これは、卒業式前に髪を切りに行くときに合わせていくしかない!と(笑)

なので、土曜の午後に予約が取れたんで、朝一で東博に行って、夜は実家にでも帰って、なんて考えてたら、予約が日曜の午前中に変更になっちゃったんで、こっちへ行くのも急遽、終わり次第午後から、ということに。
しかも、もう飛行機が春休み値段になっているもんで、17時頃までの飛行機に乗らないと運賃がやたら高いという、かなりタイトなスケジュールに。

それでも、天気予報で雪が降るなんて言っているくらい、寒くて天気が悪いんで、うまくすればそんなに混んでないかも…。

実際、行ってみたら、別に入場待ちとかしてないし。



な~んて考えは甘かった!!



中はかなりの大混雑だよ!!

しかも初期の作品は、描き込みが非常に緻密なもんだから、ガラスケースの前はまさに押すな押すなの団子状態。
さらに悲しいことに、何とか最前列まで掻き分けていったところで、既にガラスには転々と脂汚れが…Σ( ̄口 ̄*)

却って汚くてよく見えない!!orz

この事態を避けるには、早朝から並んで入るしかないじゃんか。

これってホント、マナーの問題だよね。

時間もそんなにないことだし、後ろの方から、人の頭越しに見える部分だけを、つらつらと見て歩くことに。
なにしろ、他人の頭より上の部分なら、たとえ遠くても、ガラスは綺麗だしさ(笑)

それにしても、等伯の画業をかなりまんべんなく揃えた感じなので、いかに若い頃から素晴らしい描写力を持っていたかがよくわかる。
この細密さとデッサン力、何となく、初期のレンブラントを思い出しちゃったよ。もちろん、作品の内容も時代も違うけど。


その後、屏風絵なんかが増えてくると、少しは人がばらけてくる。
それでも、ガラスに沢山の人がへばりついているのは、相変わらずなんだけどね。
でも、屏風絵なんて、近くからしか見ないんじゃ、面白さは半減だよ。
と、思って、後ろの方にじっと立って、人と人の間から見える絵を頭の中で繋いでいって、部屋の中に置かれた屏風の全体像を想像してみる。
これが楽しい。

しかも、じっと立っていると、ふっと、瞬間的に、ほぼ全体を見られることがある。

山水画なんかだと、驚くほどの奥行き感。

画面全体に紅葉の枝がうねっていたり、橋が架かっていたりするときの、構図の面白さ。
とんでもなくばかでかい涅槃図なんて、天井の高さが足りないし。

繊細さと豪快さと、両方を兼ね備えていて、ホントに面白い絵師だよなぁ。
こりゃあ、確かに、狩野派が恐れるわけだ。

そんな中でも、やはり目玉は「松林図屏風」。
実は下絵じゃないか、なんて説は、まぁ、置いといて。

これも、間近ではガラスが汚かった上に、あんまり近くで見ちゃうと、ホントに「紙に墨跡」にしか見えないんだけど(笑)、数メートル離れると、ホントに霧に煙った松林。
この、近くで見ようとするとぼんやりしているのに、遠く離れると、すっと焦点が当たる感じは、なんだかモネみたいだ。
300年も前に、印象派を先取り(違)

でもこの、中国の山水画にはない、独特の感じ。
実際に見たことがある訳じゃないのに、これこそ日本の風景だよ、と思ってしまう。

この絵なのか、似た感じの別の絵なのかはわからないけれど、まだ小学校にも入っていないくらいの頃、こんな風景画をテレビで見た記憶が強烈に残っていて、それが日本の風景だ、という意識がある。
別に感動したとか、そういうんじゃなく、むしろ、子供心にはあまりいいイメージじゃなかったんだけど。暗くって。

でも、この静謐さが刷り込まれているからこそ、日本=富士山と桜、みたいな、ぎらぎらしたイメージに違和感があるんだろうなぁ。
寿司屋でトロばっかり食ってるような。
私にはコハダも必要だ。


まぁ、それはともかくとして、屏風絵や襖絵の展示って、もっとどうにかなんないかなぁ。
もちろん、他に誰もいないところで、室内に置かれているのを鑑賞するのがいちばんなんだけど(笑)
そういうわけにもいかないから、絵から3メートルくらい離れたところに頑丈な柵を設置して、その代わりガラスケースをなくしたら、屏風の空気感をもっと感じられるような気がするんだけどなぁ。
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