スウィトナーのブルックナー第4番(2019年12月14日放送)
ブルックナー作曲「交響曲第4番 変ホ長調「ロマンチック」」
(指揮)オットマール・スウィトナー
(管弦楽)NHK交響楽団
(1971年12月06日東京文化会館)
当日の評(「音楽の友」1972年2月号)
結局スウィトナーは、NHK交響楽団12月定期公演のAチクルスとBチクルスで、モーツァルト、シューベルト、ブルックナー、R・シュトラウス、シェーンベルク、それにベルクの作品を指揮したことになる。さらに臨時公演としてハイドンの88番のシンフォニーとベートーヴェンの「第九」を、またチャリティ・コンサートで、ウェーバー、ベートーヴェン、ヴァーグナーの作品を指揮した。
彼がとりあげた作品なり、作曲家なりを書きつらねてみると、そこにすでにひとつの色あいがうかびあがり、それはまた、スウィトナーという指揮者の音楽を暗示しているようだ。そこでは、ドイツの重厚さ、ドイッの執拗さ、ドイツのひたむきさが、支配的だった。つまり、徹底的にドイツ的だった。しかし、古風ではなかった。
最初にきいたのは、シェーンベルクの「五つの小品」だった。 ついでモーツァルトの「ハフナー」をきき、ブルックナーの「ロマンティック」をきいた。音は常に重かった。しかしスウィトナーに指揮されたNHK交響楽団の音は、たとえ重くとも、弾む力を誇り続けた。当然音楽は、陰湿愚鈍からからはるかにへだたったところでなりたっていた。「ロマンティク」の、とりわけスケルツォでのエネルギーの過剰を批判する人がいても不思議はないと思う。しかしそこでの奔流は、着実さを後盾したものであり、いささかなりとも恣意的なものでなかったということは注意する必要がある。しかも、そこで表だった押していく力の強さこそが、シューンベルクでの芳香を可能にしたのではなかったか。
モーツァルトも、重量感ゆたかな音でおしきった。「ハフナー」の音楽は、ついに一度も、優美な身のこなしで「しな」をつくることなく、その本然的な音の力を主張しつづけた.今様なスマートさからは遠かった。しかしそこでなりひびいた音楽は、きき手を、モーツァルトの核心へつれさった。なぜならスウィトナーの演奏は、硬直した精神によるものではなく、自然な感情の流露の結果でしかなかったからだ。その意味でも、スウィトナーという音楽家は、ぼくに、ドイツを感じさせずにはおかなかった。(黒田恭一)
<1971年12月スウィトナー初来日の演奏>
12月13日 第569回定期公演
R,シュトラウス「ドン・キホーテ」(東京文化会館)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/0f/b4901c6f8c1319bbd6b9944d53c7b410.jpg)
12月20日 ベートーヴェン「第九」公演(東京文化会館)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/15/0fe2e2b452c62962c8f5f217c48d416a.jpg)
モーツァルト作曲「交響曲第40番 ト短調 K.550」
(指揮)オットマール・スウィトナー
(管弦楽)NHK交響楽団
(1989年10月31日サントリーホール)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/a4/2c6bf1971c1a37cb242b52b7c5b56e28.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/83/c7ff91db57d1c7d49bacbe1c63064646.jpg)
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/5e/0a69a10b66adc212a45b6deeb263b6ab.jpg)
Vn.Ⅰ堀正文 山口裕之
Vn.Ⅱ堀江悟 村上和邦
Vla.菅沼準二 川崎和憲
Vc.木越洋 三谷広樹
Cb.西田直文 今野京
Fl.小出信也
Ob.北島章 浜道晁
Cl.横川晴児 磯部周平
Fg.岡崎耕治 森田格
Hr.松崎裕 一色隆雄
ブルックナー作曲「交響曲第4番 変ホ長調「ロマンチック」」
(指揮)オットマール・スウィトナー
(管弦楽)NHK交響楽団
(1971年12月06日東京文化会館)
当日の評(「音楽の友」1972年2月号)
結局スウィトナーは、NHK交響楽団12月定期公演のAチクルスとBチクルスで、モーツァルト、シューベルト、ブルックナー、R・シュトラウス、シェーンベルク、それにベルクの作品を指揮したことになる。さらに臨時公演としてハイドンの88番のシンフォニーとベートーヴェンの「第九」を、またチャリティ・コンサートで、ウェーバー、ベートーヴェン、ヴァーグナーの作品を指揮した。
彼がとりあげた作品なり、作曲家なりを書きつらねてみると、そこにすでにひとつの色あいがうかびあがり、それはまた、スウィトナーという指揮者の音楽を暗示しているようだ。そこでは、ドイツの重厚さ、ドイッの執拗さ、ドイツのひたむきさが、支配的だった。つまり、徹底的にドイツ的だった。しかし、古風ではなかった。
最初にきいたのは、シェーンベルクの「五つの小品」だった。 ついでモーツァルトの「ハフナー」をきき、ブルックナーの「ロマンティック」をきいた。音は常に重かった。しかしスウィトナーに指揮されたNHK交響楽団の音は、たとえ重くとも、弾む力を誇り続けた。当然音楽は、陰湿愚鈍からからはるかにへだたったところでなりたっていた。「ロマンティク」の、とりわけスケルツォでのエネルギーの過剰を批判する人がいても不思議はないと思う。しかしそこでの奔流は、着実さを後盾したものであり、いささかなりとも恣意的なものでなかったということは注意する必要がある。しかも、そこで表だった押していく力の強さこそが、シューンベルクでの芳香を可能にしたのではなかったか。
モーツァルトも、重量感ゆたかな音でおしきった。「ハフナー」の音楽は、ついに一度も、優美な身のこなしで「しな」をつくることなく、その本然的な音の力を主張しつづけた.今様なスマートさからは遠かった。しかしそこでなりひびいた音楽は、きき手を、モーツァルトの核心へつれさった。なぜならスウィトナーの演奏は、硬直した精神によるものではなく、自然な感情の流露の結果でしかなかったからだ。その意味でも、スウィトナーという音楽家は、ぼくに、ドイツを感じさせずにはおかなかった。(黒田恭一)
<1971年12月スウィトナー初来日の演奏>
12月13日 第569回定期公演
R,シュトラウス「ドン・キホーテ」(東京文化会館)
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12月20日 ベートーヴェン「第九」公演(東京文化会館)
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モーツァルト作曲「交響曲第40番 ト短調 K.550」
(指揮)オットマール・スウィトナー
(管弦楽)NHK交響楽団
(1989年10月31日サントリーホール)
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Vn.Ⅰ堀正文 山口裕之
Vn.Ⅱ堀江悟 村上和邦
Vla.菅沼準二 川崎和憲
Vc.木越洋 三谷広樹
Cb.西田直文 今野京
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Ob.北島章 浜道晁
Cl.横川晴児 磯部周平
Fg.岡崎耕治 森田格
Hr.松崎裕 一色隆雄
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