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 アクアコンパス3 続編

アクアコンパス3が容量一杯になったので、こちらで続きを開始します。

愚かさに憤り 1

2025-07-30 07:12:43 | 世界

 ここ10年、何かにつけて憤ることが多くなった。
そのネタは世界に、日本に、私の周囲にもある。


私が憤りを感じている事

 

1. 先ず、「人間失格者トランプを大統領にするアメリカの愚かさ」について

a)アメリカ社会は、既に衰退を始め、正常に機能しなくなっている

 現在、トランプの火種になっているエプスタイン疑惑が米国のマスコミやSNSで騒がしい。
これはエプスタインの遺した「少女らへの性的搾取顧客リスト」にトランプの名が記載されているかが、ポイントになる。
この人物は、かつてトランプと非常に親密な関係にあったが、2019年、独房で不審な死を遂げている。
この時期は、トランプの第一期目の只中にあった。
トランプは、彼との卑猥な交友関係を、10日ほど前に大手新聞社に報道されると、即座にその新聞社に1.5兆円の損害賠償訴訟を起こし、また民主党の陰謀があるとしてオバマ元大統領を国家反逆罪で訴えると宣言し、脅迫と目くらましを始めた。
また急遽、交渉と称してスコットランドへのゴルフへと逃げた。
さらに彼はゴルフ場で、スコアを誤魔化している所を望遠で撮られ、これは常習で有名なのだが、今SNSを賑わしている。

私が憤るのは、よりによってこんな低俗な人物を大統領に祀り上げる共和党と煽情される支持者が、アメリカに蔓延り、世界を危険にさらしていることです。

  上記の状況と背景が知りたくて、ここ2年の間に、私は米国の13都市を1ヵ月かけて見て廻って来ました。
数人のアメリカ人とも意見交換出来た。

大都市では人種や貧富の差が様々な面、交通機関や住宅街に現れており、カナダのバンクーバーも同様でした。
確かに大都市では必ずホームレスを見ることになるが、彼らは市民から隔絶しているのでは無く、助けられ共存している様子も見えた。
旅行中、トランプが煽情していた対立や暴力的な状況に出会うことはなかった。

またアメリカを知りたくて、アメリカの経済、政治、歴史、宗教に関わる本を多数読みもした。

 要点を述べると、アメリカ建国時から脈々と受継がれる反知性主義が、政府や権威を否定する土壌となっているとキリスト教神学者は読み解く(分かり難いが、エリートよりも無知な人間の方が信じられるらしい)。
多くの経済学者は、80年代に始まるレーガンの新自由主義が、経済格差を拡大させ、その結果、巨富による政治支配が蔓延り、多くの国民は、失望と不満を蓄積するようになったとする。
一部の経済学者やビジネス界隈に生きる人々は、大戦後に始まるグローバル化が災いしており、トランプはこれを逆転させるとしている。

 一方、アメリカの政治史を見ると、繰り返されるアメリカの横暴、偏見、独りよがりが、トランプを生んでいると言える(「オリバーストーンが語るもう一つのアメリカ史1,2,3」「CIA秘録上・下」に詳しい)。
実例を挙げると、アメリカ政府は大戦後、数々の原爆使用未遂、赤狩り、CIAによる外国政府転覆、冷戦、ベトナム戦争を主導して来たが、これらに共通するのは、上層部(主に共和党、ビジネス出身議員、タカ派、軍部等)が共産主義、多国籍企業の利益や国益を損なう国等を敵と仮想し始めると、遂には予防的に徹底した破壊を望むことにある。
彼らは、他者を理解し融和を図る事は軟弱で恥ずべき、愚かな行為と考える。
さらに国民もこの敵視や糾弾する状況に異様に興奮して来た。
つまり、アメリカでは何故か、自ら敵を造り、その敵を徹底的に潰す事に喜び感じる国民性が作られてしまったようだ。
この事はアングロサクソンの民族性に起因するとよく言われるが、それだけでは無いように思う。
私は、この状況は大戦後に強くなったことから大国の驕りがあり、さらに新自由主義導入の悪影響だと考える(説明省略)。

 つまり、上記の説明から想像できるように、トランプと共和党は、弱体化した共産主義に替え、陰謀論の民主党を操るディープステートと、強大化した中国、拡大した移民を、潰すべき敵に仕立て上げた。
そして、正に無知で型破りな非エリートのトランプが、強大な敵を倒す救世主となり、国民の半数は、アメリカの復活を夢見るようになった。

 

b)トランプの問題点

彼を礼賛する人も多いが、私は彼を国政に携わさせるべきでは無いと考える。

彼の人格は絶望的なぐらい危険。
欲望や感情のままに行動し、自制が効かない。
強欲で法を無視する習性(嘘を強弁する)。
現役ビジネスマンで富豪(成功したビジネスマンには社会性が欠ける場合がある)。
科学的で論理的なビジョンを持たない。
煽情と人心を操る事を得意とする。

そのような人物が大統領になれば
大国の力を背景に、将来の事や他国との繫がり、弱者の事などを考慮せず、力任せの政策を行う。
行動は、即時的な人気や利益が狙いで、手段を選ばず、その場限り。
ハニートラップ等に掛り、犯罪や破廉恥行為でゆすられ、自己保身に走り、自国や世界に災いをもたらす事を厭わない。もしイスラエルやロシアが、彼の異常な性癖の証拠を掴んでいたら、彼は脅迫されており、今のトランプの外交政策は納得出来る(エプスタイン疑惑とモスクでの変態プレー事件)。

 

 

c)トランプはアメリカだけでなく世界を劣化させる

アメリカが小国であれば問題なかったのだが、最大の経済大国、最強の軍事大国なのが災いしている。

今、彼は関税を武器に、他国に巨額な出資を強要している。
 この恣意的な提案は、けっして取引では無い。
これは大国の経済力を背景に他国を脅迫し、提案はどちらの損出を受け入れるかを迫っているだけ。
通常の取引なら、利得もあるのだが、損しかない。
多くの国は、国民を守るよりも、産業や大企業の関税を避ける方向で提案を吞むことになる。

この結果、2つの事が起きるだろう。
 アメリカの製造業の復活は期待通りにはならず、投資効率は悪いだろう。
また巨額の投資案件を引き受けざるを得なかった国々は、自国の投資が置き去りになり、経済にダーメジを与える。
掛かる関税は、双方に悪影響を与え続けるだろう。

しかし、更なる問題がある。
 それは強権、独裁、ナショナリズムが世界を脅かすようになることです。
ここ10年以上、世界に独裁的な国家(独裁者、議会独裁制)が増えて来ている。
トランプが腕力を振るえば振るうほど、これが他国に波及し、世界はいがみ合い、悪化することになる。
これは歴史が示している。
19世紀の欧州による植民地獲得競争、20世紀からのヒットラー率いるファシズム国家の誕生、冷戦構造の拡大などです。

私が最も危惧することは、この事です。

 

2. 世界を救う唯一の手立て
おそらく、今のアメリカに自浄作用を期待出来ないでしょう。
だが二つの道が残されている。

a)トランプが自ら墓穴を堀って、大統領職を辞職する事です。

今、最も期待出来るのはエプスタイン疑惑を追求し、彼の醜態を白日の下に晒し、弾劾することです。

彼のこれまでの振る舞いからすれば、性犯罪や醜聞に手を染めている事は疑いない。
しかし彼は大統領職を利用して恩赦を乱発し証人を黙らせたり、証拠隠滅、捏造等、あらゆる手段を使うでしょう。
まだ共和党とFOXニュースは、トランプ擁護を続けている。

しかし、少し明るい前兆がある。

 先ず、あれほど頑なMAGAの一部、またトランプサイドであったタッカー・カールソン、スティーブン・バノン、イーロン・マスク等が、批判に転じた事です。
FOXニュースを傘下に置くメデイア王のマードックは、これまで保守的で権力に迎合的だったが、新聞社WSJを通じて、トランプのエプスタイン疑惑を追求する姿勢を続けている。
既にトランプの支持率はエプスタイン疑惑発覚前で、既に37%に落ちている。
今後、さらに落ちるだろう。
共和党は、人気下落の只中で来年、中間選挙を迎えるので、トランプを見限らざるを得ないだろう。
疑惑が黒となれば、すぐにでも決着するのだが。


b)今一つは、世界がアメリカを見限り、団結し米国の横暴に対処することです。

 今回の件で、アメリカは信頼に足りないことが明白になったはずです。
これはアメリカの政治史を振り返れば一目瞭然です。
残念ながら、日本(自民党)は戦後、アメリカ追従一辺倒でやって来ました。
隣国の中国とロシアを考えれば同情すべき点もありますが、これからは方向を変えるべきです。
先ずは、アジア、環太平洋、ヨーロッパと協力し、大国の横暴に立ち向かう事です。
今回は、各国は準備が充分でなく、個別に撃破されてしまったが、これから直ぐにでも始めるべきです。
米国の独裁色は、まだまだ払拭出来ないでしょうから。
日本が、明治維新を大きな混乱を招かず成し遂げたのは、雄藩が纏まり、幕府も愚挙に出ず、外国に隙を見せなかった事が大きい。

 

3.補足
a)愚かな人の見分け方

 日本にも、第1期目からトランプの言動を礼賛し、「票が盗まれた」陰謀論を信じ、トランプを応援した巷の人だけでなく、著名人も多くいた。
是非とも、これら「愚かな」人々を忘れないで下さい。
所詮、これら著名人は、経済や政治に通じているようでも、トランプと同類で、非科学的、歴史を曲解し、国民を見る事が出来ない人々なのです。
優れた国のトップとは? 人気? 世界を救った? 国民と企業のどちらを富ませた?
おそらくその手の著名人には、外れた答えを持っているでしょう。
この手の人は、いつも居るので見分ける必要があります。
一言で言えば、ヒトラーを初期段階で見分ける眼力があるのが望ましい。

 

b)アメリカの闇からの教訓

闇とは、トランプを生む歪な社会になってしまった事を指します。
言い換えれば、民主主義制であった当時のドイツ社会が独裁者ヒトラーを生み出し、自国と世界を破壊に至らしめた事をさします。
かつて残虐さで知られた国―ヴァイキングのノルウェー、日中戦争の日本兵、ホロコーストのナチス等、の人々と今、接して見て、恐怖を感じる事は無いはずです。
もしそれらの根底に国民性があったとしても、残虐性では説明出来ないはずです。
やはり、その社会集団の凝集性や帰属意識の強さの方が、影響しているのでしょう。

それともう一つ、その社会が自らの歴史の呪縛に潰されて行ったように思います。
上記の三ヵ国の歴史にも、それが見られます(説明省略)。

翻ってアメリカを見ます。
歴史的な背景として、反知性主義、自由主義(税や規制からの自由)、これに加え、大戦後の軍事大国としての驕り、そして80年以降の新自由主義による格差拡大と金権政治、それに連れて報道も金権的になった。
さらに理由が分からないが、宗教のマイナスの面が際立つようになった。進化論を教えられない非科学的な教育、聖書の一部に偏執したハルマゲドンからイスラエル擁護等が、強く偏った世論を生むようになった。
こうして民衆は被害者意識を煽られ、自国優先で武力を頼り、あらゆる敵を生み出しては屈服させる事に、溜飲を下げるようになってしまった。
これを放置すると、アメリカ自身の没落に留まらず、世界を破局へと導くように思える。

アメリカはこれからも先端産業で世界を牽引して行くと思われるが、大きな金融危機が幾度もアメリカ発で起きているように、これについても自ら墓穴を掘るような気がする。
トランプ政権が存続するなら!

私達も、自国の歴史、1世紀程でも良い、振返って何が起きているか考えて下さい。

 

c)グローバル化について

現在、トランプサイドの政策論者は、グローバル化が災いを招いたと考え、これを逆回転させるべきだと言う。
この事について、少し考察します。

 格差拡大とロストベルトの発生は、産業空洞化が招いたとしている。
産業空洞化は、確かに国内産業が賃金が安く、公害対策費が安い国に、ここ半世紀以上、移転し続けたからです。
また企業移転の目的には現地の資源収奪(地下資源や作物)が有りました。
当然ながら、これは主に米国に多大なメリットを与え、政府はあらゆる面でこれら多国籍企業を支援して来た。
これら多国籍企業は、現地で多くの問題や摩擦を生み出し、時にヨーロッパや国連は、世界的な規制を設けるるべきだとアメリカに持ちかけた。
しかし、アメリカ、特に共和党政権は、ほぼあらゆる規制(タックスヘイブン、地球温暖化、デジタル税等)に反対して来た。
本来、企業の自由競争と社会を維持する規制は、発展の両輪なのです。

 また自国の産業空洞化には、本来地道な労使協調による政策が必要だったのです。
いつも国が発展する過程で労働集約型の低付加価値産業(低技術)は、低開発国に移行して行くものなのです(リカードの比較優位説)。
それでは、そこで働いていた労働者は失業に任せるだけなのか?
そうではありません。
ここで、北欧が以前からやっているような転職の為の職業訓練と休業補償が重要なのです。
北欧は、さらに経済界と労働界が協調して産業転換を押し進めもしているのです。
これらが機能してこそ、労働者の犠牲を回避しながら、高付加価値産業へと転換出来るのです。
残念ながら、米国共和党は労働組合潰しと税による弱者救済を嫌うので、上記の政策は望むべくもない。

結局、共和党が大企業や金融産業を優遇し、労働者を見捨てて来た事で、貧富の差が開き、今に至ったのです。
民主党政権期に、その反動を幾分是正しているのですが、大勢は悪化するばかりでした。

 結論から言えば、グローバル化は民主主義と同じで、社会の必然です。
ただ米国のように、野放しにしといて、都合が悪くなれば、海外に移転している自国の多国籍企業を責めるのでは無く、自分より弱い国に犠牲を強要しているのです。
実に馬鹿げています。

 まだこの手の話が信じられない人でも、これから起きる産業革命について考えればわかり易い。
実は、これまでの労働者の失業のある部分は、企業の海外移転だけで起こっているのでは無い。
ITの発達で、情報やサービスの分野では効率が向上し人出が不要になり、さらにインドや東欧、アフリカ等に個別にインターネット上で仕事を外注しているのです(90年代から)。
これも失業増大の理由です。

 それに加え、これからAIの進化が、更なる大量の失業を米国で生むことになります。
おそらく、ここ20年ぐらいで職種により10~50%ぐらい、失業するでしょう。
対象者の多くは、現在、知的な職種に属している事になる。
こうなるとトランプの今の政策で、解決しないのは明白です。
誰を関税で脅し、ディールでどうして就業を守るのですか?
むしろトランプは、悪化させることでしょう。
なぜならAIをまったく規制する必要が無いと言っているのですから。
30年後に、もしトランプが生きていたならば「AIが間違いだった」と吠えているかもしれません。
一言だけ付け加えると、AIで新たな産業や職種が生まれるので、国内労働者をスムーズに、それに移行させる政策が必要になるでしょう。


これからはアメリカを頼らないことです。
徐々に、手を引くべきです。
1世紀以上前、英国は世界の覇者でしたが、やがて衰退し、米独日に抜かれてしまったのです。


これで終わります。

 

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始まった崩壊

2025-02-21 14:04:08 | 世界

 

始まった崩壊

米国のトランプ大統領がウクライナの大統領を独裁者と発言した。
これは、強大な権力者なら世界を支配出来ると言っているに等しい。
これから世界は、幾らか抑制が効いた時代から、暴力が蔓延し、やがて崩壊する時代に突入するだろう。


* トランプ大統領の発言の意味するところ

 

先ず、プーチンこそが独裁者である。
 ここ30年ほどのロシアを見ていると、明らかにロシアは独裁者プーチンに支配されている。
それは、腐敗しているロシア社会を抑えることが出来るのは、伝統的で絶大な秘密警察力を持つ独裁者でなければならないことに尽きる。
彼が政権を維持する為に、如何に批判勢力を抹殺し、人気取りの為にテロ殲滅をでっち上げ、また戦争をしかけて来たかで明白です。

ゼレンスキー大統領は独裁者か?
 侵略された小国が、敵国に立ち向かうには、一人の指導者の下での一致団結が必要であり、時には独裁色を帯びるものです。
少なくとも国際刑事裁判所(ICC)が戦争犯罪容疑で逮捕状を出したのは、プーチンでした。

 

 

トランプの身勝手さ 
 彼は大国ロシアをなだめる為に、独裁者を言い換え、ロシアの言い分を取り入れ、戦争終結に持って行こうとしている。
トランプは戦争を終わらせる為なら、正義を無視し、大国であれば何をしても良いと考えている。
正義は、人類が歴史から学び、育ててきた紛争を抑える最重要な概念です。 
身近な例がある。
大戦前、欧米はヒトラーの侵略に対し、初期の侵略を取り敢えず許し、融和策で乗り切ろうとした。
しかし、チャーチル首相がヒトラーの狂気を見抜き、ルーズベルトが参戦することで、世界は救われた。
少なくとも歴史的に見て、プーチンとロシアには、戦争を拡大する意図がある。

トランプの問題は、目的が恣意的であり、さらに目的の為には手段を選ばない事にある。
残念なことは、彼が地球上最強の国の大統領である事です。
このまま進めば、世界は混乱を深めることになり、最悪は経済悪化、侵略戦争拡大が蔓延することになる。


* 実は、この崩壊の潮流は以前から始まっていた

トランプは米国の分断され混乱した社会の中で誕生した。
以前、米国は民主主義と自由を重んじる国として知られていた。
しかし、今は大統領がデマを流し、司法や州や議会を無視し、独裁的に振る舞っている。
それを共和党が制止出来ないのは、トランプが国民の熱狂的な人気を得ているからだ。
なぜ米国は、こんな社会に状況になってしまったのか?

一番の理由は、経済格差の拡大と国民の大半が不満を貯めていることにある
これは新自由主義による金融重視と規制緩和によるところが大です。
その中から生まれた大富豪と巨大実業家が、権力を振りかざし、政治を操るようになった。
これに、宗教問題、二大政党の確執、移民問題、銃による犯罪多発が加わっている。
このままでは、悪化するに任せることになるだろう。
いずれ歴史家が、この状況をナチス勃興となぞらえ、不幸な時代と解説するだろう。


* 今、私達が気付かなければならない事は何か?

 米国社会の悪化は、必然だったと疑うことです。
この理由を納得するには、少なくとも1冊ぐらいの解説書が必要でしょう。
ポイントは、トランプがいなくなっても、悪化は簡単に治まるわけでは無いと言う事です。

身近な例を挙げましょう。
兵庫県の斎藤知事に纏わる一連の政治の劣化があります。
アジテーター立花のデマに踊らされた多くの選挙民、二人の維新県議の党利党略を目指した無恥な裏切り行為、人格に問題がある知事に同情する多くの選挙民、実に情けない状況が暴露され続けている。
この背景に、市民の政治への無知とSNS上にデマが拡散する状況、知事や政治家の劣化があります。
この状況は、米国と一緒でしょう。

つまり、このままでは日本も早晩、米国と同じ間違いを犯すことになるでしょう。


* 一つ重要な事

私が、現在、連載で「働くとは、何か」を書いていますが、この主題は以下に要約出来ます。

「弱い人々が状況を改善するには、時として身勝手な権力層と対峙出来る組合が必要」だと言うことです。
これは働く人にとっては労働組合です。
国際間では、国連やEUなどを意味します。
今回のトランプの暴虐を抑えるには、日本が今までやって来た追従一辺倒ではなく、環太平洋とアジア連合などの協同が必要になると言う事です。


次回から、またこれまでの連載に戻ります。

 

 

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没落を食い止める! 34: 何が間違っているのか 1: はじめに

2021-04-15 08:56:45 | 世界

 

< 1.世界変革の旗手となった学者達

   上:マルクスとエンゲルス、下:ハイエクとフリードマン >

 

これから新自由主義の根本的な間違いを見て行きます。

国民への洗脳が半世紀あまり続いているので、

頭の切り替えは難しいでしょう。

厳密な話はしません、

おかしいと気付いてもらえればOKです。

 

 

* はじめに

 

私が今、新自由主義に感じているのは、かつての共産主義への熱狂と失望に酷似していることです。

 

19世紀前半、立派な経済学者や哲学者らが、新たな自由主義を掲げて経済を再構築しようとした。

「個人のさらなる自由を求め、市場も自由に任せるべきだ!」と彼らは考えた。

 

一方共産主義者は、「資本家の搾取から脱する為に、労働価値(賃金)を絶体的な労働時間だけで評価すべきだ!」と提言した。

確かに雇用主の恣意的な操作を防げるが、人々の努力や創意工夫が無視されてしまう(今となっては馬鹿げているが)。

同様に「規制の無い自由市場こそが経済を活性化させる」も単純明解そうだが・・・(次回説明)。

 

また新自由主義者らが強調する主張に「小さな政府」があるが、これは明らかな間違いです。

現在の新自由主義国の財政は膨張するばかりで、莫大な累積財政赤字に喘いでいる。

つまり目論見に反して、何を間違ったのか大きな政府になってしまった。

とは言っても国民には増税しサービスを減らし、大企業には減税し、放漫経営後(バブル崩壊)の救済で財政が苦しいのですが。

 

これと似た事が共産主義でもありました。

共産主義は、社会を根底から改革する為に、労働者による政府が一度政治・経済を完全に掌握、計画経済を断行する為に独裁もやむなしとした。

しかし、一度政権を握った共産党と官僚は権益を手放さず、独裁が続き国民は困窮することになった。

(常識では不可能と思われたが、中国は唯一自由市場への方向転換が出来た、一方ソ連は失敗した。)

 

結局、共産主義も新自由主義も、当初の理想とは裏腹な結果になってしまった。

一度権益を得た支配階層、前者では共産党員と官僚、後者では経済界と富裕層らは当初の理想と異なっていようが、頑として非を認めず、独裁へと進む。

前者は強力な言論と警察権力による統制、後者は政府・メデイア・学界と協同して洗脳・扇動して体制維持に勤める。

 

私にはこの二つの主義主張には共通する思い込みがあるように思う。

 

共産主義は、資本家に搾取される労働者の立場を擁護するとして民衆に熱狂的に受け入れられた(当時欧州で)。

多少人類史の知見も取り入れられ、後に致命傷となる欠陥が無視されてしまった。

当時の政府の多くは、現在と同様に資本家側と軍部についていたので、革命でしか政権を掌握できなかった。

 

新自由主義は、労働組合の台頭と国営企業・福祉の増大に業を煮やす経営者や富裕層に熱狂的に受け入れられた。

当時、世界を賑わしていた共産主義への嫌悪もあった。

これには当時主流の経済学(ケインズ経済学)に対立する経済学者らが賛同した。

彼らのバックアップによって保守の政治家らは、大転換を行うことが出来た。

不思議な事に、この一流の経済学者の誰も、現在の重大な失敗を予想できなかったらしい(経済学者ポランニーは予想していたらしい)。

 

当然、当時の首脳や官僚、まして国民は予想できなかったでしょう。

 

それにしても、今になっても誇らしげに大転換を行ったと自画自賛出来る神経が私には理解出来ない(中曽根や渡辺恒雄ら)。

さらに酷いことに、未だに新自由主義を標榜している政治家がいることに呆れる(維新の会)。

もっとも政府側に貼り付いていれば、例え気付いても寝返ることはできないだろうが。

 

 

次回に続きます。

 

 

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没落を食い止める! 33: 今、世界はどうなっているのか? 4: 世界を苦境に陥れているものとは

2021-04-14 06:40:34 | 世界

 

*1

 

今回は、現在、世界が直面している苦境を見ます。

基本、発展途上国の生活レベルは向上しています。

しかし、詳しく見れば至る所に問題が見られます。

 

 

* 世界で起きている災厄

 

これらがすべて新自由主義とグローバル化に起因しているわけではありません。

しかし大戦後、これらの多くは先進国と多国籍企業の横暴な振る舞いが引き起こしました。

 

 

< 2. 世界の災厄 >

 

ここでは系統だった話ではなく、幾つかの問題点を挙げます。

 

  1. 大国の保護貿易がもたらす弊害

 

おそらく日本人の関心は薄いだろうが、大国が自国の農産品を保護するために手厚い補助金を出し、ダンピングして世界市場で優位に立とうとすることがある。

例えば、米国の綿花です。

米国の綿花が補助金により市場価格が低下し、発展途上国の零細農家が低価格に対抗できずに軒並み倒産し、再起不能になったことがある(アフリカ)。

自国の通貨安誘導もこの手の問題です(米日中もやっている)。

 

本来、この手の問題を調停するためにWTOがあるのだが、上手く機能していない。

 

 

  1. 軍需産業の好調が意味するもの

 

世界の兵器製造と軍事サービスの売上額は年間50兆円で毎年伸びている。

米国企業はこの内60%近くのシェアを持ち、世界に輸出している。

米国が頻繁に戦争をするのは、兵器産業の為とは言わないが、軍産複合体の体を成している。

どちらにしても、毎年これだけの兵器が世界に出回るのだから、銃の所有率の多さが銃による死亡を増やしているように、紛争拡大を招いていることは間違いない。

 

またこの事が発展途上国(石油のある中近東)の疲弊と大量の難民を生み、近隣諸国や先進国に混乱が及んでいる。

 

 

  1. 3K(きつい・汚い・危険)の工場移転がもたらすもの

 

先進国で受け入れられない3Kの仕事を安く発展途上国に出すのは、自然かもしれないが、人権を無視したことが度々起きている。

 

バングラディシュに先進国のアパレル産業が縫製作業を大量に出しているが、これが過酷な作業環境と児童労働を生んでいる。

実際、工場の入ったビルの大規模倒壊があり、多くが死亡している。

 

またフランスの電力会社がアフリカのニジェールにウラン採掘場を有し、人力でも採掘させていた。

これが暴露されると、会社は現地政府を巻き込んで違法な隠蔽工作を始めた。

このような各国の大企業である多国籍企業が、現地で問題起こしたり、国有化などの被害を受けそうになると、本国政府は裏で違法な画策を行うことが多々あった。

こうして欧米は南米や中近東から憎まれることになつた(現在の帝国主義か)。

 

 

  1. 投機がもたらす災厄と後始末

 

ファンドが発展途上国の為替や先物商品(石油など)を乱高下させて稼いだり、メガバンクが他国の住宅バブルを煽ったりすることがよくある。

 

前者は発展途上国を数年間疲弊させ、国際機関や先進国政府が大規模な援助をすることになる(国民の税金で)。

この時、IMF(国際通貨基金)が各国に緊急融資を行い、各国は一息点くが、そこから地獄が始まる。

IMFは新自由主義の立場を取り、融資した国に徹底的な緊縮財政を強制する(小さな政府)。

ただでさえ景気が急降下しているのに、さらに落ち込み、失業者は溢れ、福祉医療予算がカットされ、さらに低所得層は困窮し、自殺者、病死が増える。

これは結局、相手国の国民の為ではなく、貸金の返却を確実にしているだけに見える。

 

後者はバブルが崩壊し、大量の債務者と銀行に不良債権が残る。

この場合、この民間銀行は大手だけに潰すことが出来ずに、政府が国費で救済することになる(EUの金融危機の時、20兆円ほどが銀行に注入され、大国なら今後100兆円を越える)。

こんな事を繰り返すからメガバンクほど、また図に乗って暴走する。

 

 

* まとめ

 

ここまで見ると、欧米の人が「グローバル化反対」と訴えるのが理解できるでしょう。

どちらにしても、大半の国民また底辺の人々が犠牲になる一方、富裕層が富を得ている状況が理解出来たと思います。

 

それでもグローバル化は止めるべきではありません。

正しく秩序が守られるグローバル化こそが、これからの世界の平和と発展に必要なのです(対立ではなく協力出来る体制)。

 

一つ留意して欲しいことがあります。

それは、これら弱い発展途上国への横暴を調べ、圧力に屈せず、公表・報道している存在が機能していることです。

これを担っているのはアムネスティ・インターナショナル(国際連合との協議資格をもつ非政府組織、NGO)や欧米の報道機関です。

さらにこれら問題を世界的に抑制しようとする活動も進んでいます。

例えば国際的なNGOフェアウッド・パートナーズは森林破壊を防ぐ為、違法伐採を排除する認定制度を設けています。

 

 

次回に続きます。

 

 

 

 

 

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没落を食い止める! 32: 今、世界はどうなっているのか? 3: 世界では?

2021-04-12 07:14:14 | 世界

 

< 1.どちらが世界を・・・ >

 

前回は、新自由主義による国内の変貌を見ました。

今回は、新自由主義とグローバル化による世界の変貌を見ます。

 

 

* お金のビッグバンはこうして起こっている

 

これからグローバル化の関りを説明しますが、私はグローバル化が反対なのでは無く、現状の無軌道な状況が問題だと思っています。

 

 

< 2.お金のビッグバン >

 

図の説明

 

  1. 最下段

各国中央政府の収支は、戦争でも無い限り国民の税金と国民へのサービスで釣り合っていた。 

これが大転換前の状況でした。

 

  1. 右下の×❔のマーク

80年代の大転換が始まると、やがて政府は各国の中央銀行に対してかつて禁じ手(×❔マーク)だった貨幣供給を指示するようになった。

中央銀行は景気浮揚策として、特に金融危機後の数年から十数年に亘り、貨幣を市場に大量供給している(英米日中が断トツに多く、市中銀行や株・債権購入などで)。

 

  1. 左上部の金融市場、メガバンク、多国籍企業

前回見たように国内消費が増えず実業も振るわず、一方で金融への投機を奨励し規制緩和を行っているので、大量の貨幣は金融商品への投機に向かわざるを得ない。

 

ここまでは国内事情とほとんど変わりない。

 

グローバル化(貿易・人・情報の交流が進み世界経済の一体化)が進むと、さらに自由主義の悪弊が拡大することなる。

 

資金が世界中から集まるようになり、また世界各国に向かうようになった。

例えば富裕層を相手にしたヘッジファンドは世界中で荒稼ぎし、アジア通貨危機などを起こしながら、トップのファンドマネジャーなら年間数千億円を稼ぐ。

ヘッジファンドの資金は株、債権や為替、先物商品へ、実需の10倍以上が投入され、価格の乱高下で稼ぐようになった。

 

また多国籍企業やメガバンクは世界を相手に取引を始め、他国との競争を経て巨大化し、これがモラルハザードの欠如を生み、また中央政府の助けもあり、開発途上国への無謀な投資・貸付が、バブルやデフォルトを招く結果にもなっている。

政府は、これら多国籍企業やメガバンクを支援する為に発展途上国への都市開発や兵器売却を首脳外交で行っている(これは帝国主義の前期と酷似し、カントリーリスクが発生すると政府は損失を避ける為に軍事干渉を始める)。

 

  1. 右上の❔マーク

これらの結果、何が起きたのか?

相次ぐ金融危機後の金融緩和で世界の金融市場に注ぎ込まれた資金は膨大になり、今や加速度的に増加している。

そして、その富を一部の超富裕層、おそらく全世界で数万の持ち株会社が世界の大半の企業グループを掌握するようになっただろう(今、世界人口の1%で総資産の50%を所有、さらに増加)。

 

少し振返って欲しい。

80年代、小さな政府を目指したはずが、いつの間にか各国政府は国民とは無縁な所で、貨幣発行と言う手段で別の世界(金持ち天国)を国民の上に造り上げた。

 

 

< 3. 世界の脱税競争 >

 

なぜ国民の暮らしが良くならず、なぜ超金持ちはより豊かになるのか?

その理由は上記の理由が一番なのですが、脱税競争も大きい。

 

図の説明

 

  1. 中央の世界地図: タックスヘイブン(オフショア・センターも)を示している

タックスヘイブンは税金をゼロか低率にし、秘密保護まで行って富裕層、企業、諜報機関、犯罪集団に便宜を図っている都市や国で、世界に60ヶ所ほどある。

 

これにより世界で10%近くの税逃れが発生している(推測)。

例えばアップルはアイルランド、アマゾンはルクセンブルクなど、税率の低い所に本社を移して節税している。

アップルは法人税を23%ほど支払っていると自画自賛しているが、日本の平均的な勤労者であれば所得税・住民税を30%払う(最も日本の企業も23%ほどだが)。

おそらくトランプは腹立たしい税金など払っていない(最高裁は開示を求めたが)。

パナマ文書で明かになったが、日本でも盛んに行われている。

幸か不幸か、善良で貧しい国民にはタックスヘイブンは無縁です。

 

地図の下に、代表的な地域を示した。

タックスヘイブン地は多数の事業所誘致と、サービス業でメリットがある。

 

 

  1. 上段の❔マーク

上記の税逃れの蔓延が、国内の税制を歪め、逆累進課税を生むことになる。

 

それは富裕層と法人が、所得税と法人税を上げると国外に逃げると経済界を通じて政府を脅すようになったからです。

普通、製造業は海外に工場を移すが、市場がある国内に本社機能を残し、金持ちも暮らしやすい先進国(自国)から抜け出す数は微々たるものです。

それでも各国は、やがて税の最高税率下げの泥沼の競争から抜け出せなくなり、その穴埋めに間接税(消費税)増税に向かった。

 

これは税逃れが難しく、景気に左右されないので安定した税収になり、国と金持ちには最高!!

一方、労働者には最悪だ!!!!

 

結局、現生は法人と金持ちに天国となった。

タックスヘイブンで税を払わず、国内の税金も減らしてくれるのだから。

従って経済界と大富豪は政府とマスコミを抱き込む為に数百億円を使うぐらいは厭わない(米国の場合、一人で)。

 

 

  1. 最下段右の❔マーク

ここで問題になるのが、国際機関の脆弱さです。

 

これからは世界的な税制創設と税逃れの規制を構築しない限り、悪化するばかりです。

現在、上記の税逃れを少しでも取り戻そうと各国が動いているがバラバラです。

タックスヘイブンを抑え込むために名前を公表し(これ以上できない)、世界的な金融取引税創設、GAFAを狙ったデジタル税などで奮闘している。

 

しかし世界にまとまりがなく制裁力が無いため、あまり期待出来ない。

この纏まりの無い理由の一つが、相変わらずの米国の単独行動でしたが、バイデンになって前進し始めたようです。

 

 

次回に続きます。

 

 

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中国の外縁を一周して 57: 中国と北欧、そして日本 2: 各国の旅行事情

2020-11-29 08:47:51 | 世界

 

 

*1

 

前回は、各国の余生と余暇の過ごし方を紹介しました。

今回は、各国の旅行事情を紹介します。

それぞれに違いがあり、お国ぶりが見えて来ます。

 

 

< 2. スウェーデン、ストックホルムにて >

 

上: 中央駅地下一階にて、コンコースの真下

2018年6月1日、金曜日。

ここには鉄道と郊外電車、地下鉄の駅が集まっているので、行き交う人は多い。

 

下: ドロットニングホルム宮殿行きのクルーズ船乗り場にて

2018年6月3日、日曜日。

人気観光地の市庁舎が直ぐ隣りあります。

 

私が乗った船は満員で立ち続ける人もいた。

乗船客は白人ばかりで、他の人種、特にアジア系の人を見ることはなかった。

夫婦や少数グループが多く、添乗員が引率している団体ツアーは見なかった。

 

 

< 3. カールスタッドとオスロにて >

 

上: カールスタッドの鉄道駅のホームにて

2018年6月4日、月曜日。

オスロ行きの国際列車が4時間以上遅れて到着するのですが、乗客がホーム中心に集まって不安げに待っている。

彼らの一人が私に一緒にと声を掛けてくれたが、私は英語が出来ないので一人離れてしまった。

北欧を旅していると、列車の中や至る所で人の温もりを感じた。

 

ただストックホルムでは、駅や空港で業務として関わる人は、英語が喋れないと冷たくあしらうことがあった。

他の二ヵ国ではなかった。

 

下: ヴィーゲラン公園のゲート近くにて

2018年6月6日、水曜日、8:30~9:00に公園を散策。

写真はインドからの観光客一団です。

 

この公園を観光している人は少なく、市民をちらほら見ただけでした。

アベックや犬の散歩、自転車で行き交う人々でした。

ゲートを出ようとしていると、韓国人らしい一団とインドからの一団がゲートから入ってくるのを見た。

私の公園訪問が朝早すぎたのでしょう。

 

 

< 4. フェリーと地下鉄にて >

 

上: オスロ湾を行くフェリーにて

2018年6月6日、水曜日。

このフェリーはコペンハーゲンとを結ぶ国際航路です。

フェリーの後部デッキでは乗船客がクルーズ気分を楽しんでいた。

デッキは白人ばかりで、明かに旅行客風でした。

乗船時にはアジア人の小グループ、食事中には日本人ツアー客も見かけま

した。

私も含めてアジア人はまだクルーズ船のデッキで寛ぐことに慣れていないようです。

 

下: オスロの地下鉄にて

2018年6月5日、火曜日。

早朝の移動中に、彼は私に関心を示し、寄って来て声を掛けてくれた。

彼は、彼の日本旅行について話してくれた。

彼は数年前、奥さんと長男(写真の子ではない)で2ヶ月間、日本を旅行したそうです。

特に富士山登山が気に入ったそうです。

彼の日本の印象は非常に良かったようで、私ともっと話したかったようだ。

 

 

 

* 北欧三ヵ国で見た旅行者

 

北欧を巡っていると、白人は夫婦や少数のグループで旅行していることが多い。

観光地で見かけた白人が外国人かは判然としないが、多分に近隣諸国からの人もいるようだった。

 

一方、気になったの日本人の少なさです。

ストックホルムで、数人の日本人ツアー客らが自由時間を楽しんでいるのを見たことはあったが、他ではまったく日本人を見なかった。

コペンハーゲンの図書館で、現地に暮らしている日本人親子とあっただけでした。

たまたま、空港で宇都宮弁護士の北欧訪問に随行した人々を見かけてホットした(会話が聞こえたので分かった)。

 

あまりポピュラーでない観光地(野外博物館)などで、韓国人の団体ツアーを見かけたことはあった。

一番感心したのは、私がデンマークのシェラン島の端まで観光しようとしていると、中国人の母娘がそれを上回る意欲的な観光を計画していることでした(行先が聞こえたので分かった)。

 

今まで西欧や東欧などを旅行した時、何処に行っても中国の団体ツアーと出くわし、彼らのマナーの悪さに辟易したものでした。

しかし、北欧の旅で見た中国人は、少数のグループで都市部の宮殿や地方の観光地を自由に旅していた。

ひょっとすると、現地に移民した人が、友人や家族を案内している可能性もある。

少数の東南アジア人グループを観光地で見かけたが、これもそうかもしれない。

その内の誰かが英語を話せるのだろう。

それにしてもまったく日本人を見ない。

 

日本人の海外進出意欲の減退に危機感を持った。

単に、国が貧しくなったからかもしれないが。

日本人の出国人数は年々増加し2千万人を越えたのだが、実は、一人当たりの旅行費用は約20年前より35%ほど低下し、ここ数年の円安も加わり旅行先は手頃な所になっているのでしょう。

 

一方、中国人の海外旅行者数は15年間で3千万人から1億3千万人に増えており、うなぎ上りです。

こうして世界中の観光地は中国人が溢れるようになった。

 

 

< 5. 麗江と北京にて >

 

上: 麗江の新幹線駅にて、ここは始発駅です

2019年10月27日、日曜日。

ホームは、改札を終えてこれから乗車する人で一杯になった。

乗車する人は年配者もいるが、多くは若いか中年の軽装の旅行者でした。

 

30年ほど前、広州から香港へと列車で移動した時は、若い人は少なく、大きな荷物(安ぽっい袋)を持った中年以上の人で列車は一杯でした。

中国では、その後、経済成長に伴って国内旅行が爆発的に増えた。

 

ここ10年の中国で驚かされるのは、至る所に出来た新幹線駅が巨大すぎることです。

本当に歩くのが疲れる。

しかも、私が乗った連結数の多い列車はいつも満杯に近かった。

中国の新幹線網は日々延びているので、旅行する時は、新幹線が通じているかもしれないと疑ってみることです。

駅は空港より便利な位置にあり、本数も多い、但し運賃は安くは無いが。

 

 

下: 北京の天安門広場にて

2019年10月19日、土曜日。

この時は、中国建国70周年年の記念事業があったので、広大な広場は人で埋め尽くされていました。

 

 

< 6.北京と麗江にて >

 

上: 北京の飲食店にて

2019年10月17日、木曜日、夜9時を過ぎた頃。

 

王府井を歩いて驚いたのは、夜が更けると若い人々は通りから去り、年寄りを含む団体ツアーが闊歩しているのが目立ったことです。

これは多くの店が閉まるからなのですが、まだ若干の飲食店が開いているので、そこにツアー客が押し寄せるのです。

ツアーの中には年齢から見て勤め人もいるはずですが、このように平日も旅行出来るようです。

 

その元気さに、かつての日本人の海外旅行熱を思い出しました。

私達日本人も夜遅くまで観光地を出歩き、また多くの人はブランド店で数十万円を費やし、バックなどを買い漁っていた。

そんな時代は遠い昔となったが。

 

 

下: 麗江の飲食街にて

2019年10月25日、金曜日、夜の7時頃。

 

麗江は、私にとって中国で唯一の残された歴史的な町並みのはずでした。

客家土楼なども歴史的な建物が残っているが、街並みと言う点では異なります。

楽しみにしていた開封の街並みも、真に歴史的なものはなかった。

麗江の町並みは土産物・飲食店街と化し、さらに夜になると音楽と歌声が鳴り響く古镇のテーマパークと化す(それでも充分に中世の雰囲気は味わえます)。

夜遅くまで彼らは歴史地区で歓談し飲食している。

 

少し失望したが、中国の商魂たくましい姿に苦笑いし、非日常を精一杯愉しむ人々の姿に圧倒された。

 

 

< 7. 頤和園と什刹海公園にて >

 

上: 頤和園の昆明湖に面して

2019年10月19日、土曜日。

もの凄い人出で、建物で囲まれた中庭では押し競まんじゅう状態でした。

圧倒的に中国人の団体ツアーが多い。

添乗員の旗を見ていると、中国各地から来ているのがわかる。

ラフな服装で、旅を満喫している姿が印象的でした。

 

下: 什刹海公園にて

2019年10月18日、金曜日。

 

20台にも達しそうな人力車の行列が湖沿いの道を通って行きます。

もの凄い観光客が周囲を埋め尽くし、人力車は団体客で満杯でした。

 

 

 

* 中国で見た旅行者

 

ここ30年間、中国を旅するようになって驚くことの一つは、国内旅行が年々盛んになっていることです。

 

15年以上前、当時日本ではほとんど知られていなかった客家土楼を友人の案内で見学した時、一人の中国人旅行者が一眼レフで撮影しているのに驚いた。

それまでの中国観光でこのような事を見ることはなかった。

当然、そこにいるよそ者は私と友人、そしてそのカメラマン一人だけでした。

 

また廈門の海岸に案内してもらった時にも驚きの光景を目にした。

夕陽が沈む砂浜で、百人を越える人々が海岸線に並び、立ち尽くしていた。

友人の話によると、彼らは海の無い貴州省(雲南の東北で隣接)から来た人々だった。

 

しかし今は異なる。

帰国時、私は昆明から関空に向かう機内で若い中国人女性に声を掛けた。

彼女はツアーで日本に初めて旅行するとのことでした。

彼女は日本のことをほとんど知らないようでした。

今は、中国各地と日本の間に多くの直行便があります。

私にとっては中国の航空運賃は安いが、彼女にとってはそうではないはずです。

昆明では日本人観光客をまったく見ることがなかったし、昆明では日本があまり知られていないように思う。

実に、彼らは気楽に旅をするようになった。

 

また成都をタクシーで観光していた時、通訳を介して知ったのですが、運転手の娘さんがちょうど大阪を観光していた。

そして、大阪の貧弱な宿泊ホテルに娘さんが驚いて、その写真をメールで送って来たそうです。

おそらく民泊のことだろう、恥ずかしくなった。

中国では一泊1万円も出せば、非常に立派なホテルに泊まれるのだが。

 

こうして中国の人々は余暇を楽しみ、海外や日本を知ることになるだろう。

これは誤解を遠ざけ、相互理解を育むだろう。

世界の進んだマナーや文化を知り、異なる国の実態を知る事になる。

 

2019年の中国国内旅行者数は60億人を越えており、伸び率は9%もありました(一人当たり年4.3回=60億/13億)。

同年、日本では一人当たり年4.6回で伸び率4%でした。

 

それにしても、今回、中国を旅していて、白人や日本人の観光客を見かけたことはなかった(外縁部を周ったせいもあるが)。

明かに以前に比べ日本人観光客は減っている。

現地の日本語ガイド達が嘆いていた。

これは年々日本政府が右傾化し、中国への恐怖を煽ったのが一因でしょう。

残念です。

 

白人観光客も少ないが、麗江の木府でチェコから来たツアー客にあった。

私が訪れたプラハやチェスキークルムロフについて語ると彼らは喜んでくれた。

旅先の出会いには心温まるものがある。

 

中国には年間1億5千万人ほどの外国人観光客が来るのですが、国土が広いので目立たないのでしょうか?

 

 

 

* 日本の残念なところ

 

北欧の人は海外に強い関心を持っており、高校生ぐらいから海外へ長期に出かけることになる。

これは文化もあるが、語学教育や休学制度、企業の採用慣習も後押ししている。

ヴァイキングの開拓精神がここにも息づいているように思える。

スウェーデンでは国民の約60%が年に一度は海外に出かけるそうです。

これが北欧の企業や人材の国際化を生み続けている理由でしょう。

 

中国では、既に日本人口を越える人が海外に行き、その人口割合も日本(15%)をもうすぐ超えるでしょう。

中国人の一番の海外旅行先は日本で、次いで東南アジア各国が続きます。

しかし、日本人の行先は一番が台湾で、ハワイ、韓国、イタリアが続き、中国は20番にも入りません。

日本人は上海には行くようですが。

 

こうして中国人の日本評価は高まって来ているが、一方で日本人の中国理解は、政府と右翼の煽動もあり悪化し続けている。

日本人の長期海外留学は減り、年追うごとの経済衰退に連れて、日本人は世界や近隣諸国への興味と理解が乏しくなっている。

 

一方中国は、外国人にとって日増しに旅行がし易くなっている。

多数ある航空会社、新幹線、ホテルを日本からインターネットで予約出来、また旅行サイトTrip.comを使えば日本語で予約出来る。

安全やサービスも問題ない。

中国の地図アプリなどをスマホにインストールすれば便利です。

中国語に馴れる必要はあるが。

VPNサービス(有料)を利用すればグーグル翻訳も使えます。

トイレはヨーロッパより便利で急速に綺麗になって来ている。

さらにすべてにおいて安いのが良い。

ヨーロッパ旅行の半額で行けます。

 

偏見を持たずに中国を旅行してください。

驚きの連続ですよ!

 

 

次回に続きます。

 

 

 

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世界が崩壊しない前に 33: 今、世界は試されている

2020-11-06 14:25:56 | 世界

*1

 

 

今まで、人類が如何に地球規模の危機に晒されているかを指摘して来ました。

しかし危機そのものよりも、我々が対処出来ない状況に陥っている事こそが致命的なのです。

今まさに、米国と日本で、その致命的な状況から脱せられるかが試されている。

 

 

 

** 米国で何が起き、何が試されているのか?

 

今、大統領選の開票が進んでおり、トランプかバイデンかはまだ決していません。

私はトランプが再選されれば、世界は危機に対処できず、破滅に限りなく近づくと考えます。

先ずトランプ以外が大統領になり、米国が分断から立ち直る事が必要なのです。

米国民の良識が試されているのです。

 

 

* トランプ大統領の何が問題なのか?

 

トランプ再選を熱望しているのは、共和党、経済重視派、宗教的保守層、白人などに多い。

彼らはトランプに託す夢が本当に叶うかどうかを考慮せず、刹那的にすがっているように思える。

 

例えば、トランプになってから株価も失業率も好調でした。

しかし、これは単に景気の波、さらには大きな副作用を伴う減税と金融緩和策が大きい。

副作用とは、リーマンショックを上回る金融危機やデフォルトなどです。

他の経済・貿易政策や規制緩和、いずれをとっても一時的には良いかもしれないが、禍根を残す。

外交政策も然り、例えば保守的な福音派にイスラエル重視の政策は人気が高いが、これは半世紀以上も米国が中東を混乱に陥れた要因です。

 

いつの間にか、米国は後先を考えず、なりふり構わず、エゴ剥き出しの社会になってしまった。

 

これは40年ほど前、共和党の変質から始まった。

一部の議員が「政治は戦争」と豪語し、対立する議員や党を過激な言説で非難し、またこれが絶大な人気を得た。

従来、自粛して来た異例の議会闘争や大統領弾劾などを行使し始め、やがて両党が泥仕合するようになった。

そして共和党は、ティーパーティーなどのポピュリズムのタカ派に主導されるようになった。

こうして米国は、政治家の撒き散らした害悪によって分断が進んだ。

 

 

* この社会の分断はどんな問題をもたらすのか?

 

最近のトランプ大統領の言動がその危険を如実に示している。

彼自身のあらゆる疑惑捜査を人事権を使いあからさまに妨害し、この大統領選では、暴力や訴訟などにより開票を妨害することも辞さない。

彼は目的の為には多くの嘘を自ら発信し、暴力すら容認し、明らかに規範と社会正義を破り続けている(法律違反ではない)。

それでもトランプ支持者は彼を信奉し、共和党首脳部も沈黙し容認し続けている。

 

このまま進めば、米国は独裁国家になり果てるだろう。

彼の場当たり的で人気取りだけの政策では、やがて米国を破局に追い込むだろう。

ファシズムに走ったドイツや日本、南米やアフリカの独裁国家のように。

 

これは他人事では済まない。

超大国の米国が軍事で暴走したり、現在のように世界の協調体制を崩しにかかると、地球規模の危機への対処は断たれることになる。

私は、このことを最も恐れる。

 

今、一縷の望みを託すのは、対立を煽るトランプを米国民が退場させる選択をすることです。

 

 

*2

 

* これは米国だけの問題ではない

 

既に見たように、日本の政治状況と瓜二つです。

 

国会での証拠書類の隠蔽・捏造、証人喚問拒否など、内閣に都合の悪い事はすべて隠された。

また首相は恣意的に日銀総裁、NHK会長、法制局長官を替え、検事総長まで手をつけようとした。

今また、政府に批判的な日本学術会議メンバー6人の任命を拒否した。

 

これはトランプほど極悪ではないが、国会の民主的な運営を破壊し、亀裂を更に深める。

このような規範破りの繰り返しを許していると、日本もまた独裁国家に返り咲くだろう。

 

 

*3

 

* これは日本の中央政府だけではない

 

先日の大阪都構想のドタバタにも、不安な兆候があった。

これは維新により、良いイメージだけが刷り込まれ、大阪市廃止に伴う負の側面が住民には知らされていなかった。

しかし大阪市を廃止する案は住民投票でギリギリ否決され、救われた。

この類は、端的に言えばポピュリスト的な人気を背景に、改革と言う名に便乗し、一気呵成に体制転換を図る企てでした(それほど罪深くは無いが)。

 

この状況はトランプ大統領や安倍首相を生み出している社会背景に通じる。

この手の社会が熱烈歓迎する人物がトランプであり、安倍と橋下なのです。

少なくとも、彼ら三人は正に類は友を呼ぶ関係にある。

 

 

* 日本と欧米が陥っている社会状況こそが元凶です

 

今、米国の分断、日本の右傾化、欧州のポピュリスト政党急伸が同時的に起こっている。

個々に見れば、白人と共和党、日本会議と自民党、移民拒否とタカ派政党が結びついたことによる。

そして社会は分断され、民主主義が危機に晒されている。

 

これは、長期の経済低迷と格差拡大、人種差別が激しい国で際立って起きている。

約80%の国民の所得が伸びない、中間層が没落している国々で起きている。

言い換えれば、自由放任で金融重視の経済(新自由主義)が浸透している日米欧の国ほど酷い。

 

つまり、多くの国民(中間層)は徐々に疲弊し、何ら解決が期待できず、マンネリ化した政府に嫌気を差していた。

さらに、欧米では移民と難民が社会問題化し、これに「文明の衝突」の宗教的な対立が加わり、人種差別は激しくなった。

日本では、大戦を引き摺る隣国のいがみ合いが、民族差別を強めた。

 

ここで根源的な問題は経済低迷と格差であり、人種や民族間の差別は付随的なものなのです。

差別はスケープゴートであり、ヒトラーがユダヤ人を悪玉に仕立て上げのと同じ手合いです。

結局、ナチスが台頭した時のように、中間層(米国の白人)が没落を食い止めんが為に、荒療治にすがっているのです。

 

 

** 最後に

 

未だ米国の結果は出ていないが、米国民は恐らく良識ある判断をするだろう。

日本国民も民主主義の破壊に「No」と言わなければならない。

トランプや安倍が去っても、都構想が潰えても、問題は解決しないが、再起の可能性が見えた。

 

根本的な解決には、

一つには、政治に良識と規範が復活し、議員が民主主義を守る為に自粛する時代へと戻ることです(かつて米国にはあった)。

今一つは、社会経済を悪化させている新自由主義の政策から脱却しなければならない(自民党や維新はまだすがっている)。

その為には、国民が政治を監視し、選挙を通じて参加して行くことです。

 

これを成し得てこそ、世界はやっと協力して、地球温暖化やパンデミック、資源枯渇、核拡散などの巨大な危機に立ち向かうことが出来るだろう。

 

 

次回に続きます。

 

 

 

 

 

 

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