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65歳から初めるクラシックコンサート

クラシックコンサート初体験の65歳がレポートします❗️

僕のアイドルは『小澤征爾』だった‼️その3

2025-02-27 12:51:52 | 指揮者

小澤さんの人間力について、思いつくことなどを……。
人は偉大な人を評して『カリスマ』性がある、といいます。

天真爛漫、単刀直入、子供のような純真さ。
人懐っこくていざ仕事に向き合うと、無我夢中。
スーパーマンのような集中力。


小澤さんは、まさにカリスマを絵に書いたような人物です。

なにより小澤さんは、出会ったすべての人を、瞬く間に魅了してしまうのです。
カリスマとはどのように『育っていく』ものなのでしょうか?
それとも生まれながらの宿命なのでしょうか?

(クラシック界のカリスマ、帝王カラヤンとは、師匠と弟子の間柄です)


小澤さんは、中国に生まれていますが、その話しぶりや、カラダの仕草など、まるっきりの『江戸っ子』なのが面白いところです。
ちょっとせっかちで、だれとでも、分け隔てなく、
『アンタと俺』『オレとアンタ』の関係で、物を言います。

写真はピアニストのルドルフ・ゼルキン氏とディスカッションしている小澤征爾。

このとき大事なのは、小澤さんは
『ステータス』を前提に付き合わない、ということなのです。
ピアノ界の巨匠と呼ばれるルドルフ・ゼルキンさんとでも、臆することなく、音楽の解釈などでお互いの本音をぶつけます。公演直後には、

『セイジとなら、こんなに楽しく音楽ができるんだ‼️』

と、ゼルキンさんが本当に無邪気なまでに興奮しているのがわかります。

小澤征爾ならきっと、
『アンタもオレも』『ひとりの人間』
として付き合ってくれる感じがするのです。

(下の写真は、指揮者教室でのひとこま)

(オレは指揮者のモンスターかい?)

決して、オレは雲の上の人物で、エライんだぞ‼️ なんていう『野暮なこと』を言わない人なのです。
そう、江戸っ子が一番嫌うのが野暮なんですよね。
また、けっこうそそっかしいのも小澤さんの魅力です。アメリカ、ボストンの自宅に帰ったとき、うっかり自宅の警報装置をOFFにしなかったばかりに、警察がすっ飛んで来た、なんていうことも度々あったとか。
人間的に可愛げがあって、それでいて、音楽への集中力は凄まじく、誰もが認める世界のマエストロのひとり。

そんな小澤さんをテレビで見ながら、僕はやがて社会人になりました。
すると、社会人として仕事に接しながら、知恵熱が出てきました😁
『仕事と自分』の関係について、悩むようになってきたのです。
そのとき、『ああ、小澤さんをお手本にしよう!』
とだいそれたことを考えました。
ドキュメンタリー映画『OZAWA』は、まさにその時期の僕にピッタリの教材に思えたのです。

☆☆
生涯に渡って『学ぶ』とは何か?

☆☆
(以下の写真は小澤征爾さんが、アメリカ、タングルウッドで学生たちに指揮法を教えているところです)

自分の仕事にどんな姿勢で取り組んでいけばいいのか?
この優れたドキュメンタリー作品は、多くのことにヒントを与えてくれました。
そして、生きるエネルギーがちょっとミスファイアを起こしているなぁ〜、なんて感じるときには、還暦過ぎたいまでも、
『OZAWA先生、また、ご厄介になりま〜す‼️』
なんて、見返したりしているのです。

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僕のアイドルは『小澤征爾』だった‼️その2

2025-02-23 19:04:28 | 指揮者

人間というのは、自分にないものに憧れる、という性質がありますよね。
僕が『小澤征爾というアイドル』に憧れたのも、 僕と全く真逆の人間性を持っている、とおもったからです。
あけっぴろげで、ひと懐っこくて、すぐに誰とでも仲良くなれてしまう。
日本人も 外国人も分け隔てなく、ガンガン お付き合いをしますよね。


『オレはこう思うんだけど、アンタはどうだい?』
という感じで、言いたいこともズバズバ言います。
もう、本音だらけなのが、小澤征爾の魅力の一つです。
☆☆☆

僕としては、『そんな本音ばかりぶつけて、相手にどう思われるか? 心配にならないの?』と思ってしまうのです。
もし、自分の本音をぶつけて、相手から否定されたとき、嘘偽りのない本音だからこそ、余計自分を傷つけてしまいます。そのダメージたるや、ハートに直撃弾を受けるようなものです。

☆☆以下余談ですが
若き小澤氏が、まさに、この直撃弾を受けたのが、有名な『N響事件』ですね。

海外で最初に評価を受け、『アメリカ流のオケとの付き合い方』を身に着けて帰国した小澤氏。N響とのリハーサルでは、オープンに言いたいことをズバズバ言ったがために、団員から反発を買い、ついにN響は、小澤征爾をボイコットするに至りました。

このときの小澤氏のショックはすさまじいもので、後のインタビューで
『僕は泣いた』
『この国で音楽はやらん!』
『もう、日本には戻らない』とまで、覚悟を決めたのです。
再びN響を指揮するのはたしか、1990年代のことでした。

 

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僕のアイドルは『小澤征爾』だった‼️

2025-02-20 15:58:16 | 指揮者

(レナード・バーンスタインから紹介され、ニューヨークフィルを指揮する、若き日の小澤さんの動画がありました。曲は『フィガロの結婚序曲』です)

僕のアイドルは小澤征爾だった‼️
別に、小澤さんは歌って踊っているわけではないけれど……。
アイドルとは本来、『偶像、崇拝される存在』という意味なので。まあ、これもありかな、と。
小澤征爾さんを僕の『永遠のアイドル』として意識したのは、僕が大学生の頃。1980年代序盤のことでした。
そのころ、テレビで、小澤さんのドキュメンタリードラマがあったのです。
若き小澤さんを当時人気だった『たのきんトリオ』のひとり、野村義男さんが演じておりました。
小澤さんは、優れた音楽教育者であった斎藤秀雄さんへ弟子入りし、やがてヨーロッパへの武者修行に出ようと決意します。
小澤さんは応援してくれるスポンサーをつのり、貸与されたスクーターとともに、貨物船で、単身ヨーロッパに向かいます。
こののち、フランス、ブザンソンの指揮者コンクールで優勝するという、華々しいデビューを飾るわけです。これが1959年のこと。

 

ちなみに僕が生まれる1年前です。小澤さんは、ヨーロッパに渡ってたった2年半の間に、①コンクール優勝、②指揮者シャルル・ミュンシュに師事、

ついで、③バーンスタインの助手となり、

④更にはあの帝王『カラヤン』の弟子となります。

**

当時の日本は、敗戦からわずか14年。
今の感覚で言うと、あの東日本大震災が、つい、14年前。

あのときは、これから先、いったい日本の国は、どうなるのか?と、誰もが不安になりましたよね。

まして、戦争では無条件降伏。アメリカに占領されたニッポン。

正しいと思っていたことが、すべて間違っていた‼️ とされたニッポン。

『国が1回滅びた』ニッポンに、いったいどんな、心の拠り所があったでしょうか?
たしかに、1956年の経済白書には、
『もはや戦後ではない』
という象徴的な言葉があります。朝鮮戦争が起こり、そのおかげで、日本はお金が儲かりました。
金が儲かればすべてが解決するのでしょうか?
『日本人はトランジスターの商人なのか?』
と、激しく憤ったのは作家の三島由紀夫氏です。
三島氏も、時代を敏感に感じ取り、時代というバケモノと取っ組み合いをやっていた、作家だと思います。
そして、日本人とはいったい何者なのか? を問い続けた作家です。
その成果物として、
『金閣寺』
という、途方もなく儚く、美しい作品を生み出しました。
これが1956年、昭和31年です。
日本の文化人たちが、自らのアイデンティティを、懸命に探して、もがいていたとき、小澤征爾という若者が、
『突然‼️』
『海の向こうから‼️』
全く新しい日本人像を提示してくれた。

日本人だってやればできるじゃないか?
きっと、そう思わせてくれたんじゃないか、と僕は思います。
ちなみに、現在65歳の僕が生まれたのが1960年。昭和35年です。当時の、いち日本人にとって、海外へ飛躍する、というのは、まさに進化の大ジャンプといっていい、画期的な出来事だったように推察します。
(続く予定です)

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生オケ・シネマ チャップリン『モダン・タイムス』その3

2025-02-16 17:01:53 | 映画

チャップリン、およびチャップリンファンにとって、この『モダン・タイムス』は特別な作品です。作品が作られた1936年。すでにテクノロジーは残酷なまでに発達し、映画はセリフ入りのトーキー、となっていました。

チャップリン自身は、トーキーが大嫌いだったようです。

『放浪者チャーリーが喋ると、映画の魔法が消えてしまう』

『英語を喋らない、世界中の子どもたちが、僕のサイレント映画を観てくれるはずだ‼️』

それでも時代の波は抗いようもありません。

サイレント喜劇のチャーリー・チャップリンはこれで最期なのだ、と覚悟していたようです。

そして、古き良きサイレント喜劇の名場面を、懐かしむように、作品の中にはめ込んでいきました。

スケートシーンもその一つですね。

この他にも、エスカレーターのシーン、などがあります。

そしてなにより、映画の終盤。

ついにチャップリンが劇中で歌を披露しました。それがなんと、全くのデタラメ語。無国籍語だったことは有名です。

やがてラストの一本道。挫けそうになるヒロインに、

さあ、元気をだしていこう! 笑顔をつくってごらん!と、勇気づける放浪紳士チャーリー。

(チャップリン作曲の『Smail』です)

チャップリンファンにとっては胸が一杯になる、ラストシーンですね。

フルオーケストラが演奏する『Smaile』の余韻がいつまでもコンサート会場に残っているかのようでした。

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生オケ・シネマ チャップリン『モダン・タイムス』その2

2025-02-08 17:09:20 | 映画

上映の前、まずは指揮者、竹本泰蔵さんから、映画『モダン・タイムス』についての簡単な紹介がありました。


本作がチャップリン最後のサイレント映画であること。
映画の終盤、チャップリンが歌うシーンがあり、世界で初めてチャップリンの肉声がここで披露されたこと。
編曲者が、チャップリンの原曲から、オーケストラ用のスコアを編み出したこと。
オリジナルの作曲者は、チャップリン本人であること、など。

そのあと、オーケストラの皆さんが現れ、観客から大きな拍手が……。
やがて、大ホールの照明が落とされ、映画が始まりました。
***
主人公チャーリーは、大企業の工場で働く、作業員の一人。
ベルトコンベアーで流れてくるのは、金属の板。
そこには、ふたつのボルトが付いています。
チャーリーの仕事は、この2つのボルトを締めること。
両手にスパナを持ったチャーリーは、一日中、この機械的な作業を繰り返します。

『いったいこの部品は何に使われるだろうか?』
そんな悠長なこと、考えるスキもありません。
ベルトコンベアーは、次から次へと、この部品を送り出してきます。
チャーリーは、ただ、一生懸命ボルトを締める。仕事はホントにそれだけ。
激しい流れ作業は、社長の指示で、更にスピードアップ。
耐えきれなくなったチャーリーは、ついに精神に異常をきたすのです……。
と、こう書くと、いかにも悲劇なんですよね。このお話って。
しかし、チャップリンは『喜劇の王様』。
『悲劇の中にこそ、笑いがある』
そのセオリーを熟知しているのです。
**以下余談
『幸せの黄色いハンカチ』は、高倉健さんと武田鉄矢さんが共演した名作ですね。

一緒にクルマで北海道を旅する、ロードムービーの形式を取ります。
その途中、武田鉄矢さん演じる欽也が、カニを食べすぎて、お腹を壊してしまいます。
近くには民家もなければ、ガソリンスタンドもありません。
たまらず、車を止めて、木陰に駆け込む欽ちゃん。
武田さんは、おしりに手を当て、内股で、木陰に駆け込む演技をします。
このシーンで山田洋次監督は武田さんを叱りつけたのです。
『ナニを笑わせようとしているんだ! いいか! 君にとってこれは、深刻な悲劇なんだ‼️』
もう、僕の解説入りませんよね。そうです。極めて厳しい、極限の悲劇的状況だからこそ、そこに笑いの要素がある。名監督、山田洋次はそのことを熟知していたのです(余談終了)
***
さて、オーケストラに着目すると、
モダン・タイムスの、工場シーンでは、打楽器が大活躍。
特にリズミカルなシーンは、マリンバが、ほとんど出ずっぱり。
いかにも、ドタバタ喜劇の安っぽい伴奏のように思うでしょう?
ところが、
今回の『生オケシネマ』の大きな特徴。
それはチャップリンの音楽ってこんなにも豊かなんだ、という再発見でした。
フルオーケストラの贅沢な演奏は、幾重にも重なった音楽の響き。
それは立体的な奥行きのある、味わい深い、上質な音楽なのでした。
(続く)

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